“医学的”に考える男の育児! 第1弾「遊び編」
2016/03/30
お世話のメカニズムやウンチクを知ることで、あなたの育児レベルは格段にUPする。今回は父親の子育て基本となる3つのポイントを医学的視点で見直してみる。第1弾は「遊び」をピックアップ!
「運動神経」をより成長させるには
“繰り返し”がポイント
アメリカの人類学者・スキャモンは子供が成長するとき器官や機能は個別に発達すると唱え、神経系型、リンパ系型、一般型、生殖器系型という4つの型の発達発育曲線を発表。
中でも神経系型とはリズム感や体を動かす器用さを担う、いわば運動神経のこと。生まれた直後から4・5歳ごろまでに約80%が成長し、12歳頃までに約100%近くになるという。
運動神経とは脳からの指令を伝える回路のこと。例えば歩く・投げるなどの動作をするときは脳からの指令が運動神経によって脊髄や筋肉などに伝わることでその通りにできるようになるが、この回路(運動神経)は繰り返すことで発達する。
そうして、走る・投げるなどの新しい動作を獲得していくのだ。回路のバリエーションが多いと運動が得意な子になりやすいと言えるのだ。
子供の成長の
メカニズムを知ろう
0歳児
運動発達がめざましい時期
首すわりから立っちまでと劇的に運動発達が進む時期。視覚や触覚などの感覚器、脳を含む神経、骨と筋肉が発達し、互いに協力し合うことで運動発達を獲得していく。運動発達は首すわりの後は寝返り、というように次にできる発達の目安がつきやすいので、寝返りしそうなら平らな堅い場所で寝かせるなど、発達に合わせた環境作りを。外に出かけて五感を刺激することも運動神経を発達させることにつながる。
1歳児
運動神経の発達を促したい時期
歩けるようになり行動範囲が拡大。指先の動きも巧みになり、ボールを相手に向かって投げたり蹴ったりができるように。楽しみながら身体を動かして遊べる時間を作り、運動神経の発達を促していこう。まずはお手本を見せ、できない部分を手助けするといいだろう。また、安全を確保しながら、土や芝生、スロープのある場所で歩かせるなど、いろいろな場所での外遊びに誘うのもおすすめだ。
2歳児
身体の下地作りをしたい時期
ジャンプをしたり、2歳後半には片足で数秒間立てるようになり始める。公園の遊具も1人で上手に使えるようになる。自我が強くなり、何でも自分でやりたがるので、やってできないところをさりげなくサポート。想像力が豊かになり、ごっこ遊びやなりきり遊びも楽しめるので取り入れよう。様々な動きや動作を繰り返し行い、さらにレベルアップした動作を獲得できる環境に連れて行くなど、動ける身体への下地作りをしていこう。
緑園こどもクリニック 山中龍宏 先生
東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部小児科講師、こどもの城小児保健部部長などを経て神奈川県横浜市に「緑園こどもクリニック」を開業。NPO法人SafeKids Japan理事長なども務め、子供の事故、安全対策について造詣が深い。
Illustration » MASAFUMI OHNO
Text » RIE SUGITA
FQ JAPAN DIGEST VOL.34(2015年秋号)より転載