パパと保育のサポートが鍵! 仏ママが働きやすいワケ
2017/01/04
「自由、平等、友愛」を国の標語に掲げるフランス。個人を尊重するお国柄は、子育ての面でも発見がいっぱい。少子化対策が成功した国の裏側を探るため、パリ郊外に住むジュリアン・フォーリさんと日本人妻・正美さんの子育てライフに密着した。
パパで溢れている登校風景
送り迎えの半数以上が男性
日本古典文学研究者として高校や大学で教鞭をとるジュリアン・フォーリさんとIT企業に勤める正美さん。2歳になる双子アレクサンドル君とアントワンヌ君のパパとママだ。個人主義が徹底するフランスでは、夫婦間での育児分担は平等。仕事も育児も夫婦の時間もあきらめない。
フランスは女性の就業率がとても高い。では、母親が働きやすい環境はどこから生まれてくるのか? 育児と仕事を両立できる秘訣を探るため、パリ郊外に住むフォーリさん一家に密着してみた。
保育園を訪れてみると、まずそこにヒントがあった。保育園前には子供を連れたスーツ姿の父親がたくさんいるのだ。フォーリさん一家の場合、正美さんの方が出勤時間は早いため、子供のご飯や着替え、保育園までの送迎はジュリアンさんが担当する。一方で、夕方のお迎えは月・金曜がジュリアンさん、火・木曜は正美さんと分担する。
次のヒントは会社だ。社員の育児参加に積極的な社会の姿勢がフランス全土に根付いているのだ。正美さんは会社に頼み、育休暇復帰後の勤務体系を週4日にしてもらうおかげで、休日となる水曜は家で子供の面倒を見られるようになった。週4日という勤務でも時間換算した給与体系は以前と同じ。これは会社の協力であると同時に、法律で定められた社員の権利であり、会社は拒むことができない。ジュリアンさんは学校と調整し、担当する授業を午後中心の時間割にしている。
朝の保育園は出勤前のパパがいっぱい。送り迎えの半数は父親だ。我が子のほっぺにお別れのキスをしてパパは会社に行ってきます!
共働きが多いフランスでは
保育園の登録は争奪戦!
フランスでは産休に対して、会社や国からの給与保障があるが、育休に対しては保障されないことが多い。そのため早めの仕事復帰を望む親は多い。そうなると需要が増すのが保育園だ。
フォーリさん一家の場合、正美さんの妊娠が確定したら、すぐ市役所で保育園のウェイティング・リストに登録した。どこの保育園に入園できるかは子供の入園数週間前まで分からず、ひやひやしたそうだ。フォーリさん一家は双子のため、入園の優先順位は高かったが、正美さんが仕事に週4日で戻れるという育児にとって少し良い条件だったため、家から一番近い保育園には入れず、徒歩30分先の場所に決まった。
フランスは一般的に母親の仕事復帰が早いため、母乳での子育てにこだわらない。早めにミルクに切り替え、ベビーシッターなど母親でなくとも子供の面倒を見られるように対応する。フォーリさん一家も子供が今より小さい頃、夜中のミルクはパパの担当だった。
フランスの家庭を取材して感じることは、それぞれの家庭が常識にとらわれず、自由な発想で生活を組み立て行くということ。夫婦で意見を出し合い、各家庭に最適なやり方を生み出すことで、仕事と育児を両立している。
保育園や一時託児所の他、これら施設の申し込みに漏れた場合の保育ママなど生活と状況に合わせて子供を預ける施設を選ぶ。
フランスの保育園の仕事は「保育」、学校は「勉強」だけ。しつけや社会のルールを教えることは家庭の仕事。学校の先生には頼らない。
Photo&Text » YUKINOBU KATO
※FQ JAPAN VOL.40(2016年秋号)より転載