棚橋弘至「子供と同じ目線になって寄り添うことが、僕の役割」
2018/09/20
棚橋弘至といえば、「新日本プロレス」最高峰のタイトル・IWGPヘビー級王座に幾度となく君臨し、業界を牽引する選手で、プライベートでは“良き父親”としても知られている。そんな棚橋選手に、9月21日(金)公開の主演映画『パパはわるものチャンピオン』のエピソードや現在の子育てについて聞いた。
プライドと家族との絆をかけた
熱い戦いを繰り広げる
1999年に「新日本プロレス」に入門した後、努力の末、トップレスラーの地位を勝ち取り、現在も第一線で活躍する棚橋弘至選手。まさしく“戦う男”である同氏が、自身初主演となる映画『パパはわるものチャンピオン』にて、自らのプライドのため、そして家族のため、全力で戦う1人のプロレスラーを演じた。
「僕が演じたのは、エースから“ゴキブリマスク”というヒールに転じたレスラーの孝志です。当初、孝志は息子の祥太に、自身が“ゴキブリマスク”であることを隠していますが、最後には自分の仕事を誇れるようになる。また祥太も、徐々にお父さんへの尊敬心を抱くようになります。お互いを理解し合うまでの2人の心の動きが見どころですね」。
棚橋選手が考える、本作の大きなテーマは、「理解されないこと」とそれに伴う苦しさ。子育て世代の中にも、子供から「理解されていない」と感じている人は多くいるのでは、と続ける。
「例えば、子供たちってパパやママが日中どんなことをしているか、よく知らないですよね。どんな苦労や思いをもって子育てをしているかも、きっと知らないでしょう。子供ともっと理解し合いたい、と考えている人は、ぜひお子さんと本作を観てほしい。父親の偉大さや母親の愛情深さもしっかりと描かれているため、鑑賞後、子供からの理解や尊敬を得られるはずです」。
一貫性のある教育と
妻との役割分担を心がける
現在、中学3年生の娘さんと中学1年生の息子さんをもつ棚橋選手。2人とも、いわゆる“多感な年頃”にあたる年代だが、接するうえでの苦労はないのだろうか。
「2人とのコミュニケーションに、苦労することはありませんね。娘ともかなり仲良くやってますよ。アイロンで彼女のヘアスタイルを整えてあげるのが、最近の日課です(笑)。息子は僕に似て少し癖っ毛なので、ドライヤーの使い方を教えてあげたり、時間がある時はブローしていますね」。
棚橋選手いわく、家庭においての自身は、“ガス抜き役”なのだそう。
「嫁さんがしっかりとしつけたり、勉強させたりするタイプなので、僕まで厳しく接したら、子供は逃げ道がなくなっちゃう。なので、僕はなるべく叱らず、優しく寄り添うようにしてますね。あと、これは子育て家庭の“あるある”ネタだと思うのですが、嫁さんは子供のレールを敷きがち。僕はそれを否定しないけど、『好きなことやりなよ』って言うようにしています。例えるなら、嫁さんが“ムチ”で僕が“アメ”。嫁さんには申し訳ないけれど、僕はおいしい役回りということですね(笑)」。
以前に本誌のインタビューで語ってくれた、「子供のしつけの全権は、ママに委ねる」「ママが言ったことを否定しない」というマイ・ルールも健在だ。奥様との抜群のコンビネーションと一貫性のある教育方針のもと、お子さんたちが健やかに成長していることがうかがえる。
「最近、少しずつですが、将来の夢を話すようになってきました。でも、数年先も同じ夢を持っているかどうかは分からない。本当にやりたいことが見つかった時、その道へ進めるよう、できる限りの可能性を与えてあげたいという考えも変わりません。子育てについての最近の悩み?そうですね、これは嫁さんから聞いた話なのですが、娘が学校でモテてるみたいで。パパとしてはかなり心配なので、『(娘を好きな男子を)全員集めて、入門テストするからな。俺に勝てない奴は、認めない!』って言ってます(笑)」。
PRIFILE
棚橋弘至 HIROSHI TANAHASHI
1976年、岐阜県生まれ。立命館大学在門テストに合格。99年、大学卒業後に入門。同年10月10日にデビュー戦を果たす。主な著書に、「棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか」(飛鳥新社)、「史上最強のメンタル・タフネス」(PHP研究所)などがある。現在は中3の娘と中1の息子を持つ。父親としての表情も垣間見られる、オフィシャルブログ「棚橋弘至のHIGH-FLY」も必見!
『パパはわるものチャンピオン』
2018年9月21日(金)全国ロードショー!!
本作の主人公は、“ゴキブリマスク”なるリングネームのもと、悪役覆面レスラーとして戦う大村孝志(棚橋弘至)。一時はトップレスラーに登りつめるも、負傷や若手の追い上げにより、栄華を失ってしまった過去を持つ。息子の祥太(寺田心)に自分の仕事を秘密にしていたが、ある時、ひょんなきっかけから真実を知られてしまう。「わるもののパパなんて大嫌いだ!」と不満をぶつけられた孝志は、自身の名誉と祥太の尊敬を勝ち取るため、奔走する。幅広い世代の心に響く、ハートウォーミングストーリー。
■監督・脚本:藤村享平
■キャスト:棚橋弘至、木村佳乃、寺田心、仲里依紗、オカダ・カズチカ、田口隆祐、大泉洋(特別出演)、大谷亮平、寺脇康文
■配給:ショウゲート
■公式サイト:映画『パパはわるものチャンピオン』公式サイト
©2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会
Photo » SATOSHI KANEKO
Text » YOSHIKO OGATA
Styling » SHUHEI KAI
Hair&Make » MIZUKI YAMADA
FQ JAPAN VOL.48(2018年秋号)より転載