子供の貧困・養護を考えるシンポジウムに塩崎大臣ら登壇
2017/02/23
「日本の子供達の6人に1人が貧困」と、近年多くのメディアでよく言われている。今回は、昨年改正された児童福祉法を受けて開催された、子供の擁護と貧困について考えるシンポジウムをレポート。
「日本の子供達の6人に1人が貧困」と、近年多くのメディアでよく言われている。児童虐待、子供の貧困、子供の居場所作り……。現在、子供を取り巻く環境について問題意識が高まってきている。今回は、昨年改正された児童福祉法を受けて開催された、子供の擁護と貧困について考えるシンポジウムをレポート。
2016年11月、「児童福祉法改正を受けて ~児童の養護と貧困の問題を考える~」をテーマとしたシンポジウムが開催された。一般社団法人次世代社会研究機構が主催し、西田陽光代表理事が3年半前から取り組んだ「特別養子縁組推進キャンペーン」に塩崎大臣とのご縁で勧めてきた子どもの問題を取り上げてきた企画の一環である。登壇したのは、大学教授やNPO団体リーダー、新聞記者、学生など多彩な顔ぶれ。児童福祉法改正の理念を現場で活かすための活動や方法、子供の貧困問題に関してリレートークが行われた。
シンポジウムは、「里山資本主義」の著者として有名な地域エコノミスト・藻谷浩介さん(日本総合研究所主席研究員)の基調講演からスタート。「世間一般的に広く言われていることでも、ちゃんと調べてみると事実とかけ離れていることがある」として、統計データを駆使して、人口の変化や出生率など子育て・育児に関連する実態を解説してくれた。
高橋恵理子さん(日本財団福祉特別事業チームリーダー)からは、日本財団による特別養子縁組・里親推進の取り組みが説明された。藤井康弘さん(元厚生労働省・障害保健福祉部長)の講演では、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談件数が15年前に比べて約7.6倍に増加したことを報告。一方で、里親委託率は平成15年の8.1%から平成27年3月末には16.5%に上昇したことなども挙げられた。
また、シンポジウムにサプライズで駆けつけた細野豪志民進党代表代行もスピーチを行い、「社会全体で子育てをすることに力を貸してほしい」と子育てに対する支援を呼び掛けた。児童福祉法の一部改正の実現に尽力した塩崎恭久厚生労働大臣も登壇し、法改正の内容を解説。塩崎大臣には、主催団体代表の西田陽光氏の発案により「表彰状」が贈られた。
塩崎厚生労働大臣は、「児童福祉法改正を受けて〜児童の養護と貧困の問題を考える〜」と題された資料を配布。平成28年6月3日に交付された法改正に関して、大臣自らその内容と意義を説明。
統計データをプロジェクターに表示しながら講演を行う藻谷さん。
一例として、じつは「女性が働く県のほうが出生率も高い」ということを紹介。この調査結果には、会場からは「へぇー」とか「えー」と言った驚きの声が上がっていた。
資料を配布し、乳児院や児童養護施設、里親に関するデータを紹介した藤井康弘さん。
里親を増やすための方策や虐待を受けた子供などへの対応、これからの共働き世代はどうしたらいいかなどについて提言。自身も実際に里親をされているとのことで里親制度に対する想いが感じられた講演だった。
民進党代表代行の細野さんはサプライズで登場。「人生前半の社会保障をどうにかしたい」とコメント。子育て世代の支援に繋がる動きを期待したい!
一般参加者を代表して、ダウン症児の養子縁組をしてことみちゃんを里親として育てている高橋夫妻から、塩崎大臣へ表彰状が手渡しされた。
このシンポジウムで基調講演を務めた藻谷氏は地域振興や人口熟成問題に関して精力的に研究・著作・講演を行っている人物。FQ JAPAN本誌でも地域エコノミストとしての視点から、現代の日本の家庭・育児・暮らしをテーマに新連載をVOL.43(2017年6月1日発売号)よりスタート予定。こうご期待!