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【レビュー】安全機能と快適な乗り心地が融合したセダン『メルセデス・ベンツEクラス』

子育て世帯にとって欠かせない相棒であるクルマ。子どもの成長に伴い、快適性から走行性へ、求めるスペックも変わってくる。ここでは、父親でもあるFQUKの編集者・ティム・バーンズ・クレイがいま気になるクルマのテスト走行を行い、その魅力をレビューする。

マイルドハイブリッドで
CO2排出量低減を実現

メルセデス・ベンツEクラスはモデルチェンジによってデザインもメカニズムも際立つ存在になった。『E300 e』を含め、8機種すべてを電動し、プラグインハイブリッドも導入している。トランスミッションは9速ATを組み合わせた。従来のガソリン車やディーゼル車にもマイルドハイブリッドはあるが、『E300 e』は2.0ℓのガソリン4気筒エンジンに電気モーターを組み合わせたもの。システム最高出力は320psで、0-100km/h加速タイムは5.8秒。大型サルーンとしては申し分ないパフォーマンスだ。しかも、CO2排出量は35g/kmと、とんでもなく低い数値であることに加え、このプラグインハイブリッドのWLTPモード燃費は約80km/ℓという、マイルドハイブリッド車では考えられないほどの高水準を実現している。

ガソリンを使わず電気だけでも約55km走行が可能だ。フル充電までは7.4kWの家庭用コンセントから90分で完了する。今回試乗した『E300e AMGライン・トリム』は、スポーティなルックスのボディに加え、18インチのアロイホイール、ワイヤレスのスマホ充電器、アダプティブLEDヘッドライト、ヒーター付きレザーシートを搭載している。


プラグインハイブリッドは日本の200ボルト普通充電器に対応している。EV走行距離も大幅に延びた。

スムーズで静か&
優れたハンドリング性能

エンジンはスムーズで静かだ。急加速して高回転まで回した時だけエンジン音が聞こえる。だが、ハイブリッドモードでは電気モーターの存在を強く感じるようになるし、エレクトリックモードでは電気モーターならではの分厚いトルクを瞬時に感じることができるだろう。痛快な加速を満喫でき、しかも静かだ。コースティングと呼ばれる惰性走行で電費を稼ぐ走行もしやすくなっている。大型サルーンのハンドリングは、その多くが軽快ではない。だが、新型Eクラスは優れたハンドリング性能を身につけ、とても扱いやすい。これはライバルのBMW 5シリーズも同様だが、メルセデスのEクラスはコーナリング時の限界性能より快適性を重視したチューニングを施している。

同じクラスのBMW5シリーズの方がハンドリングは優れている。さらに運転を楽しみたいなら、スポーティなトリムのCクラスや3シリーズの方がより好みにマッチするかもしれない。でも誤解はしないでほしい。路面からのインフォメーションとフィードバックはベストとは言えないが、グリップレベルは高く、操舵フィールも正確だ。

Eクラスは低速走行を強いられる街中の走りの時、乗り心地は少し硬質だと感じることがある。だが、スピードが60km/hを超えると足が滑らかに動くようになり、高速道路に乗り入れると素晴らしい安定感と上質な乗り心地を披露してくれる。

快適な乗り心地を実現する
様々な運転支援と安全機能


水平基調の見やすいインパネを採用。中央のディスプレイも画面が大きく、直感的に操作できる。

インフォテインメント・システムも印象的だ。メルセデス自慢のMBUXスクリーンはディスプレイが見やすいことに加え、反応も良く、メニューやオプションは直感的に操作できる。ボイスコントロール機能も搭載され、よりシンプルな仕様になった。デジタルメーターは、バッテリー残量など知りたい情報をすべて提供してくれる。

キャビンは前席も後席も、満足できる快適性を確保している。とくにフロント席は広く、快適に座れる。キャビン内の収納スペースも多く、小物などを整理しやすい。車室内はしっかりと広さが確保されており、特にフロントが広く、キャビン内の収納スペースも十分だ。

『E300 e』はバッテリー搭載の分、床下収納がなくなったため、トランク容量はマイルドハイブリッドの540ℓから370ℓに減少している。かさばる荷物などのパッキングにはちょっと工夫が必要になるだろう。

Eクラスには様々な運転支援と安全機能が標準装備されている。半自動駐車、フロント&リアパーキングセンサー、バックカメラ、ブラインドスポットアシストなどを搭載。もちろん、ユーロNCAPの安全評価も優秀な5つ星で、さらに3年間走行距離無制限で保証が付く。

総評として、Eクラスは素直なハンドリングと快適な乗り心地を高い次元で両立させている。しかも充電できるプラグインハイブリッドだから近距離の移動ならガソリンを使わない走りができるなど、経済的だ。EVと同じ上質な走りを誰にでも引き出せるから、一般のユーザーはもちろん、社用車としても魅力的。電動化と省エネの風潮が強い今の時代には最適なプレミアムセダンと言えるだろう。

DATA

メルセデス・ベンツEクラス[E300e AMGライン]
最高速度:約250km/h
0-100km/hの加速タイム:5.8秒
燃費:約80km/ℓ ※WLTPに基づく
エンジンレイアウト:2.0ℓリッター直列4気筒DOHC直噴ガソリンエンジン+電気モーター(プラグインハイブリッド)
システム最高出力(PS):320ps
CO2排出量:35g/km
2024年春日本発売予定(価格未定) 


監修:片岡英明(モータージャーナリスト)

FQ JAPAN VOL.68(2023年秋号)より転載

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