【皮膚科医監修】弱酸性=肌に優しい、とは限らない!? 医師がすすめるベビーソープの選び方
2025/03/28

赤ちゃんのお肌をきれいにしてくれるベビーソープ。今は種類もいろいろあるが、どう選べばいいのだろうか。赤ちゃんの肌の状態に合ったベビーソープの選び方や、肌に優しい洗い方について、皮膚科医の山内恵先生に伺った。
1.「弱酸性」「弱アルカリ性」それぞれのメリット・注意点とは?
2.赤ちゃんは実は汚れやすい!? 洗い方と保湿のポイントは?
3.赤ちゃんのお肌の状態チェックシート
4.教えて山内先生! 赤ちゃんの肌にいい洗い方3step
「弱酸性」「弱アルカリ性」
それぞれのメリット・注意点とは?
ベビーソープには、大きく分けて、合成界面活性剤が主成分の「弱酸性」タイプと、せっけん成分が主成分の「弱アルカリ性」タイプがある。テレビCM等によって、「弱酸性=肌に優しい」というイメージもあるが、実際は、赤ちゃんのお肌の状態によって合うものが異なるという。
皮膚科医の山内恵先生は次のように話す。「お肌は弱酸性なので、弱酸性タイプだと皮膚に負担をかけずに優しく洗える、と言われていますが、場合によっては洗浄力が弱くて皮脂汚れが残りやすかったり、合成界面活性剤の特性上、洗剤の成分が残りやすい面も。洗い残しは皮膚へのダメージになるので、その点は注意が必要です」。
では、弱アルカリ性のせっけんはどうだろうか。「せっけんは、固形や泡などいろいろありますが、せっけん成分が皮脂成分となじむことで、汚れがつるっと落とせて洗い残しも出にくいです。一方で、乾燥しやすかったり、肌の状態によっては刺激感やつっぱり感があることも」。それぞれにメリット・デメリットがあるようだ。
赤ちゃんは実は汚れやすい!?
洗い方と保湿のポイントは?
ただし、赤ちゃんは自分の皮脂で炎症を起こしやすいという。「特に生後すぐから3~4ヶ月くらいまでは、お母さんのホルモン由来で皮脂が出やすい時期。皮脂が肌に残ると、かぶれて乳児湿疹を起こしやすいんです。健康な肌や皮脂多めの肌は、せっけんタイプで皮脂汚れをなるべく落とす方がベターです」。
では、乾燥はどうケアするとよいだろうか。「お風呂上がりに保湿すればOK。皮脂が出がちな新生児の場合は、さらっとした乳液タイプでのケアがおすすめです」。
巷には『ワセリン最強説』もあるが、皮膚科医の観点からは「保湿には油分と水分が両方必要ですが、ワセリンは油分しかなく、実は保湿には不十分。特に乾燥が強い部分は、まず水分多めのローションや乳液を塗ってから、ワセリンの油分で蓋をするといいでしょう」。
肌の状態に合ったケアをするために、赤ちゃんのお肌の状態をチェックしてみよう。
赤ちゃんのお肌の状態
チェックシート
わが子のお肌に合ったケアをするために、肌の状態をチェックするポイントと、おすすめの洗い方を山内先生に聞いた。
お肌の状態であてはまるものにチェック!
A
□もちもち
□やわらか
□しっとりとした感じ
□吸いつくような感触
▼Aのチェックが多い赤ちゃんは……
健康なお肌の可能性◎! ソープはどちらもOKですが、汚れの溜まりやすい首の中など、特に皮脂が多いエリアはせっけんタイプでしっかり洗うと安心。
B
□さらさら
□かさっとしている
□つっぱり感がある
□頬がいつも赤い
▼Bのチェックが多い赤ちゃんは……
乾燥気味の可能性あり。本来の赤ちゃんのお肌は「しっとり」なので、「さらさら」は乾燥サイン。ソープはどちらもOKですが、保湿ケアを特にしっかりと。
C
□べたべた
□油っぽい匂いがする
□汗っかき
□かさぶたがこびりついている
▼Cのチェックが多い赤ちゃんは……
皮脂が出やすい可能性大。首にぷつぷつがあったら、古い角質や汚れがかぶれているのかも。せっけんタイプでしっかり洗ってあげて。
D
□ざらざら
□手首・肘・膝の内側がごわついている
□ひびわれがある
□荒れていて赤みがある
▼Dのチェックが多い赤ちゃんは……
アトピー気味の可能性あり。洗浄力が弱めの弱酸性タイプがおすすめ。又はソープを使わず、さら湯で仕上げるのもあり。酷い時は医師に相談を。
教えて山内先生!
赤ちゃんの肌にいい洗い方3step
step1
泡を使って優しく洗う
赤ちゃんの皮膚の厚みは、大人の皮膚の半分以下。擦ったりせず、たっぷりの泡をクッションにして、軽く泡を滑らせるようにしましょう。
step2
ぬるめの温度・弱い水圧で流す
熱いお湯は皮脂が流れすぎるので、38~40度くらいのお湯が◎。シャワーも直接かけず、手で水圧を緩めたり、ためたお湯を手でかけて優しく流して。
step3
風呂上りに保湿ケアを
身体や顔全体、皮脂が出やすい首などにはさらっとした乳液タイプ、乾燥が強い部分にはクリームタイプや乳液+ワセリンなど、部位で使い分けを。
赤ちゃんは新陳代謝がすごく活発なので、常に古い角質がどんどん出ている状態です。皮脂は油なので、洗い残すと酸化して炎症のもとに。自然と取れていく部分もありますが、しわの中などは汚れが溜まりやすいので、気を付けて丁寧に洗ってあげてくださいね。
教えてくれた人
皮膚科医
山内恵先生
福岡大学医学部医学科卒業。山内皮ふ科スキンケアクリニック副院長。形成外科の夫と共に、健康的で美しい肌作りをサポート。自身の育児経験をもとに、小さな子どもやママの気持ちに寄り添った診療を行う。
>>yamauchi-skin.com
文:征矢里沙