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インタビュー

斎藤工が“妊娠している男性”を演じる? ドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』に見る、想像力の必要性

斎藤工・託児プロジェクト始動!
ママへ休日をプレゼントできる撮影現場

斎藤工さん
「俳優としてこれまで出会った方たち、例えばスクリプターさんやヘアメイクさんなど、子供ができたのでこの業界を1回辞めます、と言ったまま帰ってこないケースを多く見てきました。

仕方ないのかな、とどこかで諦めていたのですが、フランスやシンガポール、韓国、アメリカといった現場を見てきて、むしろ海外では撮影現場が優れた才能の受け皿として存在している現状がありました。

どうして日本では子供ができたら社会と離れないといけないんだろう? 現場に託児所があれば少し変わるのではないか? そう思い、2020年公開の安田顕さん主演で、僕が監督をしたHBOのプロジェクト、弁当物語「フードロア:Life in a Box」で、スタッフに何人か小さいお子さんがいるということで、撮影場所の群馬県高崎市と掛け合って託児所を設けました。

現場に託児所があると、女性だけでなく、男性スタッフさんもお子さんを預けられます。「休日ができたとうちの妻が大喜びでした。ありがとうございます!」という声が多く上がりました。
僕も小さい頃、父親が映像制作の人間だったので、現場によく連れて行ってもらっていました。

だからこの世界を志し、今の僕があります。親がこうして働いているから自分はご飯を食べていけるんだ、ということを子供ながらに感じた良い経験でした。託児所が現場にあることで、妊娠・出産・育児で多くの才能が失われない未来に繋がることに、微弱ながら貢献していきたいと思っています。

FQ読者のみなさんへのメッセージ

坂井恵理先生
どんなに漫画で妊娠している男性をリアルに描いても、妊娠や育児の経験をしてない人が想像するのは難しいものです。続編の育児編のあとがきにも書きましたが、私はただ『妊娠は病気ではない(だからケアの必要はない)』『育児は母親がするもの』と考えたり、妊娠を他人事としてしか受け止められない一部の男性に、女性への想像力を持って欲しい。この作品を通じて、想像するきっかけになり、疑似体験をしてもらえると思いました。
『ヒヤマケンタロウの妊娠』では、男性が育児をするってすごくいいよね、というメッセージが込められています。そんなメッセージをより多くのみなさんに受け取ってもらえたら嬉しいです。」

斎藤工さん
「シスジェンダーの男性の妊娠・出産をテーマにした映画はこれまでいくつかありましたが、この作品は亜季という働く女性が、桧山健太郎の妊娠とどう向き合うかというテーマも扱っています。命を宿した桧山の成長がテーマの主軸でもありますが、それを側で支える亜季という女性の物語が『ヒヤマケンタロウの妊娠』のもう1つの素晴らしい側面だな、と思います。上野樹里さんが演じる亜季というキャラクターが見事に体現しています。
女性が働きながら育児をするというテーマやダイバーシティ(多様性)といった僕らが日々、目を背け、蓋をしているテーマを、男女の役割の固定観念を逆転させることで、実際に生じている問題点がこういうものだ!と開かれる感覚がこのドラマに感じます。問題提起とまでいかなくても、議題のひとつのきっかけになるような、そして楽しい映像体験になればいいなと思います。」

DATA

Netflix シリーズ
ヒヤマケンタロウの妊娠
Netflix独占配信中


舞台は、男性も妊娠・出産する可能性がある世界。広告代理店の第一線で仕事をバリバリこなすハイスペック男子の桧山健太郎は、ある日突然、自分が妊娠していることを知る。パートナーの瀬戸亜季も自分が親になることは考えていなかったため、想定外の出来事に最初は戸惑う二人だった。「妊娠」したことを告げた日から、社内や社会から向けられるまなざし、「妊婦」が体験する苦労を「妊娠している男性」として向き合う桧山と寄り添い、共に迷う亜季。現代の妊娠・出産にまつわる多くの問題に直面しながらも、ついに二人は「産むか、産まないか」の決断を迫られる。そして、その決断の先にあるものとは・・。

キャスト:斎藤 工 上野樹里
筒井真理子 岩松 了 高橋和也 宇野祥平 山田真歩 / リリー・フランキー

原作:坂井恵理「ヒヤマケンタロウの妊娠」(講談社「BE LOVE」所載)
監督:箱田優子、菊地健雄
企画・制作:テレビ東京

» 「ヒヤマケンタロウの妊娠」を見る! «

 

©坂井恵理・講談社/©テレビ東京

 

PROFILE

斎藤 工 (TAKUMI SAITOH)

1981年、東京都生まれ。高校生の頃にモデルとして活動をはじめ、2001年に俳優デビュー。主な出演作は、ドラマ「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」「臨床犯罪学者 火村英生の推理」「BG〜身辺警護人〜」など。俳優のほか、映画に関する連載や番組出演、さらに2012年からは映画監督しても活動。主演映画『シン・ウルトラマン』が5/13公開、監督映画『スイート・マイホーム』が2023年公開予定。
坂井恵理 (ERI SAKAI)

埼玉県出身、漫画家。代表作は『ヒヤマケンタロウの妊娠』シリーズ、BSテレ東でドラマが放送中の『シジュウカラ』など。自身の妊娠・出産経験を綴ったエッセイ漫画『妊娠17ヵ月! 40代で母になる!』も出版。1児の母。


写真:松尾夏樹
取材・文:脇谷美佳子
スタイリング:三田真一(KiKi inc.)
ヘアメイク:赤塚修二(メーキャップルーム)

衣装:ジャケット¥292,600(税込)、シャツ¥108,900(税込)(THE ROW/THE ROW JAPAN 03-4400-2656)

 

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