浮気はボス猿だけに与えられた特権 …… で、あなたは本当にボス猿?
2014/07/21
離婚の原因で、現実問題もっとも多いのはやはり「夫の浮気」。「でも本当の原因は浮気じゃなく、状況を制御できない能力にある!」。業界髄一の肉食系イクメン・鈴木光司の浮気論が炸裂する!
離婚の原因で、現実問題もっとも多いのはやはり「夫の浮気」。「でも本当の原因は浮気じゃなく、状況を制御できない能力にある!」。業界髄一の肉食系イクメン・鈴木光司の浮気論が炸裂する!
結婚生活も何年かすると、勃発しがちなのが浮気問題。「この間、若い女の子とデートしちゃってさ!」なんて仲間に自慢しているうちはいいけれど、もし妻にバレちゃったら……。しかし鈴木光司のたまわく「浮気は男の本能」とのこと。鈴木先生、そんなこと言っちゃっていいの?
人間だって動物の仲間。本能的にオスはメスを求めてる! でも……
動物のオスというのは、あちこちに種をばら撒くことで、生命を維持してきたという長い歴史がある。これは人間も同じで、サルの時代から続いていること。だからさ、男の浮気を、人間特有のルールで厳格に禁止するのは、実はそもそも無理があるんだよね。誰だって、若くてキレイな女性アイドルが言い寄ってきたら、多少なりとも心が揺らぐでしょ? これがオスの本能。
一方女性は、自分をずっと楽しませてくれて、ワクワクドキドキさせてくれて、なおかつ安定した生活を与えてくれる男性を望む。でもそういう男って、そもそもがモテるからね。浮気しがちなの、残念ながら。だって女性のほうから寄って来ちゃうんだからしょうがない。だから女の人も「浮気したら別れる!」なんて絶対言っちゃダメ。そんなところに厳格さを求めるのは、男を追い詰めてしまうだけなんだからさ。
ただし、僕がこんなこと言ったからといって、これを読んでる男性諸君は調子に乗っちゃダメだよ。ここからが僕からのアドバイスだから、よく聞いて欲しい。
家庭を守るべき立場としては、浮気そのものよりも、浮気をすることで妻や家族に向かうべき優しさや思いやり、心遣いが遮断されてしまうのは非常にマズイ。これを、そうならないように制御できる自信と覚悟、そしてケタ外れの力量を持つ者以外はやってはならない。もしもコントロール不能に陥ってしまったら、例えば浮気相手が家庭にまで乗り込んでくることもあるだろう。奥さんが愛人に脅されちゃったりとかね。奥さんだって黙ってないだろうから、離婚になって慰謝料がどうだとか、子供がいたら親権問題がどうだとか……。そういうことになる可能性だって十分ある。
本能の話に戻ると、動物界では、強いオスだけがあちこちに種を撒き散らす。人間の祖先であるサルの中には、猿山のメスが全部ボス猿に支配されてる、なんて種族もあるらしい。この種族では、もっとも強いボスだけはセックスし放題でも、他の大多数のオ“ボス猿”のようなケタ外れな力量を持つ人間だけでしょ。
だから、猿山の周囲をチョロチョロしてるだけの力しかないんだったら、大それたことはやらないほうがいいね。それが僕からの、浮気に関するアドバイス。
鈴木光司
1957年生まれ。作家。2人の娘を持つDAD。1990年「楽園」(新潮文庫)で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。その後「リング」「らせん」(ともに角川ホラー文庫)が大ヒット。元祖イクメンとして「FQ JAPAN」創刊時より連載ページで自身の育児や愛妻術など父親としてのあり方を提言。
Photo » HAYATO IMAI
Text » MUNEKATASUMITO
※FQ JAPAN VOL.17(2012年冬号)より転載