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「家族のために仕事を犠牲」はうっとうしい
子育て中の父親こそガンガン上を目指せ!

父親にとって、仕事と家庭とのバランスは永遠のテーマ。昔は「家庭にうつつを抜かしているような男はダメだ!」という時代もあったが、今は逆に「仕事ばかりの男はダメだ!」と言われる。どちらも大事なのはわかっているけど、このビミョーなバランス、どうやって保ったらいいの?

子供が生まれても、仕事一辺倒で家庭を顧みない男はいけてない。
でも、子育てを言い訳に仕事を怠ける男はもっとダメ。
これが、元祖イクメン作家・鈴木光司のワーク・ライフ・コントロール論だ!

父親にとって、仕事と家庭とのバランスは永遠のテーマ。昔は「家庭にうつつを抜かしているような男はダメだ!」という時代もあったが、今は逆に「仕事ばかりの男はダメだ!」と言われる。どちらも大事なのはわかっているけど、このビミョーなバランス、どうやって保ったらいいの?

”男が子育てをする”その後の社会には
会社のお荷物が大量に残されるかも

子育てを言い訳にしちゃいけないよ。
考えてもみてごらん。自分の父親に「キミのことが大切だから、キミのために僕は仕事を犠牲にして、出世を諦めたんだ」なんて言われたら。うっとうしくてしょうがないよね。「オレのせいにすんなよ! 自分のしたいことやれよ!」って思うでしょ。

男だって、子供ができたら積極的に子育てすべきだとは思う。でも、子育てすることによって自己実現の可能性を狭めてしまうようでは、はっきり言って本末転倒。子育てを経験することで、今まで以上に自分の人生を生きることに対してのやる気や張り合いを感じ、自己実現のエネルギーに昇華しなきゃ。子育てにいそしむだけでなく、仕事でもガンガン実績を上げてほしい。

そうじゃないと、男性の育児が本当に一般的になったその後の社会には、「子育てを頑張りすぎたから出世できませんでした」っていう情けない集団が、会社のお荷物として大量に残されることになると思うよ。そんなイクメンのなれの果てを見た下の世代の社員はどう思うだろうね。きっと「イクメンって情けない」って思うでしょ。そうしたら、彼らは逆に振れると思うね。「子育てなんてカッコ悪い」という価値観ができ上がり、また男が子育てしない時代がやってくる。

子供にとって一番嬉しいことは両親が笑っていてくれること。自己犠牲的な精神で無理に笑うのじゃなくて、自分の人生を思う存分生きて、腹の底から笑っていなきゃいけない。だから、子育てする男こそ、「オレはここまでは行くぞ!」という仕事上の目標を明確に掲げて、思う存分やってほしい。



僕の場合「1日のうち、ここからここは仕事の時間で、ここからここは家族との時間」と最初から時間を区切ってしまう。1日単位の話だけじゃない。1年のうち夏の2ヶ月は仕事を入れないと決めている。自主的な季節労働者だね(笑)。そうして決めた時間の中で最大限のパフォーマンスを上げることが僕の使命。集中力が求められる。自分の力で時間をコントロールするんだ。「仕事が終わらないから残業しなきゃ」という毎日を送っている人がいるとしたら、自分の時間についてコントロール不能の状態に陥っているということ。

それじゃ、家族も愛想を尽かすよ。表面的には「帰りが遅い」と責められるかもしれないけど、本質的な意味では「自分の時間すらコントロールできない無能さ」を指摘されているわけだよね。そりゃ男としてカッコ悪いよ。

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PROFILE
鈴木光司
1957年生まれ。作家。2人の娘を持つDAD。1990年「楽園」(新潮文庫)で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。その後「リング」「らせん」(ともに角川ホラー文庫)が大ヒット。元祖イクメンとしてFQ JAPAN創刊時より連載ページで自身の育児や愛妻術など父親としてのあり方を提言。

※FQ JAPAN vol.22(2012年春号)より転載
Photo >> HAYATO IMAI Text >> TOSHIMASA OTA
(2014.8.19up)

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