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子供の想像力を育む映画って?親子で学び、楽しむショートフィルムの魅力

子連れでの映画鑑賞はハードルが高い。そんな悩みを持つパパ・ママに向けた短編映画上映会が開催された。上映会の様子と子供たちも楽しめる作品の特徴を紹介しよう。

心理的なハードルが高い
子連れの映画鑑賞

映画(映画祭を含む)への不満を1万7,000人にリサーチ※したところ、AIが分析し見つけ出したのは「家族、特に子どもと映画を観たい」という子育て世帯の切実な願いだった。この背景には「子供が騒いでしまったら申し訳ない」「長い映画は子供が飽きてしまって観られない」「出入りがし辛い」といった、パパ・ママが抱える不安が存在し、子連れでの映画鑑賞のハードルの高さを示すものだった。

そんな子育て世帯のニーズを満たすべく開催されたのが『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA) 2022 キッズプログラム 』。世界各国から、子供も楽しめるショートフィルムを集め、6月17日(金)~18日(土)の2日間、二子玉川ライズにて上映会を実施した。作品だけでなく上映会自体を楽しんでもらうためにベビーカースペースを設置し、入退場は自由、子供が声を出してもいいようにアナウンスで声掛けをするなど、子連れに優しい取り組みが多く導入された。

※インサイトテック社とSSFF & ASIAによるアンケート調査(2021年実施)

言葉に頼らず表現する
ショートフィルムの可能性

飽きやすい小さい子供でも集中が保てる10分以下の尺で作られたショートフィルム。その特徴は、会話ではなく、音・色・動きなどの様々な方法を用いて、文字が読めない小さい子供でも楽しめるように作られている点だ。今回上映された作品の中からいくつかピックアップしてその見どころを紹介しよう。

ロストブレイン


Isabelle Favez/スイス

くしゃみをするたびに脳の一部が消えてしまうワニの物語。登場人物はワニのルイーズだけで、脳が失われていく様子は色が徐々に減り、白黒の世界になっていくことで描かれる。シンプルながらも印象強くわかりやすい表現は、子供たちにも直感的に感じることができるだろう。

忘れられたデンタルフロス


Paul Wong /ニュージーランド

ある家庭の洗面所に置かれたデンタルフロスが人生の目的を探す危険な旅に出るストーリー。実写の家族や洗面所にキャラクター化されたデンタルフロスが混じり込むため、どこか現実で起こっているかのような奇妙な世界観。デンタルフロスの表情がコミカルに移り変わるので話がわからなくても飽きずに観ることができるはずだ。

こまねこのおるすばん


合田 経郎 ©TYO/dwarf・こまねこフィルムパートナーズ / 日本

お留守番をするねこのおんなのこのお話。おじいちゃんが出かけ、一人留守番をするねこのこまちゃんはおじいちゃんが帰ってきたときに喜んでもらうために頑張るが様々なアクシデントがこまちゃんに降りかかる。ストーリー性もあり、小さい子供だけでなく小学生から大人まで幅広い層が楽しめる作品になっている。

このように本上映会では、日本のみならず様々な国・地域の作品でプログラムが組まれている。この理由は、隔たりなく世界各国の文化や価値観、考え方をフラットな目線で楽しめることを目的としている。セリフがほとんどなく、色や音楽、表情で演出された世界は視点によって感じ方も様々。親子でどこが面白かったかコミュニケーションを取ってみると、新しい気づきも生まれさらに作品を理解することができるかもしれない。

アニメーション監督が語る
原体験と作品つくり

小さい子供たちも楽しめるショートフィルム。では作り手側はどのような思いを持って制作しているのだろうか。同イベントにて上映された「こまねこのおるすばん」の監督である合田経郎さんにショートフィルムの魅力を伺った。


合田経郎さん 株式会社xpd ドワーフのディレクター・キャラクターデザイナー。CMディレクターとして演出家のキャリアをスタートし、アニメーション作家に転身。主な作品に「どーもくん(NHKキャラクター)」「こまねこ」「ミドすけ(三井住友銀行キャラクター)」「モーグとペロル」など。

「ショートフィルムの魅力は、『想像の余地』がたくさんあることだと思います。ストーリーを自由に解釈できることで、一度見た作品でもまた見たときには新しい発見がある。こまねこは、人形をちょっとずつ動かして撮影を繰り返すことで、連続でみるとパラパラっと動いて見えるこま撮りという手法なのですが、1日に大体5秒くらいなんですよ、撮れるのが。そんな手間暇がかかっているからこそ、大人も子供も等しく、タイムレスに楽しんでもらえる作品を目指しています。「面白かったね」でおしまいではなく、作品の内容をディスカッションしたり、家族のコミュニケーションのタネにしてもらえると嬉しいですね」。

2003年に公開された『こまねこはじめのいっぽ』から長い間愛され続けるこまねこシリーズ。その人気ぶりは、日本国内を飛び出しフランスでも大ヒット。2009年春に劇場公開もされ、現在もロングラン上映中なほど多くのファンたちを世界に抱えるまでになった。その理由のひとつは、ショートフィルムの特徴である「言葉を使わない演出」があったと言えるだろう。また、子供の頃にこまねこを見て、アニメーションの仕事に就いたクリエイターも多いのだとか。世代を繋ぐ作品を作る合田さんのアイデアはどこからやってくるのだろうか。

「今回上映した『こまねこのおるすばん』は、子供の頃の思い出が元になっています。親が忙しくて夏休みに留守番をすることがよくあったのですが、その頃を思い出して作りました。自分にしか感じられないリアルなものをストーリーに入れようとすると、子供の頃にあったことをネタにすることが多いですね」。

幼少期の記憶は鮮明に残っていることも多い。そうした原体験は、大人になってからの記憶よりも多くの情報量やリアルな感覚を持っており、私たちのアイデンティティを作り上げる基礎にもなる。最後に、合田さんのルーツとなった体験と上映会の意義について教えてもらった。

「小さい頃、近所で屋外上映のイベントがあったんです。子供たちがみんな集まって大きなスクリーンで映画を観るというものだったんですが、普段は野球やサッカーにしか興味がない友人たちもみんな夢中になって同じ作品を観るという体験は思い出深く残っていますね。いまは、サブスクリプションサービスなどで好きな作品をいくらでも観られますが、未知との遭遇は減っている気がします。知らなかった作品に触れ、新しい世界を開いてくれるこういった上映会はきっと子供たちにとってもいい体験になるのではないでしょうか」。


取材・文/FQJAPAN編集部

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