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残業80時間が過労死ライン!? 逆行の「働き方改革」

残業80時間から、過労死ラインとされているのはご存じだろうか。しかし、現在政府が提案している改正案には、繁忙期には残業時間を月100時間のを上限に設定し、2ヶ月で80時間、年間で平均60時間を超えないように規制する内容が記載されているそうだ。イクメン議員連盟の共同座長も務めるイクメン議員・柚木みちよし氏が「日本イクメン増加計画」について問題点を指摘する。

残業上限が月100時間に?
とんでもない労基改正案とは

国会でも、テレビや新聞で連日取り上げられている「働き方改革」。この一番の肝は、長時間労働の是正です。一方で、政府は、長時間労働を助長するような労働基準法改正案を提出しており、国会で議論されています。これが本当に働く人の立場に立った内容か、甚だ疑問です。

1つは、残業時間の上限に関する改正案。現在の労働基準法では、8時間まで、1週間で40時間と定められていますが、現在政府が提案している改正案で、残業を繁忙期には月100時間を上限に設定し、2ヶ月で80時間、年間で平均60時間を超えないように規制する案です。残業80時間から、過労死ラインとされており、昨年は過労による自殺も大きな問題となりました。この改正案がとおれば、その過労死ラインを超える労働を国が合法化するということになりかねません。さらに、これまでだったら従業員に残業をさせていなかったような企業も、「100時間までなら残業させてもよい」という意識になってしまうことも懸念されます。この改正案は3月末に結論が出ると言われているので、いま最も注目を集めている問題です。

サービス残業に拍車がかかる?
「残業代ゼロ制度」

政府は労働基準法改正案として、「高度プロフェッショナル制度」、いわゆる「残業代ゼロ制度」の導入も提案しています。これは、一定年収以上の労働者(ホワイトカラー)については裁量労働制とするもので、裏を返せば「労働時間の限度枠の撤廃」と「残業代ゼロ」を意味します。今でこそ高年収の労働者に限られていますが、今後この対象範囲が広がる可能性も否めません。裁量労働制が一般化すれば、サービス残業に拍車がかかり、長時間労働是正とは真逆の方向へと行ってしまいます。残業代が浮く分、企業にとってはコストダウンになるでしょう(長期的には、人材育成・確保面、企業にとっても、メリットなのですが)。一方、労働時間は増え賃金は減るなんて、労働者にとっては悪夢でしかありません。

裁量労働制を敷くのであれば、その弊害として起こり得る長時間労働や過労死を防ぐための対策が必要だというのが、私たち民進党の主張です。動きの鈍い政府に先駆けて、「長時間労働規制法案」を国会に提出しています。ワークライフバランスの実現と労働生産性向上のため、労働時間の規制を行うという内容です。具体的には、労働時間の延長に上限規制を設けること(現在は「36協定」により、労働時間が過労死レベルにまで延長可能になっています)、インターバル規制の導入(例えばEUでは、勤務と勤務の間に最低11時間のインターバルを設けることになっています)、労働時間管理の要件の厳格化などを盛り込んでいます。

長時間労働の是正は、
父親の育児参加にも直結する

長時間労働の是正が男性の家事育児参加の処方箋となることが期待されていますが、これでは男性の家事育児参加が進まないどころか逆行する一方、繁忙月でも、残業月80時間を下回るようにしていかないと、日本の男性の育児参加はますます遠ざかります。

これは単に政治課題ではありません。すべての働く人に関わる問題です。働き方改革は、国の労働生産性や競争力向上の側面に加えて、仕事と家事・育児との両立問題にも少子化問題にも大きく関わっています。働き方が変われば、生活が変わり、子育てや家庭と仕事の両立そのものも変わります。私たち一人ひとりがいかに自分の問題として向き合えるか、そして、いかにアクションを起こせるかに、これからの日本はかかっているのです。

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