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安易な助成は両刃の剣か。子ども医療費の拡大競争に警鐘

各自治体が独自施策で補助している、子ども医療費助成制度。住民誘致のために、対象年齢を引き上げるなど制度の充実を図る自治体が増えているが、安易な助成は医療費全体の押し上げにもつながる危険性がある。

住民誘致の手段として
各自治体は援助対象を拡大

厚生労働省は、7月6日、2017年度の乳幼児等に係る医療費(子ども医療費)の援助についての調査をまとめた。

子ども医療費は、各自治体がそれぞれ独自の施策を打ち出している助成制度。そのため、自治体によって対象年齢などにばらつきがある。差別化のポイントは大きく分けて3つ。子供の年齢、親の所得による制限、そして自己負担の有無だ。このうち対象年齢は、通院か入院かによっても分かれる。

今回の調査結果によると、全国で最も手厚い補助を受けられるのは北海道南富良野町。通院・入院ともに22歳の年度末までで、所得制限も自己負担もなく医療費が援助される。その一方で、鹿児島県与論町は、通院・入院ともに就学前まで、さらに所得制限と自己負担もあり、となっている。

上記は極端な例だが、そこかしこで、自分の住んでいる市区町村では15歳までしか援助されないのに、隣の市区町村では18歳まで、といった状況が起きている。子育て中のパパママにとっては、当然、手厚い助成を受けられるほうがありがたい。そこで各自治体は、対象年齢の引き上げなど制度を充実し、住民誘致の手段の一つとしている。

ただし、そうした助成対象の拡大競争に警鐘を鳴らす意見も少なくない。子ども医療費の財源には、自治体のみならず、税金や企業の健康保険組合の保険料なども含まれる。つまり助成対象を拡大すればするほど、医療費全体を押し上げて国の財政を圧迫することにもつながってしまう「諸刃の剣」なのだ。

いざ自分の子供が病院に行く場合に、その費用を自治体が出してくれるとなれば、たしかに助かる。だが長期的な視点に立てば、国の財政圧迫が子供のためにならないことは明白だ。どのようにバランスを取るのがベストなのか、考え直すべき時期が来ているのかもしれない。

DATA

平成29年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」について(厚生労働省)

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