男性育休の推進で離職率が低下!? イクメン関連イベント開催!
2020/10/21
先月ご紹介した厚労省の「イクメンプロジェクト」。育児と仕事を両立するパパたちによる「イクメンスピーチ甲子園」や、パパの育児を応援する企業やその代表を表彰する「イクメン企業アワード」、「イクボスアワード」などのイベントが今年も開催される。その気になる概要とは?
妻のキャリア形成を重んじ
海外移住を決めたパパも
前回の記事では、おもに「イクメンプロジェクト」の概要をお伝えしました。今回は、「イクメンプロジェクト」の一環として開催される各種イベントについて、重点的にお話したいと思います。
まず、今年10月に決勝スピーチが開催される「イクメンスピーチ甲子園」について。こちらは、育児と仕事を両立させているパパに、両立にまつわるエピソードを広く発信してもらうコンテストです。
審査基準は、スピーチの内容に「育児と仕事を両立させるための工夫」、「苦労したこと、嬉しかったことなど、広く共感できるエピソード」、「今後も育児を継続するための工夫」が含まれているかどうかで、例年、育児に対して真摯な姿勢をもつ多くのパパたちが登壇しています。
また、育児への向き合い方やスピーチ能力などが特に評価されたパパが、優勝者(イクメンの星)に選定されます。ちなみに昨年は、合計26名の方から応募があり、ステキなエピソードが多く寄せられました。
優勝者ではありませんが、印象的なエピソードだったのは海外在住の、ある男性のスピーチでした。この男性は、妻の海外赴任をきっかけに、妻と子供の家族3人で海外に移住されたそうです。妻のキャリア形成を重んじて海外移住を決めたこと、共働きだからこそ妻と協力して育児に取り組んだことが盛り込まれたスピーチで、とても印象的なものでした。
男性育休の推進により
離職率が低下した企業が登場
また、今年11月にオンライン表彰式が実施される予定の「イクメン企業アワード」と「イクボスアワード」も、ぜひ注目していただきたいイベントです。
これらは、男性社員の育児と仕事の両立を推し進めている企業や管理職にスポットをあてるイベントで、表彰などを通し、パパの育児休業取得がさらに進むこと、パパたちを取り巻く労働環境が整うことを目標としています。
昨年は、独自の「育児支援手当」などを導入し、男性社員の育児休業取得率を上げた「イクメン企業」、時短勤務を取得して効率的に仕事を行い、部下たちのモチベーションアップに努めた「イクボス」がフィーチャーされました。なお、「イクメン企業アワード」は今年で開催8年目、「イクボスアワード」は今年で開催7年目を迎えますが、これまでの成果といえる喜ばしい報告が届いています。
本アワードでの受賞後も、取り組みを継続・充実させた結果、男性社員の育児休業取得率がアップしたうえ、社内の離職率の低下、残業時間の削減などに成功した企業が登場しているのです。
特殊な状況で見出された
思いがけない副産物
企業や職場内における男性の育児と仕事の両立に係る取り組みは、思いがけない副産物ももたらしたと考えています。
昨今、蔓延している新型コロナウイルス感染症の予防策として、テレワークを導入した企業が多く見受けられますが、「イクメン企業」や「イクボス」は、そうした柔軟な働き方へスムーズに移行できたと思います。両者は仕事と育児の両立を推進するため、ワーク・ライフ・バランスや生産性向上の取り組みを推進してきたのですから。
感染症の蔓延という特殊な状況においても、仕事と育児の両立支援は効果的な取り組みといえるので、今後も積極的に周知していきます。また、テレワークにより、子供と過ごす時間をより確保できるようになったパパたちには、「イクメンの星」の育児体験談をぜひ参考にしていただきたいですね。
DATA
厚生労働省 雇用環境・均等局
職業生活両立課
文:緒方佳子
FQ JAPAN VOL.56(2020年秋号)より転載