子供は旅仲間として接する?デザイナー・山根敏史さんが語る、旅で育む親子の絆
2022/10/26
欠かせないもの。自らの旅をそんなふうに表現する、アパレルブランドF/CE.のデザイナー・山根敏史さん。父子旅というテーマに対して、彼がどう向き合っているのかを語ってもらった。
子供も大人も、
共に楽しむ旅仲間
8歳と6歳、二人の男の子がいる山根さん。さぞ家族旅は賑やかなものに違いない。
「我が家の旅はちょっと特殊かもしれません。世界中から選んだ一つの“国”をテーマにブランドを展開しているので、テーマとなった国を実際に訪れ、コレクション制作に向けての旅をしています。そうした仕事事情もあって、子供と一緒に旅をするんです。長男は8歳にして、すでに10ヶ国以上も行っているんですよ」。
山根さん自身もボーイスカウト活動をきっかけに、島根にあるおばあちゃんの家に一人で飛行機に乗って旅行するなど、幼少の頃から旅を楽しんでいるという。気づけば親子で似たような道を歩んでいる。
「2022年の冬には子供二人を連れて山梨へキャンプに行きました。僕はソロキャンプを好んでるんですが、親子だけのキャンプも新鮮ですね。マナーに厳しい管理人さんに注意されることもあったけど、それもまた経験ですね」。
旅は、いつもと違った子供の一面が見れるもの。その経験によって子供は成長していくのである。
思い出の一枚
旅の思い出を共有して
親子の絆を深める
では、山根さんは旅を通して子供の成長にどういったことを望んでいるのだろうか。
「特に子供のために何かをしてあげようという気持ちはないんです。海外ではギャラリーやマーケットなどを巡って、現地ならではの文化や歴史を一緒に楽しみます。パパたちはこうやってモノづくりをしているんだよっていうのが伝わると嬉しいかな。子供なりに色々と刺激を受けてるみたいですよ」。子供扱いせずに大人と同じように行動することを心がけているという。
「現地でおやつを買う時は子供たちに決めさせるんですが、パッケージでは中身がわからないものもあるのでかなり悩んだりしてますね(笑)」。事前に情報として知っていても思わぬ発見があるのが旅の醍醐味。そうした本物の体験はプロダクトに生かされるだけでなく、色あせない親子の思い出になる。
「いまはスマホがあれば言語や情報にも困らないし、旅のハードルは下がっていると思います。次の旅がどんなふうに僕ら家族に影響を与えてくれるのか楽しみでもありますね」。今度のお出かけでは、ちょっと背伸びをした旅先を選んでみるのもいいのかもしれない。
「TRAVEL」と名を冠したF/CE.の定番バッグパック「950 TRAVEL BACKPACK」は軽量性、耐久性に優れたポリエステルのコーデュラファブリックを使用。フロントショルダー部分には、サコッシュが取り付け可能なため、財布やパスポートなど小物の取り出しが簡単。旅先で気が利く仕掛けが満載のバックパックだ。
PROFILE
F/CE.デザイナー
山根敏史さん
1975年生まれ、愛知県出身。モード学園卒業後、ファッションデザイナーとして大手アパレルメーカーに入社。2009年に独立。自身のレーベルF/CE.を手掛けつつ、他ブランドのデザインやディレクションなどでも活躍する。
文:竹治昭宏
イラスト:アサミヤカオリ
FQ JAPAN VOL.63(2022年夏号)より転載