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「幼児教育」の重要性 ①ペリー就学前プロジェクト

日本ではまだ数少ないが、海外では教育効果を探る大規模縦断調査が以前から実施されている。数々の調査で明らかになったエビデンスを紹介。第1弾は、アメリカの「ペリー就学前プロジェクト」を紹介。

from USA
ジェームズ・J・ヘックマン教授が研究
「ペリー就学前プロジェクト」

ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマン教授の研究で有名になった「ペリー就学前プロジェクト」。この調査結果から導き出されたものは、アメリカ政府の政策決定にも影響を与えたと言われている。

ペリー就学前プロジェクトは、1962年から1967年の間、アメリカ・ミシガン州に住む低所得者層家庭の3〜4歳児の子供たちを対象にして実施されたもの。このプロジェクトでは123名の子供たちを2つのグループに分け、就学前教育を施す子供と施さない子供を比較するという実験が行われた。

このときに行われた就学前教育は、子供達は毎日2時間ずつプレスクールに通い、週に一度は先生が各家庭を訪れて90分間にわたり指導。同時に親に対しても指導が行われた。この2つのグループの子供たちに対しては長期間の追跡調査が実施され、調査は子供たちが40歳になるまで続けられた。



追跡調査の結果、教育を受けた子供と受けなかった子供を比較すると、14歳時点での基礎学力の達成度、高校卒業率、40歳になった時点での月収や持ち家率はいずれも前者のほうが優れているという結果になった(表1参照)。

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ヘックマン教授は一連のプロジェクトの調査結果から、就学前教育の内容が非認知能力の向上に重きを置いたものだったことから、認知能力というより非認知能力を高めることにより長期的効果が現れたと分析(認知能力と非認知能力については表2参照)。そして、非認知能力の向上は、大人になってからの安定した生活に貢献すると多くのメディアに登場し主張している。

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そのヘックマン教授が、幼児教育の効果について、同じだけの投資をするなら子供が幼いときほどリターンが大きいということも提唱している。ヘックマン教授の考えを編集部により独自にイメージ化したものが表3になる。この「人的資本投資」とは、人間が持つ知識や技能への投資という意味。この表は、学力はもちろん子供のトータルな能力向上が期待できる幼少期における投資が、収益率が高いことを示している。

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EVIDENCE
就学前教育で獲得した非認知能力の
効果は大人になるまで継続


FQ JAPAN VOL.41(2016-17年冬号)より転載



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