「空気を読むより、空気を変えろ」男の育休で改革を
2016/01/25
昨年末から国会議員の育休宣言が話題だ。FJでは10年前から父親の子育て推進活動を続けており、今回の議員のアクションと社会の反応を興味深く見ている。
昨年末から国会議員の育休宣言が話題になっている。NPO法人ファザーリングジャパン(FJ)では、10年前から父親の子育て推進活動を続けているため、今回の議員のアクションと社会の反応を興味深く見ている。
そこで去る1月18日に、「どうなる? 議員の育休~永田町が変われば、日本の子育て・WLBが変わる~」と題した緊急フォーラムを東京都・日本橋にて開催した。フォーラムには、育休の取得を宣言している自民党・宮崎謙介衆議院議員をはじめ、過去に育児休暇取得経験のある成澤廣修文京区長、サイボウズ代表取締役社長である青野慶久らが出席。国会議員の育休取得が社会にどのような変化をもたらすのかについて議論を交わした。
そもそも「育休をとること」だけが父親の子育ての全てではない。本フォーラムにおいても、国会議員の育休取得の是非だけを議論するつもりはなく、その先にあるもの、男性議員や男性会社員が育休を取ることで、「働き方改革」「女性活躍」「少子化対策」「次世代育成」などに対する社会的効果や「産後ママのケア」、企業社会にまだ残る「マタハラ」や「パタハラ(男性の育児参加への圧力)」防止、「非正規の育休取得」「イクボス」等々が抱える課題などについて、前向きな議論が行われた。
登壇頂いたパネラー達は、今後の日本社会のあり方を見据えて、様々な角度から発言してくれた。働き方変革としての’男性育休’や、その社会的インパクトなど、宮崎議員を中心に熱く議論が展開された。
特に印象深かった発言は以下の通りだ。
「男性育休問題は『働き方改革』である」
「育児は夫婦でやるものだ」
「ケアワークの評価が低すぎる」
「目立つ人がまずやる。そうすると空気が変えられる」
「育休を取ることを前提に、上司が‘いつ取るの?’と部下にヒアリングすれば、取得率があがる」
「闘うべきは少子化問題」
「1億人いたら1億人の働き方がある」
「育休を取らない権利もある」
3児を育てた僕も感じているのだが、頭で「育児しなくちゃ」と考えていても意味がない。とにかく「やってみること」が重要。喜びも課題も、実践してみないと見えてこないのだ。
「育児をたくさんしたい男性」も「あまり興味のない男性」も、とりあえず父親になったら「自分ごと」として、育児に関ってみようといった姿勢を見せることが肝要。もちろん当人の意識だけでは十分でなく、どういった環境が必要なのか、家族や会社の上司・同僚はどのような働きかけをすべきなのか、男性の育休を増やすためには何が有効となってくるのか……そういったことも考えていかなければならない。
もちろん、「これだ」という正解はないかもしれない。しかし、FJは今回の出来事をフックに、「育児も仕事も楽しむ、笑っている父親」をさらに増やしていくつもりだ。
2月にパパになる予定だという宮崎議員に、僕はこのように伝えた。
「空気を読むより、空気を変えろ」
「パパになったら育児にどっぷり浸かってみなさい」
育児の面白さや大変さを味わう男性が増えることこそが、意識改革や働き方改革に繋がるのだ。
「響きました。肝に銘じてがんばります!」
かっこいいプレパパからは、そんな元気な返事が返ってきた。
安藤 哲也(TETSUYA ANDO)
1962年生まれ。2男1女の父親。出版企業やIT系企業を経て、2006年、NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ、5年間代表を務める。一時期は副代表であったが、2014年に再度代表に就任。NPO法人タイガーマスク基金代表。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員、子育て応援とうきょう会議実行委員、にっぽん子育て応援団団長、ラジオパーソナリティなどその活動は多岐に渡る。最新著書に『父親を嫌っていた僕が「笑顔のパパ」になれた理由』(廣済堂新書)がある。
●「FJ代表・安藤哲也の男の育児“ファザーリング”最前線」記事一覧
https://fqmagazine.jp/tag/fathering/
●「イクボス集中講座」記事一覧
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