もう自己嫌悪に陥らない! 正しい子供の叱り方って?
2018/04/24
「体罰禁止」よりも
「体罰不要」と思うこと
今、世の中が一斉に「体罰根絶!」というムードになっている。もちろん体罰には僕も反対。だけど、「体罰を根絶しよう」と躍起になると、世の中が、実はもっと危険な状況になることが予測されるんだ。
ルールで押さえつけようとしても、人間の内面にある歪みが消えてなくなるわけがない。その歪みは別のどこかに現れることになる。
ファシズムによって世の中を統制しようとして、他罰的になったその世の中自体がおかしな方向に進み出してしまうという悲劇は、人類の歴史上、これまでも何度も繰り返されてきた。今の行政の対応を見ていると、とても危険な臭いを感じる。「厳罰化」をもって「体罰」を制しようとすること自体、パラドックスだ。
もっと人間の内面に目を向けないと、体罰文化はなくならないと思う。親の一人ひとりが体罰の無意味さを知り、言葉を尽くす諭し方を身に付ければ、社会全体が「体罰不要」のいいムードに包まれていく。そうすれば、学校における体罰も自然になくなっていくはず。
大事なのは、みんなで「体罰禁止」と叫ぶことではなく、一人ひとりが「体罰不要」と思えることになることだ。
PROFILE
鈴木光司
1957年生まれ。2人の娘をもつDAD。1990年「楽園」(新潮文庫)で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。その後「リング」「らせん」(ともに角川ホラー文庫)が大ヒット。
text >> TOSHIMASA OTA
FQ JAPAN VOL.26より転載