WLBコミュニケーション術① あなた× 会社
2015/09/14
WLB実現のために重要なのはあなた自身が持っている「価値観」を入れ替えること!? 株式会社ワーク・ライフバランスの大畑氏が専門的視点からアドバイス!
WLB実現のために重要なのはあなた自身が持っている「価値観」を入れ替えること!?
株式会社ワーク・ライフバランスの大畑氏が専門的視点からアドバイス!
業務の効率化だけでは、組織のWLBは進まない
私たちの会社では、働き方の見直しにより長時間労働を改善しつつも利益をアップさせて、社員のワークライフバランスを実現させることを主な目的とし、これまで900社以上の企業・団体のコンサルティングを行ってきました。多くのクライアントと接する中で感じてきたのが、経営者や管理職を軸に組織全体で改革に取り組まなければ意味がない、ということです。
育児や介護を負担する社員だけを特別視したサポートでは、結局「充実した制度はあるが、それを使う風土がない」という状況に陥ってしまうのです。働き方の改革のためには、まず、“価値観の入れ替え”が必要です。日本社会では、「遅くまで残って仕事をしている人=努力している人」という価値観が根強いですが、時間当たりの生産性を考えると、実は「残業している人=時間内に成果を上げられない人=仕事ができない人」と言われてしまいます。
これまでは、「質×時間(無制限)」で仕事をして月末・年度末で締めた時にどれくらい成果が出たのかを見る“期間当たり生産性”の評価でした。これからは、同じ時間内で勝負をした時に、どれくらい成果が高かったのか、“時間当たり生産性”で社員を評価する時代なのです。
価値観が共有できたら、次の課題は具体的な業務の効率化です。時間管理能力を高めるためには、「朝メール・夜メール」が有効です。「朝メール・夜メール」は、出社時に、15分〜30分くらいを要する1日の自分の業務について書き出し優先順位を考慮してスケジュールを組み立て、退社時に実績を書いて振り返っていくものです。それを部署内で公開・共有することで、「いつ・誰が・どこで・何を行っているか」状況が把握できるようになります。
また、業務上の情報は誰が見てもわかるよう「共有フォルダ」に入れる、会議の前には議題ごとに「目的・所要時間・担当者」を明確にしたアジェンダを作成・共有する、などの工夫で、日々の業務のスピード感と密度はかなり上がります。
しかしながら、業務の効率化には限界があり、効率化にばかり気を取られると、社内の空気がギスギスしてしまいます。社内の雰囲気を良くするのは、社員同士の助け合いや思いやりであり、普段からの密なコミュニケーションです。“ワーク”だけでなく「朝メール・夜メール」で“ライフ”の情報も共有することで、温度感のあるコミュニケーションが生まれます。
管理職であり、かつ父親である私は、「息子がトイトレに成功しました!」などの育児状況を日頃から発信しています。親バカを演じる(笑)ことで、メンバーから「コミュニケーションの取りやすい人」と認識してもらえ、業務上の失敗などのネガティブな情報でも抱え込まずに相談しやすい組織を醸成させることに役立てています。
価値観の変革、業務の効率化、そして、温かいコミュニケーション。この3つが、組織の変革には欠かせないのです。
仕事の効率化はココがポイント!
1. “誰でもできる化”で業務の滞りを防ぐ
各自のデスクトップには、原則的にデータを保管しない。全社員が共有する“共有フォルダ”にクライアントや案件ごとにファイルを設けておき、打ち合わせなどがあるたびに情報をアップする。担当者の不在時でも、社員であれば誰でも対応できるシステムをつくり出す。
2.会議のルールを決めてムダなく時間を使う
社内会議では、事前に「目的(共有/相談/決済など)」と「所要時間」と「担当者」を議題ごとに発表。会議の場ではタイマーを使い、あらかじめ申告した時間内に終わるよう時間を管理する。また、議事録はクオリティよりもスピードを重視し、会議後すぐに全員で共有できるように仕上げる。
3.チーム力向上のカギは“ライフ”の情報共有
育児や介護など家族のこと、休日の過ごし方、趣味など、プライベートな“ライフ”の情報も社員間で共有することで、親近感が増し、お互いへの気づかいや思いやりが生まれる。コミュニケーションに温度感が生まれ、その結果、チーム力も向上する。
(2015.9.14up)
FQ JAPAN VOL.35(2015年夏号)より転載