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「幼保無償化」から4か月。 今、保育現場で起こっていることとは

2019年10月に幼保無償化がスタートした。子育て世帯にとっては喜ばしいことだが、幼稚園、保育園の現場では人手不足が懸念されている。4月には、無償化後初めての新年度を迎える。入園希望者の増加が見込まれるが、安心して子供を預けられる施設運営がなされるかが課題だ。

園への要求が拡大

無償化の背景として、少子化に歯止めをかける必要、家庭の収入格差が子供に及ぼす影響を抑える必要が挙げられる。

しかし子供を受け入れる側の幼稚園、保育園の体制が整わなければ、安心して子供を預けることができない、教育や保育の質が低下する、などの悪影響が広がってしまう。

まず、親の側の思いを拾ってみよう。

保育に特化した求人サイトを運営するキャリアフィールド株式会社は「幼稚園、保育園に子供を通園させている」「4月から通園させる予定」のママ624人に意識調査を行った。その結果、4月から通園させる予定のママのうち31.5%が、無償化をきっかけに幼稚園や保育園の通常利用を考えたことが判明した。



また、「幼稚園の預かり保育」「保育園の延長保育」「幼稚園の後に保育園の延長保育」を利用しようと思っているママが一定数いることにも留意する必要がある。無償化により、施設に対する要求が多様化したのだ。そうした要求は4月から通園させるママばかりでなく、すでに通園させているママの間にも広がっている。園側の負担増は必至だ。

保育士の増員がカギか

前川喜平氏は2019年4月28日の東京新聞のコラムでこう書いている。

「一律無償化よりも前に待機児童の解消を行わなければならない。待機児童の解消のためには認可保育所の増設が必要だが、保育所不足の最大の原因は保育士不足であり、保育士不足の最大の原因は勤務条件の悪さだ。」

確かに、保育士の増員が伴わなければ、多様化するニーズに応じきれず教育、保育の質の低下につながるだろう。もちろん政府も手をこまねいてきたわけではない。保育士の処遇改善に取り組んだ結果、保育士の人数は過去8年で11万人、年収は33万円アップしたとしている。

今年度予算も不足する事態に

2019年11月には早くも心配なニュースが流れた。2019年度の幼保無償化にともなう財源が300億円不足しているというのだ。先日開会された通常国会で議論がなされるのか、注目されるところだ。国、または自治体の2020年度施策や予算措置にも気をつけておきたい。

幼保無償化は消費増税とセットで実施された経緯がある。累進性が低い消費税を引き上げて、無償化の財源としたことについては、改めて検討する必要もあるだろう。子育てを社会ぐるみで支えるとはどういうことか、考える素材がそこにあるはずだ。



DATA

キャリアフィールド株式会社


Text:平井達也

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