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インタビュー

滝藤賢一さんが父親役を熱演! 『はなちゃんのみそ汁』12/19先行公開

まもなく公開となる話題の最新映画『はなちゃんのみそ汁』で、家族を支える夫=父親を演じる滝藤賢一さん。プライベートでも、3男1女の父親である滝藤さんがこの作品を通して伝えたい“父親のホンネ”とは?

暗くならないように……
監督には「泣くな」と言われた

今回、待望の映画化が実現した本作品で滝藤さんが演じるのは、主人公「千恵」と娘「はな」というかけがえのない家族を支える父親「信吾」役。ともすると重くなりがちなテーマながら、全編に流れるのはなんともいえない“ユーモラスで温かな空気”……それを醸しているのが、他ならぬ信吾を演じる滝藤さんなのだ。

「監督からは、暗くならないようにと言われていました。泣かないようにと。でも、どのシーンも、すぐ涙が出てきちゃって大変でしたね。持っているカメラで泣き顔を隠すという演出があったんですが、役者としては、感情が沸き起ってボロボロ泣いてるんだから、むしろ顔を見せたいところでしたよ(笑)」(滝藤さん)。

しかも劇中の信吾は“暗くない”どころか、そそっかしくて、ずっこけていて、ユーモラス……むしろ明る過ぎるのでは?と思えるほど。

「悲しいことを悲しくやるより、ポップに描くことで逆にその悲しさが伝わることもあると思う。ただ、ふざけ過ぎると馬鹿にしているように受け取られかねないので、特に前半のシーンについては、監督に“やり過ぎじゃないか”って何度も確認しました。だからこそ、真剣味を出すところではきっちり演じないといけない。最後のコンサートのシーンなどでは、そこが問われた。その辺は監督の演出はもちろん、脚本の時点でも、絶妙にバランスが取れていたと思いますね」(滝藤さん)。

さらに、演技派で知られる滝藤さんならではの想いも加えられていた。

「そもそも僕と広末さん(※主人公/千恵役)が並んだら、普通バランス取れないでしょ?(笑) 広末さんのような可愛くて魅力的な方が好きになる男じゃないといけないワケですよ! おっちょこちょいなんだけど、なんだか愛しい。一生懸命で優しくて、ユーモアがあって、ぐいぐい引っ張る男らしさ。何か一緒にいるとホッとできるタイプ。あれ?意外に良い男ですね(笑)」。

夫婦は、きれいごとじゃない

プライベートでは、夫であり、4人の子供を育てる良き父親でもある滝藤さん。役柄と自分自身のギャップについても聞いてみる。

「僕は自分自身と照らし合わせて、夫婦なんだからもっとぶつかるようなシーンがあってもいいんじゃないか、と思っていました。でも監督は、『安武信吾っていう男は、千恵の前では明るく、そうでないところでは“水面下のバタ足”なんです』と仰っていました。でも、いろんなことが積み重なればイラつくことだってあるんじゃないかと僕は思った。いくら病気だったとしても、夫婦ってきれいごとじゃないから。でも、監督は『水面下のバタ足でお願いします』と。自分が同じ立場だったら、そこまで根気よく振る舞えるかわからない。」(滝藤さん)。

自分の子供に、伝えたいこと

今回の作品には、“親から子へ伝える”というテーマも流れている。では、滝藤さん自身が、子供に伝えて行きたいこととは何だろうか?

「 “家族を守り助け合う”ってことですね。今でも、上の息子には、妹が泣いているのにぼーっとテレビなんか観ていたら、思いっきり怒りますよ。『お前の仕事は、下の兄弟を守る事だ!』っていつも厳しく言っています。男としてやるべきことは、家族を守ること。そこは、ちゃんとやって欲しい」(滝藤さん)。

滝藤さんには、自分の未来について1つのイメージがある。子供たちには、自分と同じように“幸せな家族”を作って欲しいのだという。

「僕、ゴッドファーザーになりたいんです。たくさんの子供や孫に囲まれて、あのマーロン・ブランドみたいに死にたいんですよ」(滝藤さん)。

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ちゃんと作る、ちゃんと食べる――大切な家族へ、
そしてわたしたちへ届けられたメッセージ

恋人との穏やかで幸せな生活を夢見ていた千恵は、ある日乳がんを宣告される。不安に怯える千恵に信吾は優しく寄り添い、夫婦となった。抗がん剤治療を続けるため子供は望んでいなかった千恵だが、ある時妊娠していることが分かる。産むか産まないか―産むということは再発リスクが高まり、自らの命が危険にさらされるということだった。

周りの支えで命を懸けて産むことを決意し、はなを無事出産。しかし家族3人の幸せな日々は長くは続かず、知恵を再び病魔が千恵を襲う。悲嘆に暮れる千恵だが、夫ともにあらゆる可能性を試そうと決意し、健康の基本は食生活から、と今までの食事を見直し始めた。

“ちゃんと食べることが大切、そのためにはちゃんと作ること”――余命があとわずかと知った千恵は、元気に生きていくために必要なことを娘に伝えようと決め、毎朝みそ汁を作ることをはなと約束した。鰹節の削り方や出汁の取り方、小さな手に包丁を握らせて豆腐を切らせたりするなど、千恵は徐々に料理を教え始める――。

(c) 2015「はなちゃんのみそ汁」フィルムパートナーズ

© 2015「はなちゃんのみそ汁」フィルムパートナーズ

『はなちゃんのみそ汁』

12/19(土) テアトル新宿&福岡県内先行公開、
2016/1/9(土) 全国拡大公開

出演:広末涼子 滝藤賢一
一青窈 紺野まひる 原田貴和子 春風ひとみ 遼河はるひ 赤松えみな(子役) 平泉 成
木村理恵 北見敏之 高畑淳子 鶴見辰吾 / 赤井英和 / 古谷一行
原作:安武信吾・千恵・はな「はなちゃんのみそ汁」(文藝春秋刊)
監督・脚本:阿久根知昭
配給:東京テアトル
公式サイト:http://hanamiso.com/

hanamiso_TAKITOH02【PROFILE】
滝藤賢一 KENICHI TAKITOH
俳優。1976年、愛知県生まれ。3男1女の父。1999年舞台「どん底」でデビュー。2013年に放送されたドラマ「半沢直樹」では、日本放送映画藝術大賞優秀助演男優賞を受賞。その他、映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』『許されざる者』『予告犯』、ドラマ「ウロボロス~この愛こそ、正義。」(TBS)、「破裂」(NHK)、CM「ロッテ」「日清食品 ラ王」など多数出演。映画『テラフォーマーズ』、『64-ロクヨン- 前編/後編』ほか、2016年公開待機作も多数。

Photo » TAIKI FURUKAWA
Text » MORIYUKI HATAYAMA(partisan)
Hair&Make » TOYO(BELLO)

※FQ JAPAN DIGEST VOL.35(2015-16年冬号)より転載

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