片付けられない妻と衝突……夫婦の「価値観の違い」どう乗り越える?
2018/11/08
毎日妻との喧嘩が絶えず、衝突を避けようとすれば会話が減ってしまう……。離婚の危機を逃れるために、どうやって解決する? 夫婦のトラブルをアドラー心理学で読み解く!
片付けられない妻と衝突
ついには離婚の危機に!
【断捨離が苦手な妻……どうすれば?】
4歳の子供と妻の3人家族です。妻はいらないモノが捨てられずに、いろんなものを溜め込んでしまうタイプです。だから、家の中にはモノが溢れ返っています。収納場所に収まらず、生活スペースにまで侵食しています。それが嫌で、妻に片付けるよう指摘すると、「プレッシャーになるから、責めないで!」とシャットダウン。僕の話に全く耳を貸そうとしません。
ラチがあかないので、「じゃあ、俺が片付けるよ!」と主張すると、「勝手な手出しはしないで。それもプレッシャー!」と堂々めぐり。モノはどんどん増える一方で、それが原因で夫婦ケンカが絶えず、衝突を避けるために今度は会話も少なくなり、ついには離婚の危機に……。今は、だましだまし生活を続けている状況です。でも、なんとかしたいと思うんです。でも、何をどうしたらいいのかわかりません。先生、教えてください!
主観的な意味づけをして
人は世界を把握している
『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』
著者・熊野先生の解答
私たちはみな、自分だけのオリジナルのめがねを持ち、そのめがねを通して世界を見ています。片付けられないその「モノ」は、あなたにとっては不要なモノ。だけど、奥さんにとっては捨てられない大切なモノ。同じモノであるにも関わらず、夫婦で捉え方がまるで違います。まさに価値観の相違ですね。これはアドラー心理学の基本理論でいう「認知論」です。人間は、自分流の主観的な意味づけをして、物事を把握しているのです。
「どうして俺の言っていることがわからないんだ!?」とイライラしても仕方ありません。「どうせ俺のことなんてわかってくれない」と、低く自己評価する必要もありません。「価値観が違うから、理解し合えなくて当然」と開き直っていいわけでもありません。
まずは妻の気持ちに
共感してみよう
モノを捨てられないのは理由がある
奥さんはなぜモノが捨てられないのでしょうか。その気持ちに共感し、紐解いてみると、根底にあるのはモノがない「心配」です。だから、捨てないという行動で「心配を現実化しない」という目的を叶えています。これがアドラー心理学の基本理論の1つである「目的論」。”人間の行動には、その人特有の意思をともなう目的がある”ということ。つまり、モノをとっておくことで、奥さんは何を達成しようとしているか、片付けられない原因より、目的を一緒に考えてみてはどうでしょう。
妻の不安は夫婦で共有!
この男性の奥さんは、モノに限らずいろんな部分で余計な心配をするタイプなのではないでしょうか。すべてはこの過剰なまでの心配癖からきています。本人もうすうす気づいて面倒に感じているはずです。自分で「気づく」「自覚する」のが大切で、その不安を一緒に背負ってくれる「誰か」がいればものすごく安心できます。その誰かはもちろん夫です。不安は、1人で抱えるよりも、2人のほうがずっと軽くなりますから”共感する”ことで初めて奥さんと同じスタート地点に立つ=不安の共有ができ、捨てるという勇気が湧いてきます。そして実際に捨ててみたら、大したことではないと学びます。寄り添って”共感する”ことで、意外にすんなり終結するケースがよくあります。共感には、それほど強いパワーがあるのです。
価値観の違いを理解し合う
違う価値観を尊重し合いながら、どう折り合いをつけるか? その方法は1つ、夫婦の対話です。本音を言って否定されたら怖いとか、こんなことを言って嫌われたらどうしようとか、前もった恐れで気持ちを伝え合うことをやめたら、それは本当の夫婦とはいえません。本音を言わなければ、怖さと向き合わなくて済むし、「もしやっていれば、うまくいったかも」という可能性も残せるかもしれない。でも、これってすごくもったいない生き方じゃないかな。
結論
● 夫婦とは、恐れや不安を共感し合う関係。1人で抱えるより、はるかに軽くなる。
● 定期的に夫婦で対話する。夫婦のルールを決めたり、本音を話し合う時間を設ける。
Text>>MIKAKO WAKIYA
FQ JAPAN VOL.48より転載