国内の深刻な貧困問題 話題の「こども食堂」とは?
2017/12/14
増税の中長期的なメリット
貧困解消に向けて、目先の利益にとらわれずに
先に挙げた「こども宅食」や「こども食堂」など、民間や地方自治体レベルではさまざまな支援策が行われています。では、国はどうでしょうか。幼児教育から高等教育まで教育・保育すべてを無償化できれば「子供の貧困」の解消につながりますが、なかなか議論が進んでいません。
財源問題も大きな一因です。消費税を10%にして、その増税分を教育や社会保障に充てるのが、そもそもの案でした。しかし、安倍政権は消費税増税を先延ばしにしています。国民の多くは、消費税増税という目先の不利益から逃れたいと思って選挙では増税先送りを支持するのですが、むしろ、税財源が増えることで国民生活に還元される面もあります。
増税になっても、これからの少子高齢化社会において、保育、介護、教育などの面で中長期的にはメリットがあるということも、しっかり認識していただきたいと思います。
貧困を食い止める父親の役割
働き方改革と男性の育児参加
貧困問題を食い止めるためには、父親の存在も大きいと私は思っています。父親が家庭に積極的にかかわることは、必ず家族にとってプラスになります。みなさんも実感されているのではないでしょうか。
昨今は長時間労働の是正をはじめとする働き方改革の議論が進んでおり、今年の秋の国会の中心テーマにもなる予定です。
長時間労働を是正して生産性を高める働き方と、男性の家事・育児参加は、相乗効果があります。その結果として、子供の貧困問題にもプラスにはたらくはず。負の連鎖に歯止めをかけ、プラスの連鎖に変えていけるのです。
CHECK POINT 注目の貧困対策プロジェクト
-
こども宅食
東京都文京区と5つの非営利団体が共同で運営するプロジェクト。生活の厳しいひとり親家庭など1,000世帯の自宅に1~2ヶ月に一度食品を届ける取り組みを、2017年10月より開始する。
- こども食堂
経済的な事情などで家庭で十分な食事がとれなくなった子供に、地域のボランティアが無料もしくは安価で食事や居場所を提供する活動。2012年、民間発の取り組みとして始まり、現在その活動は全国に広がっている。
PROFILE
柚木道義 MichiyoshiYunoki
1972年岡山県生まれ。超党派イクメン議連の共同座長。2005年衆議院議員選挙岡山県4区にて初当選。現在、民進党国会対策委員会副委員長、民進党岡山県連代表、衆議院厚生労働委員会委員、消費者問題特別委員会委員を務める。プライベートでは長女6歳、長男3歳のパパ。
text>>FUKA SASAHARA
FQ JAPAN VOL.44より転載