【基礎知識】ベビーカーの選び方&公共交通機関での使い方
2022/11/21
育児ライフに欠かせないアイテムと言えば、まず挙げられるのがベビーカー、チャイルドシート、抱っこ紐。数あるアイテムの中から、自分たちにぴったりのモノを選ぶために知っておきたい基礎知識を紹介しよう。
失敗しないベビーカー選びは
ライフスタイルをイメージ
子供の体重を重く感じ始めたらベビーカーでの移動が便利。妊娠中にある程度決めておいて事前に買うというのもベターだが、「買ったのに使わなかった」ということも。そういったことを防ぎ、最適な一台を選ぶためには使用シーンやライフスタイルをイメージしておくことが重要だ。
例えば、電車移動がメインで街中で利用するのであれば、コンパクトで軽量なモデル、車での利用ならば折り畳み時のサイズ感を確認するなど、必要な機能やポイントを夫婦でしっかりと話し合うことが最適な一台を見つける近道だ。ベビーカーはベビー用品の専門店のほか、百貨店やECサイトなどでも購入できる。実物を見て、大きさや機能を自分で選ぶなら実店舗、たくさんの種類の商品を比較しながら自宅で購入するならECサイトがオススメ。しかし、ベビーカーがあまり好きではない赤ちゃんもいるので、購入時にはまず赤ちゃんを試乗させて乗り心地を確かめるとより安心だ。
ベビーカーの種類
A型
新生児期を過ぎて(1ヶ月)から、または、首がすわった乳児期(4ヶ月)から使用でき、最長で48ヶ月までの間で使用期間を定めたベビーカー。寝ている状態でも使用できるよう、リクライニングを最も倒した状態の背もたれ角度が150°(4ヶ月以降のベビーカーは130°以上)となる点が特徴。
前を向いた状態で赤ちゃんを乗せる「背面式タイプ」と、赤ちゃんの顔を見ながら移動できる「対面式タイプ」に加えて、両方の機能を兼ね備えた「両対面タイプ」がある。
B型
お座りができる時期(7ヶ月)から使用でき、最長で48ヶ月までの間で使用期間を定めたベビーカー。リクライニング機能がないものもある。ある程度子供が成長してA型から乗り換えることが多いため、“セカンドベビーカー”とも言う。軽量・コンパクトで小回りに特化している点が特徴。
タイヤの数
三輪
前輪1・後輪2の3つのタイヤで走行。操作性が良く小回りが利き、タイヤ径が大きいため段差などスムーズに越えられるのが特徴。ゴム製のタイヤが凹凸のある道でも走行時の振動を吸収し、走行性が高い。
四輪
前輪2・後輪2の4つのタイヤで走行。両対面式の場合は、対面と背面の切替時にキャスターも一緒に切り替わる。軽くコンパクトになるものが多く、持ち運ぶときや自宅での収納に便利。
ベビーカーの安全基準とは?
安全にベビーカーを使うための品質と使い方を定めた基準
A型ベビーカー、B型ベビーカーという分類は、製品安全協会が定めるSG基準によって作られている。「SG」は「Safe Goods」の略称で、ベビーカーの安全性品質及び、使用者が誤った使用をしないための必要事項について定められている。消費者の身体に対する危害防止、安全を図ることを目的とする、日本独自の任意基準だ。
海外ブランドなどはさらに厳しい欧州安全基準「CE」におけるベビーカーの統一安全規格「EN1888」をクリアしたモデルがある。尚、「EN1888」の基準はA型とB型という分け方でなく、0ヶ月〜と規定がある。
選び方のポイント
折りたたみ機能
階段やエスカレーターを使う際など、赤ちゃんを抱っこしながらベビーカーを折りたたみたい、という場面もあるだろう。そんなときに簡単に折りたたむことが可能かどうかも確認しておこう。さらに自立機能がついていると、ちょっと横にベビーカーを立てて置いておきたい時や、収納時に重宝する。
サイズ
移動手段は車と公共交通機関のどちらがメインか、人通りの多い場所は使うか、玄関にはベビーカーを収納するスペースが充分に備わっているかなど、使用シーンや住環境によってサイズの重要度は変わってくる。使う機会が多そうな最寄り駅の自動改札の幅などもチェックしておくと良いだろう。
重量
階段移動や持ち運びの機会が多い場合は、ベビーカーが重たいとストレスに。一方、軽すぎるベビーカーは段差の乗り越えやすさや押しやすさ、安定感が足りないことも。他の機能とのバランスを見ながら選ぼう。
操作性・走行性
