多様性の高い職場づくりのために
管理職の育成推進を目指す企業同盟が設立
2014/12/15
今年3月から多様性のある働き方をマネジメントできる管理職「イクボス」を養成するべく、全国の企業で研修・セミナーを開催してきたNPO法人ファザーリング・ジャパンでは、イクボス養成に積極的な企業と共に「イクボス企業同盟」を設立。12月10日(水)に記者発表会を行った。
今年3月から多様性のある働き方をマネジメントできる管理職「イクボス」を養成するべく、全国の企業で研修・セミナーを開催してきたNPO法人ファザーリング・ジャパン(以下FJ)では、イクボス養成に積極的な企業と共に「イクボス企業同盟」を設立。12月10日(水)に記者発表会を行った。FJ代表・安藤哲也氏は設立の理由を「現代の管理職世代は、若い頃から無制限に働いてきた人が多く、育児や親の介護、病気などで時間制約のあるいわゆる“制約社員”のマネジメントは手探り状態。同盟の設立で企業の枠を超えて協力し、『イクボスのあり方』『養成のノウハウ』を共有して、企業社会におけるイクボスの増加を加速させることが可能となる」と語った。
加盟企業はみずほフィナンシャルグループ、全日空、コクヨ、グラクソ・スミスクライン、日立ソリューションズ、UBS証券、東京急行電鉄、サイボウズ、日本生命保険、富士ゼロックス、トヨタファイナンスの11社。来年中には50社の加盟を目指す。
会見では加盟各企業の代表者が登壇。製薬企業のグラクソ・スミスクライン社の伊藤幸美氏は「男性社員が育児休暇、介護休暇、時短勤務を普通に利用するようになれば世の中が変わる。するとパートナーの女性の社会進出、社会貢献の機会がグッと増える。その結果親世代の意識、社会の習慣が変わる。そのような理想的な社会を作るためには、イクボスの育成が不可欠だと思っています」と、イクボス推進の意気込みを語った。
“究極のボス”である社長への働きかけについて記者から質問が飛ぶと、FJの理事を務める川島高久氏は「啓蒙活動だけではなく、イクボスを育成すると会社経営する上で得をする、経営戦略上不可欠というところまで持って行きたい」と話した。
まだ産声を上げたばかりのイクボス企業同盟だが、加盟する企業を見るかぎりその影響力は強大。今後社会に対して、どのような発信をしていくかに注目したい。
株式会社みずほフィナンシャルグループ
人事担当役員 人事グループ長 執行役常務 神宮知茂氏
「多様な働き方を支えるために、働きがいのある職場づくりに努めます」
全日本空輸株式会社
人事執行役員 國分裕之氏
「お互いの事情を理解して支えていける環境を作っていきたいと思います」
コクヨ株式会社
人財開発部 部長 口村圭氏
「この同盟に参加することで、私たち自身のダイバーシティ・マネジメントを見つめなおす機会になると思っています」
グラクソ・スミスクライン株式会社
執行役員 コミュニケーション部門長 伊東幸美氏
「理想的な社会を作るためには、イクボスの育成が不可欠だと思っています」
株式会社日立ソリューションズ
常務執行役員 石川浩氏
「男性だけでなく、女性、それから管理職の意識を変える必要があると思います」
UBS証券株式会社
マネジングディレクター 人事部長 宇田直人氏
「多様なニーズを把握しながら尊重して、ワークとライフのバランスの満足度を高めることで、結果的に生産性をどう高めるかが重要です」
東京急行電鉄株式会社
人材戦略室 副室長 村井淳氏
「職場での人間的な関わり合いを大切にする。そのためにイクボスがもたらす意識改革を考えていきたい」
サイボウズ株式会社
執行役員 事業支援本部長 中根弓桂氏
「いろんな価値観があることを理解した上で期待する。それぞれの強みを活かしてどうチームワークを作っていくかを考えるのが、これからのボスなのかなと思います」
日本生命保険相互会社
執行役員 人事部長 田畑順二朗氏
「育児休業を取得した社員と上司のやりとりなどがイントラネットで確認できるのですが、最近は上司の意識がどんどん変わってきていることが実感できます」
富士ゼロックス株式会社
人事部 部長 小倉和宣氏
「労働組合もこの活動に積極的に取り組んでいます。労使双方でこの取り組みを進めていきたいと思います」
トヨタファイナンス株式会社
人事部 主査 鈴木昌子氏
「今後管理職の方たちには、今までの成功体験をアンラーニングしていただいて、イクボスになるよう取り組んでいただきたい」
【問い合わせ】
NPO法人ファザーリング・ジャパン
http://fathering.jp/
(2014.12.15up)
Text » MUNEKATASUMITO