【美容皮膚科監修】日焼けは健康的はもう古い?パパ世代知るべきUVケアの基礎知識
2025/09/12

男性美容への関心が高まる中、紫外線対策は避けては通れない課題だ。しかし、「何から手をつければよいかわからない」と感じているパパも少なくないのでは。そこで今回は、紫外線が肌に与える影響から、具体的な対策法までを解説する。
1. 紫外線は肌にとって「見えない脅威」
2. 組み合わせて使おう!紫外線対策アイテム&活用術
紫外線は肌にとって
「見えない脅威」
「日焼けは健康的」などと言われていたのは今や昔。紫外線は、人の肌にとって「目に見えない脅威」であることが指摘されている。女性は数十年前から紫外線対策を行ってきたが、左の円グラフを見てもわかるように、男性にも対策している人が増えている。
では、紫外線はどのように肌に作用するのだろうか。紫外線の種類は、「UVA」「UVB」「UVC」の3つに大別される。しかし、UVCはオゾン層で吸収され地上にはほとんど届かないため、人体に影響を及ぼす紫外線はUVAとUVBの2つだ。
UVAは波長が長く、肌の奥深くまで到達し、将来的な慢性ダメージの原因となる。すぐには目に見える問題がなくても、気付けばシワやキメの荒れ、たるみといった肌の老化現象を引き起こす一因となりやすいのだ。雲や窓ガラスも透過するため、室内や車の中でも油断は禁物だ。一方、UVBは肌表面に強く作用し、日焼けによる赤みや炎症、シミ、そばかすの原因になる。進行すると皮膚がんのリスクも高まり、深刻な健康被害につながりかねない。
紫外線対策について美容皮膚科医の赤岩優妃先生は、「小学生の頃から日焼け止めを塗ることが理想です。ですが男性は、30代頃から肌の油っぽさや乾燥、たるみなど、肌の状態が気になり始める方が多いですね。気付いた今が始めどきです」と語る。
また、意外に注意が必要なのが目から入る紫外線だ。肌のシミやくすみの原因となり、白内障など目自体の健康にも悪影響を及ぼす危険性がある。
組み合わせて使おう!
紫外線対策アイテム&活用術
ここでは、男性におすすめの紫外線対策アイテムと、使用時の注意点について解説する。紫外線対策は、ただ日焼け止めを塗るだけでは終わらない。さまざまなアイテムを組み合わせ、正しく使うことで、より効果的に肌を守ることができるのだ。
1 帽子
帽子の着用は、顔や頭皮への紫外線を物理的に遮断する最も手軽な方法の一つだ。特に頭皮の日焼けは、薄毛の原因となる可能性もあるため、夏の外出時には積極的に活用しよう。つばが広いものや、UVカット機能が施された素材を選ぶと、さらに効果が高まる。
<注意ポイント>
帽子を使用する際は、清潔に保つことを心がけよう。毎日同じ帽子を着用し続けると、汗で蒸れて雑菌が繁殖し、頭皮環境の悪化や、首のニキビや肌荒れの原因となる。定期的な洗濯や複数個を持って使い分けるのがおすすめだ。
2 サングラス
アスファルトからの照り返しなど、日中は目には見えない紫外線が常に目に飛び込んでいる状況だ。目から紫外線が入ると瞳孔が開く。すると、脳が肌を守るためにメラニンの生成を司令し、全身の肌のシミやくすみの原因となるリスクがある。サングラスは目そのものを白内障などのリスクから保護するとともに、瞳孔の開きも抑えることにより、メラニンの生成を減らす効果もある。
<注意ポイント>
あまり色の濃いサングラスをかけると、よく見ようと瞳孔が開き、かえって紫外線を多く取り込んでしまう可能性がある。おすすめは、UVカット機能つきの薄い色つきのサングラスだ。UVカット機能つきの眼鏡や、屋外で色が濃くなる調光レンズでもOK。
3 日傘
日傘は直射日光を物理的に遮断し、体温を下げる効果もある。日傘を持つことに心理的抵抗を感じるパパもいるかもしれないが、ここ数年、男性の日傘利用は増加傾向にある。図2の調査でも、81.8%が男性の日傘使用をポジティブに受け止めており、17.8%がすでに使用している。
「メンズリゼ」2025.4.17
10~40代男性に聞く「第4弾/メンズ日傘(男性日傘)」に関する意識調査
<注意ポイント>
日傘を選ぶ際は、なるべくUVカット率の高いもの、遮光性の高いものを選ぶと良い。男性でも使いやすいデザインが増えているので、洋服やシチュエーションを問わないシンプルなデザインを選ぼう。
4 日焼け止め
日焼け止めは、シーンに応じて使い分けるのが望ましい。通勤などの日常使いにはSPF30程度、レジャーや海水浴など、屋外での活動時間が長い場合はSPF50程度を選ぼう。SPFが高いものは、常用すると肌に負担が大きいため注意が必要だ。
また、ウォータープルーフ表示があるものは汗や水に強いが、洗い落とす際にクレンジングが必要な場合も多い。「クレンジングで落としてください」という表記がなく、洗顔料で落とせるタイプを選ぶと日常使いしやすい。
さらに、男性が使用する場合は、白浮きしにくく、衣服についても色が残りにくい透明ジェルタイプがおすすめ。女性用でも、化粧下地効果のない透明なもの、子どもと共用できる肌に優しい成分構成のものであれば、洗顔料で落とせて、衣服に色が残りにくい。
<注意ポイント>
日焼け止めは、1度塗れば1日中効果が持続するわけではない。汗や摩擦で落ちてしまうため、こまめな塗り直しが不可欠だ。赤岩先生は、「朝の通勤時と帰宅時、最低でも1日2回は塗布してほしい」と説明する。特に夏場は汗をかきやすいため、外に出る前には毎回塗るのが望ましい。
塗り直しには、手が汚れにくいスプレータイプが便利だ。ゴルフやレジャーなど、長時間外で過ごす場合は、物理的に肌を覆う長袖ウェアやラッシュガードを着ると、塗り直しの手間を軽減できる。
教えてくれた人
リゼクリニック
赤岩優妃先生
全国26院で医療脱毛・美肌治療を行う医療機関「リゼクリニック」の美容皮膚科医。さまざまな資格を持つ美容のプロで、クリニック公式YouTubeやInstagramにて、ためになる美容知識を日々発信中。
文:笹間聖子
FQ JAPAN VOL.75(2025年夏号)より転載