「遺族年金特例法」でママを亡くした家族に笑顔を!
2018/01/16
残された遺族に支払われる遺族年金。以前は母子家庭にのみ支給されていたが、2014年4月の改定で父子家庭にも支給されるようになった。しかし、すべての父子家庭が受給できる訳ではない。その線引きはどこにあり、どのような問題点があるのだろうか?
改定後の遺族年金でも、
救われない父子が存在する
みなさんは遺族年金をご存じだろうか? 国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった際に、残された遺族に支払われる年金である。この遺族年金は最近まで、父子家庭には支払われていなかった。しかし2014年4月の改定で、それまで母子家庭のみが対象だった遺族年金が、父子家庭にも支給されるようになった。
きっかけは東日本大震災だ。震災で妻を亡くし、今までの生活を維持することが困難になった父子を支援するために、対象を父子家庭にも拡大した。
しかし、ここで大きな矛盾が生じている。2014年4月の改定法施行以降に妻と死別した父子は遺族年金を受給できるが、それ以前に妻が死亡した父子家庭には支給されないのだ。
つまり2011年3月に発生した東日本大震災によって妻を亡くした父親たちは、この改定でも救われることはないのだ。
父子家庭の
厳しい現実
今までひとり親家庭の問題は、安定した職に就くことが難しく、賃金水準が男性に比べて低くなりがちな女性=母親の問題と考えられてた。しかし実際には、父子家庭でもその問題は同様だ。
核家族が増え、地域のつながりが希薄になっている現代では、子供や身の回りの世話を頼める人が周囲におらず、父親が家事や子育ても担わなければならない。すると、それまでの仕事量や勤務時間との両立が難しくなる。必然的に転職や勤務時間の短縮を選択せざるを得なくなり、今までの賃金を得ることが難しくなるのだ。父子家庭のなかには、生活水準を下げるだけでなく、自己破産にまで繋がるケースも見られる。
この矛盾を打開すべく、宮城県父子の会代表の村上吉宣氏が署名活動を行っている。母と死別した未成年の子供を養育する父子家庭に対し、遺族年金に替わる支援を受けられる特例法による救済を訴え、3万人分の署名が集まった時点で、厚生労働大臣へ面会要望を提出する予定だ。
2018年1月15日現在29,000人の署名が集まっている。協力してくれる方は、下記をクリックしてぜひ署名を!
2014年4月以前に妻を亡くし遺族年金の対象とならない父子家庭の父と子を救いたい! 特例法にて救済を求めます!
当事者の声
ここで、遺族年金の改定で受給対象にならなかった当事者の方々の切実な訴えの一部を紹介する。
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○妻が亡くなったのが今年の2月なので、娘に国民年金(基礎年金)が支給されない。4月以降に亡くなった方には支給されている。何時亡くなったかが問題ではなく、今その家庭がどういう状態かが問題のはず。不公平感をとても強く感じている。
○2014年4月以前には父と子が同居していると子どもの受給資格が停止されていました。今回の遺族基礎年金が拡充されて私は自分の受給は難しいだろうと思っていましたが、子どもの分は受給出来るだろうと思っていました。しかし子どもの受給資格も停止されている状態には憤りを隠せません。母を亡くした時期によって子どもの受給資格の有無が図られるのは納得できません。
○義援金は住宅ローンや車のローン返済で消えそうだ。あと数ヶ月で息子達が高校を卒業する。卒業し彼等が就職して家を出たら私は自己破産するしかない。鬱病とPTSDを抱えて生きていく自信はない。障害者手帳を申請してこれから私は障害者として生きていくのか。死にたくなる。今日も無意識に手首を傷付ける私の存在を知って欲しい。
○妻を津波で無くし、遺族基礎年金の手続きに行った。しかし、父子家庭は対象とされない事をしった。妻じゃなく俺が死ねば良かったんだ。そう思った。
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母親を亡くした日付で支払いの期限を設ける必要などあるだろうか? 子供を支え、無事に育てることは、すべての父親にとって切なる願いだ。特例法の成立を願ってやまない。