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子育てに取り入れ”教育経済学的エビデンス”実践法

近年注目を集めている“教育経済学的エビデンス”。まずは試してみようという人のために、話題の“新セオリー”をどのように実際の子育てのなかに取り入れるか、その方法を考えてみた。

1. 子供にご褒美をあげても良い

実践法:シールカレンダーを作ってトイレトレーニングに挑戦!

ご褒美をうまく使えば人間のやる気を引き出せることが科学的に証明されている。 たとえば、トイレトレーニング中の子供へのご褒美の場合を考えてみよう。まずは子供のやる気を引き出すための小道具としてシールとカレンダーを用意。最初の段階はトイレに行くだけでシールをあげて、次はちゃんと座れたら……といったように、簡単なところから始めて少しずつ目標を上げていく。成功したときにはカレンダーにシールを貼らせてあげて、パパやママが一緒に喜んであげよう。カレンダーがシールでいっぱいになったときには、きっとトイレが習慣化しているはず。パパやママが一緒に喜んであげるのもポイント。小さな子にはパパやママの笑顔がきっと1番のご褒美。 ただし、ご褒美をあげる時は、その行為をすること自体へのやりがいが失われることもあるのでバランスが重要だ。



2. 人間は遠くの利益より目の前の利益を選ぶ

実践法:ハミガキを頑張れたら明日のおかしをプレゼント

「ちゃんとハミガキしないと、将来歯がなくなるよ」というのはパパやママが言いそうな言葉だが、幼い我が子にとって将来のことなんてまったくイメージが浮かばないはず。逆説的になってしまうが、「ハミガキを頑張れたら、明日食べられるおかしをプレゼントするよ」のほうが、子供は頑張って歯を磨いてくれるはず。 カナダ人心理学者アルバート・バンデューラが、長期的な目標と短期的な目標、どちらを設定したグループが良い成績になるかを実験。結果は短期目標を立てたグループのほうが圧倒的に良い成績だった。この実験で明らかになったエビデンスは、人間は遠くの利益より目の前の利益を選ぶということ。大人にもあてはまる傾向だが、子供であればあるほど1週間先、1ヶ月先、1年先のことなんて遠い未来のことのように感じるもの。先のことを言っても幼い子供にはピンと来ないはずだ。

3. 罰も使い方によっては効果的

実践法:テストの前にお小遣いを先渡しして目標に届かなかったら没収と1週間前に約束

先にご褒美を与え、できなかったら取り上げるというやり方も場合によっては効果を発揮する。罰に関しては、ご褒美の価値を感じられる子供でないと伝わらないので、子供の成長に合わせて考えた方がいいだろう。 たとえば、次のテストで80点以下だったら没収という約束で、1週間前にお小遣いをあげる。お小遣いを手にした子供は、きっとテストまでに80点以上取るための勉強をして、自分の手の中に入ったお金を必死で守ろうとするだろう。

4.能力ではなく行為を褒める

実践法:痛さを我慢できたときは我慢できた頑張りを褒める

頭の良さは生まれつきと思っている子は成績が伸び悩んだが、努力次第でなんとかなると考えている子はずっと成績が伸び続けたということも海外の実験で証明されている。 このエビデンスを幼児の場合で考えてみよう。たとえば、子供が転んで痛さを我慢できたときの場合。「強いから我慢できたね」と“能力”を褒めるのは間違いで、「我慢できて偉かったね」と我慢できたという“行為”を褒めてあげるのが正解だ。子供の頑張りを褒め続けていれば、子供が思いがけない挫折を経験したときにも逆境に対して踏ん張れるだけの力を身につけてくれるはずだ。



5.能力ではなく努力を褒める

実践法:持っている実力ではなくトライしたことを褒める

うまくやる気を引き出すためには、「能力」ではなく「努力」に対して褒めないと逆効果になる。努力を褒められた子はもっと褒められたいと難しいことにも積極的にトライするようになるが、能力を褒められた子はマイナス評価に繋がりそうな行為に対してチャレンジしなくなると分析されている。 子供が大きくなって習い事を始めたとき、ついつい子供の能力を褒めているパパはいないだろうか? たとえば、スポーツを始めた子供に対し、試合で活躍できた能力ではなく、練習した努力を褒めてあげよう。試合のなかでトライした姿を見つけたら、たとえ失敗しても褒めてあげたい。「また挑戦してみよう!」と考えるようになり、向上心を養えるはずだ。

6.親が関わるほど子供は勉強する

実践法:まずはパパも一緒にそれから少しずつ子供の手を離していく

「勉強しなさい!」というより、親が横で見ていたほうが学習時間は長くなったという実験結果が公表されていて、親の関わりが濃いほうが子供はよく勉強するということが証明された。 子供が努力していることに対して、パパやママの関与が大きいほうが、良い結果に繋がることは容易に想像できる。だが、子供が努力を続けるというのはそれほど簡単なことではない。努力を習慣化させるのは大人でもかなり難しい。 たとえば、子供に自主トレをしてみたら?と提案しても、最初から1人黙々と努力するなんてことは子供にはなかなか難しい注文。子供が自分で努力を続けられるようになるまでは、パパがサポートしてあげよう。トレーニングの場合、はじめはパパも一緒にトレーニングをして、次は見ているだけ、最後は1人で……などと段階的に子供の手を離していくようにするのはどうだろう。きつい練習でも、パパやママと一緒に楽しみながら努力を続けていけば、次第に努力する充実感や上達する達成感を感じ、自分1人で頑張れるようになるだろう。

※FQ JAPAN VOL.41(2016-17年冬号)より転載

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