使い心地を大きく左右するのが操作性と走行性。クイッと方向転換ができて狭い道でも小回りが利くか、段差の乗り越えやすさはどうかなどを確認しよう。家の近所や公園などでの使用が多い場合は特に、凸凹道でもなめらかに押すことができるかは重視したい。
デザインの好み
ベビーカーの色やデザインは、お出かけの気分を上げる重要な要素。パパとママそれぞれが使いやすいものを、相談して決めよう。
赤ちゃんの快適性
ベビーカーの座席は地面に近い分、反射熱で温度が上がりやすくなっている。また、走行時の振動も気になるところ。シートの通気性やクッション性、日差しを遮る幌の性能などをチェックしよう。
バスケットの容量
荷物が多くなりがちな赤ちゃんとのお出かけ。また、外出を伴う買い物頻度が減って、まとめ買いをする機会が増えていることもあり、荷物が入れやすい&大容量なバスケットがあると安心だ。
トラベルシステム対応
車移動が多いファミリーなら、チャイルドシートと兼用できるトラベルシステムに対応しているかも重要。赤ちゃんをベビーシートごと移動させて乗せ換えられるため便利だ。
公共交通機関での使い方
電車
●乗せたままエスカレーターはNG
エスカレーターは急停止などによりバランスを崩して転倒することがある。赤ちゃんをベビーカーに乗せたままエスカレーターや階段を利用するのは大変危険なので、エレベーターを利用するのがベスト。エスカレーターや階段で移動する場合は、駅員や周囲の人に協力を仰ぎながら、赤ちゃんを抱っこしてベビーカーを運ぼう。
●ホームや車内ではストッパーを!
ホームの傾斜や、走行中の反動でベビーカーが動き出すことがある。転倒や移動など、何か起こった際に気づかずに対応が遅れることがあるので、ストッパーをかけたうえでベビーカーにしっかり手を添えて、目を離さないようにしよう。
●シートベルトは必ず着用する
ベビーカーは折りたたまずに電車に乗車することができる。しかしホームや構内での移動中含めて思わぬ動きで赤ちゃんがベビーカーから転落することがあるため、ベビーカーに赤ちゃんを乗せる際には、シートベルトを必ず着用しよう。
●余裕を持って行動する
駆け込み乗車は、ドアに挟まったり転倒したりと、とても危険。到着時間に余裕を持って出かけよう。余裕があれば、混雑している電車を見送って空いている電車に乗ることができたり、空いている車両を探したり、途中下車して赤ちゃんをあやすこともできる。
●乗り降りは段差や隙間に注意
乗り降りの際、段差につまずいたり、隙間や溝に車輪が挟まったりすることがあるので、足元に十分に注意しよう。また、赤ちゃんが前のめりになって転倒することを防ぐため、電車への乗降時は前輪のほうが常に高い位置にあるようにする(乗り込む際には前向きで、前輪を少し浮かす。降車時は保護者が先に降りて後ろ向きで降ろす)。
バス
●ストッパーをかけて手でも支える
バス停や車内等で停めている間は、傾斜や走行中の反動で動き出すことがある。ストッパーをかけて、しっかり手も添えているようにしよう。シートベルトの着用も忘れずに。
●安全ベルトに固定する
バスの車内には前方2ヶ所の座席の手すりに安全ベルトが備えつけてある。その座席に横付けするかたちで、ベビーカーをバスの進行方向の後ろ向きで停車し、ベルトで固定する。なお、ベルトはあくまでも補助的なもの。走行中は手すりやつり革につかまり、ベビーカーをしっかりと押さえよう。
●乗車時は折りたたまなくてOK
ベビーカーは折りたたまずに乗車することができる。ただし、周囲の人との接触や運行の妨げなど、取り扱いには注意が必要。走行環境によっては乗車が困難になることもあるので、その場合は乗務員の指示に従おう。
思いやりを持ってこんなときには譲り合おう
●すでにベビーカーが2台以上乗車しているとき
これは、車内に安全ベルトが2ヶ所しか設置されていないため。さらにバスの車内は狭いため、ベビーカーが3台以上並ぶと通路をふさいでしまう。
●車椅子のお客さんが乗車しているとき
ベビーカーを固定する位置と車椅子を固定する位置は、近くに設定されているため、2台とも固定させることはできない。そのため、車椅子を優先させて固定させる。
●ベビーカーが大型の場合
二人乗りについても一定条件のもとで、折りたたまず乗車が可能。しかし、通路をふさいでしまったり、安全ベルトが装着できない場合は、折りたたむか、次のバスを利用することを推奨されている。
絵:堀 千里
FQ JAPAN VOL.64(2022年秋号)より転載