プロ野球選手・中村悠平「家族の成長を実感できる瞬間が自身の励みに」
2024/01/12
WBC2023決勝では大谷翔平投手とバッテリーを組み、優勝へ貢献した東京ヤクルトスワローズの捕手・中村悠平選手。2児の父親として子育てを楽しむ姿が評価され第16回ペアレンティングアワード・スポーツ部門を受賞。中村選手の家庭での在り方に迫る。
シーズンオフは徹底的に
家族サービスを楽しむ!
プロ野球選手として全国で試合を行い、遠征が多い生活を送っている中村選手。そのため家族と接する時間は限られているが、遠征時にはテレビ電話を活用したり、月曜のオフ日に外食や自宅で家族サービスを心がけるなど、家族とのコミュニケーションに積極的な姿勢を示しているという。
「1週間ほど顔を合わせられないこともありますが、そんな中でもテレビ電話で話をするように心がけています。久しぶりに会った時の成長ぶりには驚かされますね。子どもの成長って本当に早いなって、嬉しさと、そこに立ち会えない寂しさが入り混じる思いです。同時に、自分もまだまだ成長できると刺激をもらえて、フレッシュな気持ちになりますね」。
シーズン中は基本的には月曜日がオフの日になる。その日を家族サービスの日と位置づけ、外食や自宅でゆっくり過ごすなどの時間を設けているそうだ。
「オフの日は家族とふれあう大切な時間です。子どもたちとのコミュニケーションは特に大切にしていますね。最近は長男が野球に興味を示してくれるようになったのですが、嬉しさのあまり、教えるときはついつい熱くなってしまいます。でも子どもたちには自分なりの野球の楽しみ方があると思うので、それを否定することなく受け入れていかないといけませんね」。
支えてくれるママがいるからこそ
限られた時間で我が子と向き合える
自身もプロ野球選手として野球人生を全うしており、我が子にも自然と力が入ってしまう素直な気持ちが伺えるエピソードだ。一方で、ほとんど家を空けているため、子育てに関してはママへ頼ってしまっていることに申し訳なさを感じているという。
「正直、家事や子育ての知識は奥さんにかなわない、っていうのが本音です(笑)。野球では投手たちを支える捕手というポジションですが、家庭ではママに支えられているなと思います。子育ては奥が深くて、毎日が勉強ですね。一緒に成長できるのが親の喜びなのかな。家族を支え、僕が野球に集中できる環境をつくってくれている妻には、本当に感謝の気持ちしかありません」。
改めて子育てで大切にしていることを伺ったところ、しつけの大切さを指摘した。
「子どもにとって『好きなことを思いきりやらせる』ことも必要だし、『ダメなことはダメ』と線引きすることも大事。子どもの気持ちを受け止めつつ、親が見本を示すことが大切だと思うんです。私もそういう形で育てられましたから。しんどい時もありますが(笑)。でもそこが親の務めでもある。これからも子どもたちと共に成長していきたいですね」。
限られた時間の中で工夫しながら、家族を大切にする中村選手。我が子への思いを語る中村選手の姿から、子どもたちの感性や可能性を信じ、成長に期待を寄せている様子が垣間見えた。
PROFILE
東京ヤクルトスワローズ/2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 日本代表
中村悠平
福井商業から2009年にドラフト3位で東京ヤクルトスワローズ入団。2015年に正捕手の座をつかみ、136試合に出場してリーグ優勝に貢献。2021年の日本シリーズでは攻守にわたってチームを支え、シリーズMVPに選出された。2022年は2年連続となるベストナインとゴールデン・グラブ賞に選ばれている。2023 WORLD BASEBALL CLASSICでは侍ジャパンの一員として3大会ぶり3回目の世界一に貢献した。
文:竹治昭宏