日本の赤ちゃんは睡眠時間が短い!? 専門家が教える身に付けるべき睡眠習慣とは
2022/03/13
わが子が規則正しく十分な睡眠を取れているか、考えたことはあるだろうか。睡眠習慣は大きくなってから修正するのは難しい。乳幼児期にこそ理想的な睡眠を取ることが重要だ。
日本の乳幼児の睡眠は短い?
日本の乳幼児の睡眠時間は海外に比べて少ないといわれる。ある調査では、ニュージーランドやイギリスでは1日13時間超の睡眠時間が確保されているのに対して、日本では11時間となっている※。一方で共働き家庭の増加などライフスタイルの変化もあり、わが子を早めに寝かしつけられないパパ・ママが多いのも現実だろう。
そのため赤ちゃんに、夜にたっぷり眠り日中に活動するというリズムを身に付けさせてあげる必要がある。乳幼児の睡眠に関する課題を、アンケート結果から探ってみよう。
※出典:Mindell JA. Cross-cultural differences in infant and toddler sleep. Sleep Med 2010.pp.277
2歳までに身に着けたい健康に育つ眠りの3条件とは?
江崎グリコ株式会社は、0歳から2歳までの長子を持つパパ・ママに、子供の睡眠に関するアンケート調査を行った。
調査ではまず、「理想的には、乳幼児に何時ごろに就寝してほしいと思いますか」と聞いている。その結果、7割近くが21時までに就寝してほしいと考えていることがわかった。
一方、実際の就寝時刻を尋ねると、21時までに就寝できている家庭は5割に満たなかった。
寝付くのが遅ければ当然、朝起きるのも遅くなる。子供の就寝時刻と起床時刻をクロスしたところ、21時以前に就寝している子供に比べて、21時以降に就寝している子供では、7時までに起きている割合が27.3%も低いという結果に。
また、毎日の就寝、起床のリズムを保つことも大切だ。子供の睡眠について課題を尋ねたところ、「子供が眠りにつく時間が、日によってバラバラである」「子供が夜中に目を覚ますことがある」が多く、いずれも4割近かった。
さらに、就寝時刻のバラツキは何時に寝るかも関連があるようだ。21時以前に就寝している子供で、パパ・ママが就寝時刻がバラついていると感じているのは37%。
その一方で、21時以降に就寝している子供では46%だった。早めに寝る習慣のある子供は、一定の時刻に寝る習慣もついているのだ。
熊本大学名誉教授の三池輝久氏はこう語る。
「人の体内時計は2歳頃までに完成するといわれており、それまでの期間に睡眠リズムを整えることが、非常に重要となっています。乳幼児の心と体がバランス良く健康に育つための眠りには3つの条件があるとわかっています」
1.夜間基本睡眠時間として9-11時間(平均10時間)の持続した睡眠であること
2.夜間睡眠は夜7時から朝7時までの間に取ること
3.毎日の入眠・起床時刻がそれぞれ前後30分以上ばらつかないこと
このことを考えると、7時までの起床を習慣づけたい。そこから逆算して10時間の睡眠を確保するためには、21時には就寝することが必要になる。
また、就寝、起床時刻のバラつきは習慣化の妨げになるだけでなく、疲れやすくもなるという。休日だからといって、パパ・ママと一緒に子供も夜更かしや寝坊をするのは避けた方が良さそうだ。
まずはわが子の睡眠を記録!
調査からは、子供が適切な睡眠習慣を着けづらい現代生活の在り様も透けて見えるようだ。
働き方の多様化は、働く側の生活スタイルを乱しかねない。規則正しい睡眠習慣は大人にとっても重要なこと。パパ・ママは自身の生活管理にも十分気をつけてほしい。
子供の睡眠については情報サイトや、アドバイスをもらえるアプリなどもある。まずはわが子の睡眠について記録をつけてみるのもオススメだ。
〈調査概要〉
・調査目的:0~2歳までの子供を持つ家庭における「睡眠」に関する課題を調べる
・調査手法:WEB定量調査
・対象者:長子0~2歳までの子育て家庭、かつ、配偶者と同居している20~49歳の既婚者
・サンプル:800人
・調査日:2021年10月4日(月)
文:平井達也