日本の子供の6人に1人が貧困 「自己責任」で済ませていいの?
2016/07/05
日本の子供の6人に1人が貧困といわれ、修学旅行に行けない子供もいる今日。私たちにできることは何なのか。香山先生に話を聞いた。
修学旅行に行けない子供
旅費を貯めるための毎月の積み立てができず、修学旅行に行けない子供がいるそうです。学校のはからいで、そういう子も行けるようにしようとすると、ほかの保護者から「苦労して積み立てたのに!」「お金がないって言うけど、あの家は高級なペットフードを買っているのよ!」などと、反対意見だけでなく“密告”まがいの声があがることも……。「貧しくなったのは自分の責任でしょ」という「自己責任論」が日本社会に広がっている気がします。
自己責任ではなく社会問題
貧困の原因はさまざまだと思いますが、やむをえず貧しい暮らしをしている一人親家庭などもあるはず。また子供の立場からしてみれば、貧困は自己責任とは言えません。れっきとした社会問題なのです。なのに、「貧乏は自己責任」といってこの問題を放置すれば、貧困の連鎖が起こって、格差社会が拡大するでしょう。では、私たち問題とどう向き合えばいいのか。たとえばですが、無料の塾を開催している団体など、子供の貧困と向き合っている人たちを支援したり、寄付をしたりと、今できることをすることが結果的に救うことになると思います。
<香山さん推薦、「貧困問題」についてよくわかる本>
●書籍「貧困大国アメリカ」/堤 未香
●活動「プレカリアートユニオン」(非正規雇用者)(まみやさん)
香山リカ RIKA KAYAMA
東京医科大卒。精神科医。豊富な臨床経験を活かして、現代人の心の問題を中心に、新聞や雑誌など様々なメディアで発言を続けている。
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Text » TAKESHI TOYAMA
※FQ JAPAN VOL.39(2016年夏号)より転載