モンテッソーリ教育のプロに聞く親の対応Q&A【食事・睡眠・トイレ】
2018/08/20
モンテッソーリの教育理念を、実際の子育ての現場でどのように活かしていけばいいのか。よくある「こんなときどうしたらいい?」という子育ての悩みを、「子どもの家」園長の百枝義雄氏に答えてもらった。今回は食事・睡眠・トイレについて。
子供の食事に関する質問
1歳の子を持つDAD
Q:1歳になる子供が、食事中にとにかく食べ物を投げる(落とす)んです。「食べ物は大切にしなきゃダメよ」と叱るのですが、まったく言うことを聞いてくれません。それが今一番の悩みです。
A:この頃の子どもは、とにかく遊びたがります。ご質問のように、食べ物も遊びの対象にしてしまいます。そうなると、食事のマナーを優先するか、団欒として楽しむことを優先するか、という問題を常に突きつけられますね。
1歳という時期であれば、重視するのはもちろん「食べることは楽しい」と感じさせてあげることです。人間は仲間と食事を分かち合い、楽しむことでここまで繁栄することができました。ご質問のような言葉をかけることも必要ですが、マナーを押し付けることばかりに夢中になって、食事を楽しめなくなるのでは本末転倒です。
13歳、7歳の子を持つDAD
Q:7歳になって興味がニンテンドーDS などのゲーム系に移行しつつあります。勉強系のゲームも増えていますが、あれって子供にとって有益なのでしょうか?
A:ゲームの機械と勉強系のゲームソフトを、問題集と鉛筆の代わりに使うのであれば、まず発達に対する影響はないでしょう。字を書く機会が減るくらいのものです。しかし、ゲームに使う時間が余りに多くなり、外で身体を使って遊ばなくなるようでは、体力面での悪影響が出るでしょう。30 年前のガリ勉やもやしっ子が、「勉強ばっかりしてないでたまには外で遊んできなっ!」とお母さんに叱られていたのと変わりありません。
3歳の子を持つMUM
Q:テレビをつけていると息子がじーっと見入ってくれて静かなので、ついそのままにしてしまうのですが。やっぱり子供にとって、テレビはあまりよくないものなのでしょうか?
A:テレビ・ビデオやDVD ・ゲームあるいはコンピューターなどのスクリーンメディアが子どもの発達に与える影響については、お医者さんの間でも意見が分かれるようです。
私が現場で経験的に感じているかぎりでは、一日中テレビがついていたり、子どもが望むだけ繰り返しお気に入りのDVDを見せていたりする家庭の場合、言葉の育ちに悪い影響があるようです。
そしてさらなる悲劇を招いてしまうのは、お父さんとお母さんの、テレビについての意識のズレです。お母さんが日頃一所懸命テレビやゲームを制限しているのに、休みになるとお父さんが一日中テレビをつけっぱなしにしたり、子どもが喜ぶからとゲームをさせてしまったり。お母さんはカリカリ、お父さんは結局くつろげず……。まずは、ご夫婦でよくご相談ください。
1歳3ヶ月の子を持つDAD
Q:食事やおやつの時間以外でも食べ物を欲しがって仕方ありません。やはり与えすぎはよくないですよね?
A:基本的には、自分に必要だから欲しがっているのでしょう。肥満にならないかぎり、子どもが楽しんで食事をするのはいいことなのではないでしょうか。肥満かどうかの判断は、大人と同様にカウプ指数(体重g÷身長㎝の2乗×10)を用います。ただし5歳くらいまでは大人と違い、指数が19を超えたら太り気味として気をつけ、22を超えたら「肥満」と判断したほうがよさそうです。
身体を大きく使う外遊びを増やしたり、脂質・糖質が少なくカロリーの低い食事を考えたりしてあげましょう。
4歳の子を持つDAD
Q:うちの子は食べる時間がとても長いのですが、時間をかけて食べさせた方がいいのか、ある程度時間を区切って食べさせた方がいいのか、どちらがいいのでしょう?
A:集中して食べ続けているのに時間がかかるのであれば、本人のペースに任せてあげましょう。大人でも、食べるのが早い人も時間がかかる人もいるのと同じです。気にせず楽しい食卓を維持してあげてください。
食事をせずに遊んでしまって時間がかかるのであれば、無理に座らせたり追いかけて食べさせたりせず、大人の食事が終わった時点で食事はおしまい、と片付けてはいかがでしょうか。
8歳の子を持つDAD
Q:食事が苦痛だと言うので困っています。
A:食べる楽しみが感じられないのは、とても不幸なことです。まして8歳でしたら学校給食の問題がありますから、本人の苦痛は大変なものでしょう。こんな場合は大切に扱ったほうがいいと思われます。
まずは「無理して食べる必要はない」、「食べたいものを食べたいように食べればいい」ということを、家族全員で確認しましょう。その上で、担任の先生としっかり相談なさることをお勧めします。