NHKで話題になった”ボスジレンマ”とは? パパ世代が部下の代わりに残業
2018/11/19
最近NHKのニュース番組で取り上げられた「ボスジレンマ」を知っているだろうか。働き方改革が進む一方で、イクボスが陥っている苦境だ。今回はNPO法人ファザーリング・ジャパンの代表である安藤哲也さんにボスジレンマについて話を聞いた。
働き方改革を丸投げされて
ボスがジレンマを抱えている
最近NHKのニュース番組で取り上げられたことで「ボスジレンマ」の認知が高まりました。イクボスが陥っている苦境を明確に表しています。その社会背景にあるのが、経営者側からは部下の労働時間短縮(残業禁止)を求められ、一方で業務量は減らない、という構図。結局、定時に部下を帰宅させてから、自分が業務をこなさねばならない。それでいて評価は上がらない、つまり昇給がない。これでは誰だってジレンマを感じてしまいます。
人生を楽しむため、時には
部下のモチベーション管理も必要
ボスジレンマを抱えている人へのアドバイスは、この連載で何度かお伝えしていますが、近視眼的に今を見ず、人生は寄せ鍋である、と認識すること。家庭・友人・趣味・仕事……それら全てが大切な人生の一部。だから、どれも同時に楽しむべきなのです。
会社が組織的にそれを後押ししている例もあります。例えばサイボウズは、得意のIT化を積極的に取り入れるほか、副業を認めたり、仕事をPDCAで回したりすることで生産性を高めた。これで社員の幸福度がグッと上がり、離職率も下がったそうです。
こうした下地の無い会社であっても、寄せ鍋人生を楽しむには仕事で結果を残すことも求められます。それを実現するには、部下の職場での幸福度を高めること。これに尽きます。方程式なんかありません。一人ひとりの部下と真摯に向き合い、それぞれの働き方・考え方を知り、認めてあげる。そのうえで職場全体にあった最適解を導き出す。それが社員の幸福度を高め、ひいては部署としての成功に繋がります。これもまた様々なライフステージを生きる部下をまとめる「イクボス」の役割となっていくでしょう。イクボスは大変なのです(笑)。
DATA
安藤哲也 TETSUYA ANDO
1962年生まれ。2男1女の父親。2006年、NPO法人ファザー リング・ジャパン(FJ)を立ち上げ代表を務める。NPO法人タイガーマスク基金代表。厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員などその活動は多岐に渡る。新著は『「仕事も家庭も」世代の新・人生戦略「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』(扶桑社)
Text >> REGGY KAWASHIMA
FQ JAPAN VOL.48より転載