家族が感染したら? 乳幼児&妊娠中ママを守るには? 小児科医推奨ケース別コロナ対策
2021/05/17
子供が新型コロナウイルスに感染し重症化するケースは、大人に比べて少ないものの、楽観視できない状況が続いている。小児科医・鈴木幹啓先生に、家庭内感染を拡大させないための具体的な対策をレクチャーしていただいた。
「無症状感染者」の可能性を
考えながら日々の対策を
新型コロナウイルスへの感染が確認された子供のおよそ8割が、家庭内で罹患したことがわかっている。この現状をふまえ、鈴木先生は次のように話す。
「通勤などでどうしても外出の機会が多いパパが、家庭内で一番最初の無症状感染者になりやすいといえます。パパに自覚してほしいのは、自身から子供にウイルスがうつる可能性があるということ。そのうえで、家庭内でもしっかりと対策していただきたいですね」。
家庭内感染への予防策については東京都も6つの対策を提案している。このほか、どのような対策が有効なのだろうか。
「家に帰ったら、まず玄関で上着を脱ぎ、マスクを外して捨てましょう。マスクの表面にはウイルスなどの付着が考えられますから、マスクを触った手指は除菌してください。普段から玄関にゴミ箱と消毒アイテムを設置しておくのがオススメです。玄関でひと通りの対策を行った後は、着用していた衣類も脱ぎ、洗ってしまうのが望ましいです」。
また、現在の医療機関の病床数には余裕がなく、重症化リスクの低い感染者のほとんどは自宅療養となっている(※2021年2月にお聞きした情報です)。これもまた、家庭内感染が増えている大きな要因のひとつであることも覚えておこう。
●こまめに手洗いをする
●タオルや歯磨きのコップなどは共有しない
●料理は大皿ではなく、1人分ずつ盛り付ける
●ドアノブや電気のスイッチなどはこまめに消毒する
●定期的に換気をする
●目、口、鼻などウイルスが入る部位をできるだけ触れないようにする
パパが知っておきたい!
ケース別感染対策
ウイルスを家庭に持ち込まないための対策から、家庭内で感染者が出てしまった場合の行動まで。代表的なケースをいくつか設定し、それぞれに適した対処をレクチャーしていただいた。
乳幼児や妊娠中のママがいるなら
特に配慮しよう
「乳幼児は、自分の手や、近くにある物を口に入れて舐めてしまいます。こまめにノンアルコールの除菌シートなどで手を拭いてあげましょう。
また、ビジネスバッグなど外で持ち歩いている物は子供の手が届かない場所、具体的には自分の腰より上の位置に置くことで、子供へのウイルス感染を防ぐことができます。
また、ママが妊娠している場合は、自分がウイルスを保有している可能性を考えて、極力スキンシップを避けるのが賢明です」。
出勤が必要なら「持ち込まない」
テレワーク中は「少しの工夫」を
「出勤が必要なパパは、とにかくウイルスを室内に持ち込まないことを意識しましょう。帰宅後の行動に特に気をつけてほしいですね。
テレワークを行っているパパは、感染するリスクがかなり少ないといえますが、油断は禁物。例えば、鼻や口を触った手で自分がどこに触れたかなど、なかなか覚えていないものです。ドアノブやスイッチなど、触れた場所は定期的に除菌をするようにしましょう」。
感染者が出てしまったら……
家族との接触をとにかく避ける!
「何よりも大切なのは、家族との接触を防ぐこと。個室に感染者を隔離することが必須です。個室内においても、定期的な換気や、看病する人・感染者両者ともマスクの着用を徹底してください。またマスクなどのゴミは、密封して捨てるようにしましょう。
間接的であっても、共用部で接触してしまうことも危険です。そのためにできる対策はたくさんありますが、例えば、トイレにはなるべく行かず、ペットボトルなどに用を足して1日の終わりにトイレに捨てる、といった徹底した行動が必要になります。
万が一の場合を想定して、個室にこもって生活するなら何が必要なのか、そのときパートナーは育児をどう進めるかなど、事前に確認・相談しておきましょう」。
監修
すずきこどもクリニック院長
日本小児科学会認定 小児科学会専門医
鈴木 幹啓先生
文:緒方佳子
絵:岡本倫幸
FQ JAPAN VOL.58(2021年春号)より転載