パパが知っておくべき母乳のヒミツ
2015/09/04
母乳にはどんな成分が含まれているのか、どんな働き・作用があるのかが解明されてきている。だからといって、ママに任せきりにするのはナンセンス。母乳に関する正しい知識をつけてママをサポートするのも父親の役目だ!
母乳は赤ちゃんに必要な栄養素と
免疫物質を豊富に含む完全食
母乳は赤ちゃんにとって貴重な栄養源。特に生まれてから離乳食が始まる5~6ヶ月頃まで母乳のみでも成長できるのは赤ちゃんにとって必要な栄養素が完璧に含まれているから。さらに、様々な免疫物質を豊富に含む母乳は赤ちゃんを病気から守ってもくれるのだ。
調査(※1)によると、母乳には赤ちゃんの脳や視力の発達、脂肪の消化に大切なタウリンが豊富に含まれている。また、病原性大腸菌O-157やインフルエンザウイルスなどの悪玉菌から赤ちゃんを守ってくれるシアル酸(ガングリオシド)、アレルゲン(アレルギーの原因になりやすい物質)が体内に侵入するのを防ぐ、リボ核酸やポリアミンといった成分を含有していることも明らかになっている。
あわせて、母乳を飲ませることはママにとっても大きなメリットになる。乳首を吸われることで子宮の収縮を促すホルモンが分泌され、産後の体の回復がすみやかになるという。そして目と目で見つめ合い、肌と肌を寄せ合ってスキンシップをはかることで、我が子への愛しさが増し、親子の絆も一層深まるのだ。
他にも、乳首を吸うためにあごを使うため、赤ちゃんの噛む力が発達し、SIDS(乳幼児突然死症候群)の発症を減らすこともできるといわれている(※2)。
※1 ビーンスターク・スノー社が行った全国母乳調査
※2 平成9年度厚生省心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究」総括研究報告
食事や薬の制限など誤った情報に惑わされないで!
「母乳育児には、ほぼメリットしかありません。よく『授乳中は食事や投薬の制限が必要なのがデメリット』と言われていますが、それは誤解です。医師に伝えれば母乳に影響のない薬を処方してもらえますし、食事も食べてダメなものは基本的にはありません。」
水野克己先生
昭和大学江東豊洲病院 小児内科教授
日本小児科学会専門医 日本周産期新生児
医学会専門医
ママの食生活が母乳に影響!?
たんぱく質濃度が増えることで乳児の体重も7%増加
食生活の変化により母乳中のたんぱく質濃度が大幅増
1950年代から続く経済成長期に食生活が急速に豊かになり、それにともなって栄養状態が改善、たんぱく質の摂取量が増え、母乳中のたんぱく質濃度も増加している。1960年と1989年に実施された全国母乳調査では、それが子供の成長にも影響しているということが解明されている!
※1960年と1989年で、濃度を測定するタイミングと回数が異なります。