放って置くと危険! 「子育てストレス」の予防法
2018/04/19
育児中に感じる様々な不安やストレスは、放って置くと「抑うつ」状態や育児放棄、さらには子供への虐待につながってしまうケースも。パパ・ママの、子育て時に抱えがちな精神的負担を減らすには、どのようなことに気をつけたら良いのだろうか?
気づけば溜まっている
育児中のイライラ・ストレス
子育て中は、育児への不安や、自分の時間を確保できないといった様々な理由から、悩みやストレスを抱えやすいもの。深刻化した際には「大切な子供のことで、なぜイライラしたり怒鳴ってしまうのだろう……」と自己嫌悪に陥り、気分の落ち込みや身体の不調を伴う『抑うつ』の発症リスクも高くなる。
さらに、こういった親の精神負担が続くと「子育て困難」や「子どもへの虐待」を招くケースもあるが、そのような事態を未然に防ぐためには、どういったケアが必要なのだろうか?
ストレスには「段階」がある!?
大切なのは早期発見
福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美教授、島田浩二特命助教らの研究グループは、親の抑うつ状態や⼦育て困難、⼦どもへの虐待は突然起こるものではなく、ストレスの低い順から「養育準備」「健全養育」「養育困難」「養育失調」という4つの過程を経て進⾏していくものだと考える。
つまり、精神的負担が比較的軽い「養育準備」「健全養育」の状態から、「養育困難」に移り変わってしまう早期のタイミングで、心のケアをしていく必要があるのだ。
子育てに関して不安やストレスを感じ始める原因として、「自分一人で育児をしている」「相談できる人が周囲にいない」といった孤独感は非常に大きい。負担が偏らないよう、日頃から夫婦で育児について話し合い、協力していくことが大切だ。
同研究グループは、脳の画像から子育て中の『抑うつ気分』の徴候を把握できる、新たな評価法(未公開特許出願)を見いだしており、今後はこの評価法を組み入れた子育て困難を防ぐシステムを確立し、自治体などと連携して実効性のある社会システムとして提示していくという。
早期発見、早期ケアに繋がる仕組みができれば、より多くの親たち、そして子供たちを救うことにもなるだろう。今後に期待したい。
※本成果は、以下の事業・研究開発領域・研究開発プロジェクトによって得られている。
■戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)
■研究開発領域:「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」
■領域総括:山田 肇(東洋大学 名誉教授/NPO法人情報通信政策フォーラム 理事長)
■研究開発プロジェクト名:「養育者支援によって子どもの虐待を低減するシステムの構築」
■研究代表者:黒田 公美(理化学研究所 脳科学総合研究センター 親和性社会行動研究チーム チームリーダー)
■研究期間:平成27年11月~平成30年11月
DATA
社会問題の解決に向けた成果:養育者への適切な⽀援につながりやすい新たな抑うつ気分の評価法