社員と企業の意識にギャップあり!
制度とともに職場の雰囲気づくりや 上司の奨励などが重要
2014/07/25
内閣府が行った「ワークライフバランスに関する個人・企業調査」で、社員・上司・企業の認識の違いが明らかに。男性の育児休業取得の理解を職場に浸透させていくことが重要だ。
調査でみえてきた社員と企業の認識の違いとは!?
ワークライフバランスの考え方は、近年少しずつ日本の社会に浸透してきました。昨年度、内閣府では、個人の意識や企業の取組状況等を把握するため、「ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」を実施しました。その結果、次の3点が浮かび上がりました。1点目は、「残業や年次有給休暇(以下、『有休』とします。)取得と上司による人事評価」についてです。
まず、労働時間の長い社員ほど、「上司は、残業をしている人に対して、”がんばっている””責任感が強い”などのイメージを持っていると感じる」という回答が多く、さらに、有休取得率が低い人ほど、「上司は、有休を取得する人に対して、〝仕事より自分の時間を優先する”〝仕事が少ない”などのイメージを持っていると感じる」と回答しました。
一方、企業の多くは、”残業や休日出勤をほとんどせず、時間内に仕事を終えて帰宅すること”や”自分に与えられた役割を果たし、付与された有休のほとんどを消化すること”を、人事評価では”考慮されていない”(マイナスには評価していない)と回答しています。
長時間労働や有休取得には、社員が抱いている上司の捉え方のイメージが影響していることや、人事評価のあり方について社員と企業の認識に違いがあることがわかりました。2点目は、「残業削減や有休取得の取組」です。残業削減に効果的だと思う取り組みについて、社員からは、”計画的な残業禁止日の設定”、”上司の声かけ”、”短時間での質の高い仕事を評価”、”担当がいなくとも他の人が代替できる体制”などが多く挙がりました。
このうち”短時間での質の高い仕事を評価”や”担当がいなくとも他の人が代替できる体制”は、職場であまり取り組まれていないと考えているようです。また、有休取得率の低い3業種(建設、小売、飲食業)の中でも取得率が比較的高い企業では、〝時間単位、半日単位など柔軟な有休取得制度”や”積極的に休暇を取得させる仕組み”等のルールづくりのほか、”身近な上司からの有休取得奨励”などの取り組みがみられました。
3点目は、「女性の就業継続、男性の家事・育児参加」についてです。まず、夫が育児休業などの仕事と育児の両立支援制度を利用した場合、女性(妻)の就業継続率が高くなる傾向が見られました。
一方で、育児休業取得の意向はありながら取得しなかった男性の多くが、”職場に理解があれば取得していた”と回答しています。改めて、男性の育児休業取得への理解を職場に浸透させていくことの重要性が明らかになりました。さらに、平日の家事・育児時間が長い男性ほど、出産前に「夫婦の役割分担」について夫婦で話し合って、その内容に納得したこともわかりました。
今回の調査では、ワーク・ライフ・バランスの取り組みを推進するうえで社員・上司・企業の認識の違いや、女性の就業継続、男性の家事・育児参加に向けた課題が明らかになりました。ぜひ、それぞれのお立場でこの調査の結果を参考にしていただければと思います。
内閣府 男女共同参画局 推進課課長
◆男女共同参画局HP
www.gender.go.jp/
◆カエルの星
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/change_jpn/kaeru_hosi.html
◆仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)ポータルサイト
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/
◆「ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/research.html
Text >> FUKA SASAHARA
※FQ JAPAN vol.31(2014年夏号)より転載
(2014.7.25up)