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インタビュー

『シナぷしゅ』が待望の映画化! プロデューサー・飯田佳奈子が語る、幼児番組の未来とは?

テレビ東京系列で放送中の『シナぷしゅ』が初の映画化! 0歳からの赤ちゃんとその保護者から絶大な支持を得ている乳幼児向け番組は、どのような経緯で生まれたのだろうか? 今回は、統括プロデューサーを務める飯田佳奈子さんに『シナぷしゅ』立ち上げの経緯や映画化への想い、そして自身の子育てについてもお話を聞いた。

仕事も子育ても
目の前のことをやる!

2019年12月にトライアル放送され、「赤ちゃんが夢中で見ている」と瞬く間に話題になった『シナぷしゅ』。公式YouTubeチャンネル「シナぷしゅch」も人気だ。

そして、ついに2023年5月19日(金)から『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』として映画が公開される。番組の企画・立案をした飯田佳奈子さん自身も、子育てをする2児の母だ。

―― 2018年に第1子を出産されています。子育てで悩んだことはありましたか?

飯田佳奈子(以下、飯田)「そうですね。自分の子どもが欲しいと望んだ妊娠と出産でした。でも育児が始まってみると、夜泣きで睡眠が十分に取れなかったり、自分の育児が合っているのか不安になったり、苦しいな、しんどいなっていう瞬間がありました」。

―― どのように悩みと向き合いましたか?

飯田「地域の子育て支援センターとかに出かけて、他のママさんと情報交換をしていました。印象深かったのが、しつけや教育の話をすると、みんな眉をひそめながら『昨日、1時間もテレビを見せちゃった』なんて言うんです。まるでテレビを見せることが悪いみたい。しかも、テレビ局に勤めている自分自身も、当時は子どもをテレビから遠ざけようとしていました」。

―― たしかに、「テレビを見せ過ぎてはいけない」と聞くことがありますね。

飯田「でも、そんなにテレビって悪いものなのかな? って、疑問を持つようになりました。だって、YouTubeには子ども向けのコンテンツがあふれている。ということは、育児をしている人が、動画に頼らなくてはいけない現実があるということですよね」。

―― 動画を見せている間に、家事や仕事を進めたいと思うときがありますよね。

飯田「そう、子どもにじっとしていて欲しいタイミングはあるんです。そのツールとしてテレビや動画を使うことに罪悪感を感じる必要はない。だからこそ、子どもたちには、もっと良質なコンテンツを見てもらいたいし、見せたいなって思いました。それで企画したのが『シナぷしゅ』でした」。

―― これまで民放に、乳幼児向け番組はありませんでした。新しいものを作る不安はなかったですか?

飯田「自分が子育ての当事者だったのもあって、需要があることはわかっていました。難しかったのは、何を作ったらいいのかわからないということでした」。

―― どのようにクリアしていったのでしょうか?

飯田「最初からずっと意識していることなんですけど、『赤ちゃん向けのコンテンツを作るぞ』という考えでは何も作れないんです。赤ちゃんにだって個性がある。番組作りをするときは、具体的な子どもの姿を想像しています。リアルな子どもたちが、何を作れば良いか教えてくれるんです」。

―― 逆に、番組を作るうえで変わってきたことはありますか?

飯田「実は『シナぷしゅ』は変わり続けた方が良いと思っています。子育てのリアルに合わせて、どんどんアップデートしていきたい」。

―― 何年か後に、今とはまったく違うものになっている可能性がある?

飯田「それが正しい姿なのかなって思っています。例えば、ずっと変わらない幼児向け番組には安心感がある。それは良いことだと思うんです。でも、同じことをやっても意味がない変わり続けるところが良いと感じてもらえれば嬉しい。幼児番組の選択肢を広げたいと思っています」。

―― 現在、最初のお子さんは4歳。そして2022年に第2子を出産されています。映画の制作期間とも重なると思うのですが、どのように両立されているのでしょうか?

飯田「かなり複雑な心境でした。でも、やりたかった映画も、第2子も諦めずにチャレンジしてみようと思ったんです」。

―― もっと育児に参加したいという思いはありますか?

飯田「子育てに関して、もったいないことをしているという気持ちはあります。でも、赤ちゃんって、すごく大人のことを見ているんですよ。第2子は、わたしが視界に入るとパーっと笑顔になる。多分、わたし自身が彼女にとってのコンテンツなんじゃないかなと思います。だから、あまり両立とか難しく考えないで、目の前のことをとりあえずやるぞって感じですね!」。

―― 最後に映画の見どころを教えてください。

飯田「とても『シナぷしゅ』らしい映画ができたと思います。子どもを連れてのお出かけって、とても大変ですよね。でも、この映画は、肩肘をはらずに、いつもの『シナぷしゅ』を見る感覚で映画館に来てもらいたい。騒いでも泣いても良いよって、すごく温かい空間になるはずなので、みなさんぜひリラックスして見にきてくださいね」。


映画に登場する新キャラクター、タオルのようせい「にゅう」(左)の声は、玉木宏さん。

 

DATA

映画『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』
2023年5月19日(金)ぷしゅっと全国ロードショー


赤ちゃんが泣き止むと話題の民放初の赤ちゃん向け番組「シナぷしゅ」がついに映画化!「シナぷしゅ」は脳の神経細胞と神経細胞のつなぎ目である「シナプス」が番組名の由来。赤ちゃんの世界が「ぷしゅっ」と広がり、赤ちゃんを育てるすべての人の肩の力が「ぷしゅ~」と抜ける番組を目指しています。
0歳から2歳の乳幼児をターゲットに東京大学赤ちゃんラボの開一夫教授監修のもと、赤ちゃん目線を大事に制作されてきました。
同教授推薦作品であり、オリジナルストーリーとなる本作は、メインキャラクターぷしゅぷしゅを主人公に、相棒となる新キャラクター「にゅう」と宇宙への冒険を繰り広げます。番組おなじみの仲間たち、人気コーナーや歌が次々と登場するおはなしパートは、0歳から楽しめるあっという間の約40分。
たくさんのお友達と感動を共有できる映画館ならではの体験は、大きくなっても心に残るかけがえのないもの。
「真っ暗じゃない照明。やさしい音量。泣いても大丈夫なあたたかい雰囲気。」で赤ちゃんの“にゅうシネマたいけん”(映画館デビュー)にピッタリの作品です。

【声の出演】ぷしゅぷしゅ/岩本彩楓 浮世絵さん/嶋川武秀(母心)
ひーたん・みーたん/矢内雄一郎・松丸友紀(テレビ東京) 他
【特別出演】にゅう/玉木宏
【企画・プロデュース】飯田佳奈子(テレビ東京)
【制作】テレビ東京・CEKAI
【配給】ローソンエンタテインメント
【HP】『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』オフィシャルサイト

©SPMOVIE2023

 

PROFILE

飯田佳奈子
1988年群馬県富岡市生まれ。テレビ東京「シナぷしゅ」統括プロデューサー。東京大学を卒業後、2011年にテレビ東京に入社。制作局や営業局など複数の部署で経験を積み、2018年に第1子を出産。育休中に国内の乳幼児向けコンテンツの選択肢の少なさに疑問を持ち、育休明けすぐ「シナぷしゅ」を企画立案。番組の放送だけでなく、ビジネス面も含めたコンテンツ統括プロデューサーを務める。2022年には第2子を出産。

» テレビ番組「シナぷしゅ」公式サイト
» 「シナぷしゅ」公式Twitter
» 「シナぷしゅ」公式Instagram
 


写真/松尾夏樹
取材・文/いずみかな

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