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時事・コラム

共働き夫婦のための時短サイクルモデル~4つのスキルで実践~

ここでは、海外のトップ企業のビジネスマンによる「自分の時間を作る」タイムマネジメントを参考に、牧野さんが考案した時短サイクルの回し方について紹介する。夫婦二人だけでなく、周囲も巻き込んで取り組んでみよう。

STEP1 開示
「聞く」「書く」アウトプットで
モヤモヤを洗い流す


まずはアウトプットで自己開示をしてみよう。育児を経験した先輩・上司のロールモデルをみつける「聞くアプトプット」に加えて、「書くアウトプット」もモヤモヤ解消におすすめだ。方法は、電車移動中などちょっとした時間に、「どんな家族関係を目指しているのか」「子どもが何歳までに、どんなふうにキャリアを形成したいか」などを振り返って書くだけ。1日数分でもその時間をとることで、目指すゴールに行くための課題が明確になる。書いた結果を持ち寄り、パートナー同士で話し合うのもおすすめだ。

POINT
書くアプトプットのコツは、第三者的な視点に立って、自問自答をすること。わかりやすく説明する意識で書き起こそう。

STEP2 選択
価値追求マトリクスで
やる・やらないを選択


上の図は、牧野さんが考案した「価値追求マトリクス」というワークシートだ。このABCDに当てはまる仕事や家事を考え、「D・他の人でもできて、楽しめない」を積極的に手放し、「A・他の人にはできず、楽しめる」を増やす選択をしてみよう。自分は何が得意で、何が大切かを洗い出し、可視化するのだ。結果は、主体的に自分の時間を作るための優先順位の判断材料となる。また、Dを積極的に周囲に任せると、自分がいなくても仕事が回ることを実感でき、休みを取りやすくなることにもつながる。

POINT
Bの領域は好きなことだけに自然と時間を使いがち。冷静になって、他の人に任せられるタスクはないか、定期的な点検を。

STEP3 決断
完璧な判断材料を待つよりも
まずはスピーディに決断する練習を


日本人は「すべての判断材料が揃ってから」と、決断を後回しにしがち。しかし海外では、優秀なビジネスマンほど決断は早いという。完璧な決断よりも、進展があることを重視しており、「間違えてもそこから学べばいい」という姿勢なのだ。それよりも、先送りすることで、さまざまなリスクを生んでしまうことを防いでいる。「決断は、慣れればできるようになります」と牧野さん。夫婦間でも、子どもの園選びや家探しなど大きな決断があるはず。その時に失敗しないために、小さなことから素早く決断をする練習をしていこう。

POINT
子育てはやってみて初めてわかることが多い。一度トライ&エラーを体験すると、次のモノ選びなどの際の判断材料になる。

STEP4 行動
ミニデッドラインを設定し
前倒してタスクを片付ける


行動するためのマインドセットで大切なのは、「1人で全部やらなくていい」と理解することだ。家事・育児も仕事も、周りの人をうまく巻き込もう。仕事においては、本当の締切日の前に誰かとミニデッドラインを設定すること。例えば、意見をもらいたい相手に「この日に時間ください」とお願いしたり、ランチミーティングを設定してアイデアをブラッシュアップするなど、共有のプロジェクトにして知恵を借り、時間短縮につなげるのだ。さらに、協力して仕事を進めることで、社内の風通しもよくなる。

POINT
ひとりの時間は24時間。周囲の人の時間を借りるのが最大の時短。助け合える環境つくりは、次世代にもメリットが大きい。

PLUS 休息
夫婦だけの時間を買ってでもつくる

子育て世代のタイムマネジメントには、夫婦でゆっくりと過ごす時間をつくることも欠かせない。海外では当たり前の習慣であり、子どもが巣立った後の夫婦の人生に大きく影響するからだ。両親やシッターの手を借りて、定期的に2人だけの時間を作ろう。

CHECK!

『結果を出して サクッと帰る 神速時短』


(すばる舎 刊)1,650円(税込)

「仕事のスピード」に悩む日本人に向けた、ヴィランティ牧野さんによる最強の時短術の書。「時間に追われない」世界のビジネスパーソンの働きぶりを分析、彼らが仕事で知らず知らずのうちに、ある「サイクル」を回していることに着目する。それが、「開示→選択→決断→行動」の4ステップからなる「世界標準の神速時短サイクル」だ。

教えてくれた人

国際エグゼクティブコーチ

ヴィランティ 牧野祝子(まきののりこ)さん


米コロンビア大卒、仏INSEADビジネススクールMBA修了。イタリア在住。障害児を含む3児の母。米系戦略コンサル、仏系化粧品会社、英系酒販会社、伊系ファッションなど多業種で国際的キャリアを積む。メンター経験やビジネス経験を生かし、現在は国際エグゼクティブコーチとして活躍中。


文:笹間聖子
イラスト:岡本倫幸

FQ JAPAN VOL.73(2024-25年冬号)より転載

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