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時事・コラム

0歳から参加できるパリのオーケストラって?世界の子育てニュース5選

世界の“子育て事情”をお届けするWORLD DAD JOURNAL。フランスでは0歳から本格的な音楽に触れる機会が用意されている。ファッションの国・イタリアには子供向けファッションスクールまで! 5つの取組みを紹介する。

メイン画像:パリ市内のコンサートホール「サル・ガヴォー」での様子 ©Fabien Baron

FRANCE
0歳から参加OK!
一流オーケストラが開く本格演奏会

パリの著名な民営オーケストラ・ラムルー管弦楽団が開催する0〜5歳を対象にした演奏会「べべ・コンセール」。開催時間は子供も集中できる30分間。


左:「べべ」とはフランス語で「赤ちゃん」という意味。右:管弦楽の他にマリンバやアコーディオンなど楽器をテーマにすることも。 ©Fabien Baron

2016年から市街劇場で定期的に行われており、モーツァルトやバッハなどの古典からショパン、ガーウィン、中近東音楽まで毎回趣向を凝らす。首都であるパリを筆頭に、フランスでは子供から大人まで芸術に触れられる機会が敷居低く存在している。創造性を大切にするこの意識こそ、芸術が興隆する源泉なのだ。

DATA

ラムルー管弦楽団:orchestrelamoureux.com

文:守随亨延

ITALY
未来のデザイナーを育てる?
子供向けファッションスクール


ファッションの国・イタリアを体現するような子供向けのファッションスクールがミラノとローマにある。ファッションの世界を広く理解することを目的に、刺繍や縫製、スタイルの研究からファッションデザインに至るまでの様々なコースを、幅広い年齢層に合わせて展開。

小さい子供達にとっては将来のためという意識はないかもしれないが、創造性や忍耐力、集中力を養うためにも役立つ。未来の有名デザイナーはこうした環境から生まれるのかもしれない。


ファッションの国ならではの本格的な内容で子供たちの才能を伸ばす。

DATA

アトリエ ピッコリ スティリスティ:www.atelierpiccolistilisti.com

文:田中美貴

NETHERLANDS
父子の絆を育む
夏休みを活用したアウトドア旅


オランダ人にとって“バケーション(休暇)”は単なる休みではない。仕事同様、生きる上で欠かせない意義ある時間という位置付けの中、子供の夏休みに合わせ父親が最低3週間の休暇をとることは社会制度として可能なだけでなく、当たり前の事として捉えられている。

自転車王国で運河も多いオランダでは、子供と二人でカヌー旅や自転車でオランダ横断10泊キャンプ旅など、父親は子供と濃密な時間を過ごしている。このような時間が父子の絆を育んでいくのである。


写真右:12歳の息子と二人、自転車でキャンプ旅へ。道中、炊事洗濯はもちろん、パンクしたタイヤも自分たちで修理しながら10泊700キロを完走。
写真左:川や湖、海が身近にあるオランダでは水場は常に人気の遊び場。同時に水の事故を防ぐための様々な対策があり、水事故防止への親の意識は高い。©Ron Lach

文:米屋香林

USA
ポジティブな父親像を学ぶ
父親育成プログラム


少人数の父親で自由に討論するフォーカスグループも実施。これを通じて父親がよいコミュニケーターになることで、家庭内の争いを減少させ、結果的に子どもたちのトラウマやストレスを減少させる。

メンタリングや教育といった子育てサポートを父親に提供する「バッファロー・ファーザーフッド・インスティテュート」。父親が信頼できる養育者になることで、子供たちの生活や総体的な幸福度を向上させることを目的に2017年に創設。

13週間の父親育成プログラムではコミュニケーション・スキルなど養育について学び、カウンセリングを受ける。参加者は「これまで描いていた父親像が変わった」「養育者として仲間がいると励まされた」と評判も上々。

DATA

バッファロー・ファーザーフッド・インスティチュート:bppn.org/programs/buffalo-fatherhood-initiative

文:大山真理

GERMANY
父母の連携は当たり前 
保護者が運営する認可保育園*


ミュンヘンにある「ドラッヘンアイ」で行われる夏祭りの目玉イベント、手押し車競争。行事進行も保護者の役目。

主にドイツの都市部に存在する「エルテルン・イニチアティーヴェ」(Elterninitiative。直訳は「両親のイニシアチブ」)。保護者が公益法人協会という形で運営する保育園だ。保育士は従業員として雇われ、他の業務(財務、建物管理など)は父母が無償で担う。

7500校以上ある認可保育園は助成金対象となり、公立保育園並みの料金で子供を預けられるため、待機児童問題が顕著な地域では助け船になっている。他校に比べパパ友を作るチャンスが多く、子供の日常がより鮮明に見えることが大きいメリットだ。

*ドイツでは保育園も幼稚園も同じ管轄なため、ここでは幼稚園も含む総称として「保育園」と言う。「保育士」も保育士・幼稚園教諭の総称として扱う。

DATA

連邦労働共同体 エルテルン・インテアティーヴェ:www.bcaje.de

写真・文:町田文


FQ JAPAN VOL.66(2023年春号)より転載

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