頑張る父親に送る『それでもなお生きる』
2014/12/10
「育児と仕事の両立ができない」……そんな厳しい現実に頭を抱えるパパたちが増えている。仕事でのストレスはもちろんのこと、自分では一生懸命育児参加しているつもりが、なかなか妻に理解されず、ストレスをため込んでしまっているパパも多いのでは? 今回から3回にわたり、そんな今にも心が折れてしまいそうなパパたちを勇気付ける「本」を紹介していく。
「辛いときに本?」そう疑問に思った方もいるだろう。しかし、自分の手で「本」を持ち、自分の指で「ページ」をめくっていくという行為は、「問題に向き合う」ということにつながる。また、本をじっくりと読み続けていくうちに必ず「自分を救ってくれる言葉」にも出会うことができる。このような思いがけない出会いは、やがて大きな救いにつながり、大きな感動を生む事になるのだ。
12月12日発売予定の「それでもなお生きる」の著者である佐々木常夫さんに話を聞いた。
苦しくても、もう一歩前に出れば
新しい景色が見えてくる
自閉症の長男と病気の妻・・・・・・過酷な状況の中で、数々の大事業を成功させ続け、「ワークライフバランス」の象徴的存在とも言われる佐々木常夫さんは、いつも心に「それでもなお」という言葉を抱いて生きてきたという。12月12日(金)発売の著書『それでもなお生きる』に込められたメッセージに迫る。
――本のタイトルにもある「それでもなお」という言葉には、どんな意味が込められているのでしょうか?
ケント・M・キースの『それでもなお、人を愛しなさい――人生の意味を見つけるための逆説の10カ条』という本があるのですが、昔、その本を読んで衝撃を受けた経験があります。「それでもなお」というのは、その10カ条の中の最初に出てくる言葉です。「人は不条理で、わからず屋で、わがままな存在です。それでもなお、人を愛しなさい」。どんな人にも愛情を持って接しなさい、と。完璧にはできなかったとしても、できるだけそうすることで、自分の幸せにも繋がっていくということなんです。それを読んでから、私は何かあると「それでもなお」という言葉を思い出してきました。家族に問題があったときでも、会社の仕事で苦しいときでも、諦めず「それでもなお」乗り越えることで新しい景色が見えてくるはずだと。
――苦しくても、もう少し頑張ってみるということですね。
そうですね。人を好きになれない、仕事を好きになれない。いろんな悩みがあると思いますが、それでも一歩前に出てみる。そうすると場面が変わる。そういうことを私は何度も経験しています。もちろん本当に無理だと思ったら頑張り過ぎる必要はありません。あきらめたって構わない。その場面によって決めればいい。頑張れるんだったら、一歩だけ前に出てみる。
――FQ JAPANの読者の中にも、ワークライフバランスや夫婦関係など、様々なことで悩んでいる人がいます。そんな読者にメッセージをいただけますか?
人はみんな幸せになるために生まれてきたんですよ。だから自分を幸せにするということを考えて欲しい。人は人から愛されることによって、本当の意味で自分を愛することができます。人から愛されるためには、自分から相手を愛することです。人を愛するということは、自分を愛することに繋がります。「どうせ私なんて」という生き方ではなく、もっと自分を大切にして幸せに生きることが大切です。
※さらに詳しいインタビュー記事を、『FQ JAPAN vol.33』(2015年3月2日発売)に掲載予定です。お楽しみに!
■DATA
『それでもなお生きる』
¥1512
河出書房新社
www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309023526
運命に逆らわず受け入れながら、あるがままの自分で生き続ける。いかなる過酷な状況においても、愚直なまでの誠実さで一つひとつ乗り越えてきた作者が、悩める現代人に贈る生きるための心構えが綴られた1冊。
佐々木常夫
1969年東レ入社。2001年事務系同期トップで東レの取締役に就任。2003年には東レ経営研究所社長、2010年に同研究所特別顧問。現在は株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表。自閉症の長男と肝臓病・うつ病に苦しむ妻を看るために毎日6時に退社しながら数々の事業を成功させた「ワークライフバランス」の象徴的存在。
Photo >> TAKEHIRO UJIIE Text >> SUMITO MUNEKATA