パパの働き方改革講座
#00 「男の産休」を知るべし!
2015/10/03
出産直後の男性の休暇取得率を上げることを目的に内閣府が今年6月に開始した「さんきゅうパパプロジェクト」。同プロジェクトを進める有村治子少子化対策担当相に、その想いを伺った。
取得するのが当たり前!? いま、日本社会が変わる
日本の家庭・社会を巻き込んだ
「男の産休」プロジェクト
子育てのために休暇を取る「育休」は、男性・女性どちらも取得ができる。出産の前後のお休みである「産休」は女性のためのものだが、「さんきゅうパパプロジェクト」は、そんな世の中の慣例に一石を投じるプロジェクトだ。これからの時代、男性も出産から8週間以内に休暇を取ることを当たり前のことにしようという新しい提案が込められている。
「人口減少と少子高齢化が進む日本で、いま取り組むべき最大のミッションは持続可能な日本社会をつくることです」。少子化対策担当と男女共同参画担当を兼務する有村治子内閣府特命担当大臣は、「さんきゅうパパプロジェクト」発足の経緯をこう話した。
プロジェクトでは「2020年には8割の父親が産休を取る状態をつくる」という数値目標を掲げる。「子育ては出産前後に限った話ではありません。長期にわたる家庭の大きなプロジェクトです。いま男女ともに長時間労働の傾向にあり、父親も母親も仕事で疲れきってしまっています。まずはここを是正することが急務です。長時間労働が是正されれば、男性の家事・育児、あるいはファミリーマネジメントへの参画が進み、ひいては持続可能な日本社会の実現に期待が持てます」(有村大臣)。
かつての “企業戦士” “猛烈社員” という言葉が象徴するように、長時間労働は日本社会において美徳とされる傾向があった。しかし、「先進国の中でも、日本より労働時間は短いのに生産性が高い国がたくさんあります。この現実を私たちはしっかりと直視するべきです」と有村大臣。
(2) 男性の家事・育児へのきっかけとし、長時間労働の是正を促す
(3) 男性が休暇を取得しやすい社会へ
※配偶者の出産後2カ月以内に半日又は1日以上の休み(年次有給休暇、配偶者出産等に係る特別休暇、育児休業等)を取得した男性の割合
産休をとる父親はかっこいい
そんな新しい文化を育みたい
男性が家事・育児に参画している家庭のほうが第二子以降の子供を授かることが多いというデータもある。
「2020年には8割の父親が産休を取るということを新しい文化として定着させたいのです。これまでは産休を取っている父親がどれだけいるかというデータを取ることすらしていませんでした。つまりそれだけ注目して来なかったということ。だからこそ高いハードルであり、大きなチャレンジなので」。
プロジェクトはキックオフシンポジウムから経団連や全国知事会とも連携している。企業や自治体も産休を取るために効率的に働き、家事、育児などの生活も充実させる新しい働き方や、それを実現するための環境づくりへの関心が高いことがわかる。
「子供が生まれる日、母子が病院から退院してくる日、出生届を出す日。これだけならたった3日です。長い人生から見れば、ほんの少しです。まずはここから、父親の時間を職場から家庭に返していきたい。『子煩悩で仕事好き。』そんな父親が “かっこいい” と言われるような、新しい文化をこの日本に定着させていきたい。是非、皆さんと共に、実現させていきましょう!」。
Photo » MIREI SAKAKI
Text » AKIO INOUE
(2015.10.5)
※FQ JAPAN VOL.36(2015年秋号)より転載