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“育児アドバイザー”狩野さやかさんの講座から学ぶ。育児の責任を分け合うことの必要性

狩野さやかさんの講座「産後の「ズレ」を乗り越える! 笑顔が増える家庭のコミュニケーション術」で分かった、育児において考えるべき夫婦関係とは。

前編:心身ともにボロボロな子育ての実態とは?

いつ危機に陥っても
おかしくない子育て

では、どう対処すれば乗り切れるだろうか。狩野さんはパパとママでちゃんとチームを形成することを提案する。

多くのパパが、ママを応援し、手伝おうとしているのではないだろうか。その気持ちは尊い。しかしママが切実に必要としているのは、パパも当事者となってくれることなのだ。

ママは手伝う対象ではなく、ケアする対象だ。分娩という大きな仕事を終えた途端、子育てというさらに大きなミッションに直面しているママは、仕事でいえば「弱っている同僚」だ。

ここはパパもママと一緒に当事者として、子育てをチームの課題として認識しよう。具体的に何をすればいいか。狩野さんが勧めるのは家事育児の分担をプロジェクトスタイルにすること。

パパが「できることを手伝う」というスタンスのままだと、家事育児において責任を持ち判断するのはママであり続け、負担感は減らない。

家事育児を種別にプロジェクト化し、それぞれプロジェクトリーダーをパパかママかに決め、リーダーの裁量で全工程を完結させるのだ。あなたは何が担えるだろうか。

トイレ掃除プロジェクト、風呂掃除プロジェクト、ゴミ管理プロジェクト、在庫管理プロジェクト、新聞管理プロジェクト、弁当作りプロジェクト……。

何かしら遂行できるミッションはあるはずだ。リーダーを決めたらちゃんと任せることが大切だ。

もしかしたらパパのやり方にママは不満を持つかもしれない。しかしそこで口や手を出してしまったら、またママの負担が大きくなってしまう。


肝心なのは「担当」ではなく
「責任」を分け合うこと

パパは本気で時間を確保しよう。仕事時間を全く減らせないだろうか。本当に減らすことが無理なら、通勤時間にアマゾンで買い物をすることはできないだろうか。

ママに自分のための家事をさせないこともチームのためにできることだ。靴下を裏返しに脱ぎっぱなしにしないことだってチームへの貢献だ。

ママは本気でギブアップしよう。パンクする前に「もう限界! 助けて!」と言うのは正しい判断だ。

そして二人で本気でレベルダウンしよう。そもそも育児期とはサバイバル期、非常時なのだ。育児期にまつわるイメージとして、あなたはどんな言葉を思い浮かべるだろうか。

「やすらぎ、ていねいな暮らし、愛情、やわらかい、あたたかい」 もしかしたらそうした言葉かもしれない。

しかし現実はこんな言葉で埋められる。「疲労、眠い、家事ができない荒れた生活、子供の生命維持、くさい、汚い」

育児期に100%の家事など不可能だ。二人で負担した上で、二人で手を抜こう。やりたい家事の60%を二人で達成できたら万々歳だ。

必要に応じて自治体の子育て支援施策や民間の家事代行サービスを利用するのも手だ。「でも、心だけはアウトソーシングしないで」と狩野さん。

講座の終盤ではこんな事例をもとにグループディスカッションが行われた。

「ママが疲れた様子でガチャガチャと音を立てて夕食の準備に取りかかった。料理のできないパパは居心地が悪い。さて、あなたならどうする?」

もちろん正解は一つではないが、たとえば「よし、今日は弁当にしよう。俺が買ってくる」と提案するのはアリだ(ちなみに、「無理して作らないで弁当でも買えばいいのに」なんてのはもちろんバツ)

そう、必要なのは当事者的ソリューション(解決策)提案だ。最後に狩野さんは、講座参加者に贈る言葉としてこう話した。

「自分たち二人の子供と一緒に、家族みんなで笑顔で楽しく過ごしたい。その思いは同じはず」 その原点を忘れなければ、夫婦がズレることなく育児期を乗り越えられるはずだ。



DATA

狩野さやかさんの講座:「産後の「ズレ」を乗り越える! 笑顔が増える家庭のコミュニケーション術」

※本講座は終了しています。


Text:平井達也

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