【こどもの命を守る最新常識】転落・誤飲や交通事故など、知っておくべき予防&対応策
2024/02/28
親が目を離したわずかな時間や、思いがけないきっかけで起こるこどもの重大事故。もし命が失われてしまったら、二度と大切なこどもを取り戻すことはできない。ここでは、これまで事故が実際に起きた場所ごとに、事故の内容と、予防法を紹介する。
1. 重大事故のリスクが日常の意外なところに
2. 水の事故の事例と予防策・対応策
3. 交通事故の事例と予防策・対応策
4. 家庭内での事故の事例と予防策・対応策
5. こどもの命を守るための「知識のアップデート」に欠かせないCDRとは
重大事故のリスクが
日常の意外なところに
こどもの死亡や大ケガの原因となる重大事故の多くは、何気ない日常の中で起こっている。お風呂などの水辺、交通事故、家の中など、身近なところに重大事故の危険が潜んでいる。こどもたちの命を守るためには、周りの大人たちが過去に実際にあった事故事例から学び、あらかじめ予防策を取ったり、いざというときの正しい対応策を知っておくことが重要だ。
水の事故
お風呂での具体的な事例、予防策・対応策を紹介する。
具体的な事例
●保護者が1歳のこどもを浴槽内に残して上のこどもたちを呼びに行った。1分程度で戻ってきたところ、仰向けで浴槽内に浮いていた。水の深さは15~20cm程度だった。
●保護者が11ヶ月のこどもに浮き輪を使用して入浴させており、先に上がり体を拭いていた。水音がしないのに気が付いて風呂の中を見るとこどもの頭が水中に沈んでいた。
予防策・対応策
●乳幼児をお風呂に入れている時は、決して目を離さない。大人が洗髪する際には、こどもを浴槽から出す。
●こどもだけで入浴させないようにする。こどもは大人の後に浴室に入れ、先に浴室から出す。
●入浴後は必ず浴槽の水を抜く。また、こどもは水深が浅くても鼻と口を覆う深さがあれば溺水することがあるので、使用後の洗面器、バケツ等に水をためたままにしないようにする。
●こどもを浴槽の蓋の上に乗せない。
交通事故
車や自転車に同乗中の事故について、具体的な事例、予防策・対応策を紹介する。
車に同乗
具体的な事例
●チャイルドシートを使用せずにこどもを後部座席に乗せている時に、シートベルトが首や腹部を圧迫して傷害につながった。
●母親が助手席でこどもを抱っこして乗っていて交通事故に遭い、衝突時にこどもの体重を支え切れず、こどもが腕から飛び出してダッシュボードにぶつかった。
参照元:child-check.pdf(mlit.go.jp)
予防策・対応策
●助手席では膨張するエアバッグでこどもに被害が及ぶ可能性があるため、できるだけ後部座席に乗せる。
●国の基準への適合が確認されたチャイルドシートを使用する。
参照元:child-check.pdf(mlit.go.jp)
こども乗せ自転車に同乗
具体的な事例
●自転車用幼児座席の足乗せ部分が折れ、6歳の幼児が車輪に足を巻き込まれてケガをした。折れた原因は、転倒などの衝撃で足乗せ部分が変形して亀裂が発生しており、そこに使用による負荷が加わったことだった。
参照元:www.nite.go.jp/data/000107516.pdf
予防策・対応策
●幼児座席は乗車前にしっかりと固定しているかどうかを点検する。また、亀裂やがたつきがないかを確認する。
●幼児座席の取り付けは正確に行う。不安な場合は販売店で取り付けをしてもらう。
参照元:www.nite.go.jp/data/000107516.pdf
家庭内での事故
家庭内で起こる窒息や誤飲、転落について、具体的な事例、予防策・対応策を紹介する。
窒息
具体的な事例
●新生児~生後6ヵ月の赤ちゃんが、やわらかい布団やタオルが顔にかかって窒息する事例が複数発生している。
参照元:116281-cc子育てハンドブック.indd(yamanashi-kosodate.net)
予防策・対応策
●布団は固めのものを選ぶ。
●タオルや布団が赤ちゃんの顔にかからないようにする。
●仰向けに寝かせ、うつぶせ寝をしないようにする。(医師から指示があった場合を除く)
●添い寝をしながら授乳しない。
参照元:116281-cc子育てハンドブック.indd(yamanashi-kosodate.net)
誤飲
具体的な事例
●たばこの葉・吸い殻を誤って飲み込んだ。
●たばこを浸した溶液を誤って飲み込んだ。
●洗浄剤・漂白剤を誤って飲み込んだ。
●防虫剤を誤って飲み込んだ。
●芳香剤・消臭剤を誤って飲み込んだ。
●灯油・ベンジンを誤って飲み込んだ。
●ボタン電池を誤って飲み込んだ。
参照元:116281-cc子育てハンドブック.indd(yamanashi-kosodate.net)
予防策・対応策
●たばこの葉・吸い殻の場合:飲食は避け、吐かせてから医療機関へ。
●たばこを浸した溶液の場合:水または牛乳を飲ませ、吐かせてから医療機関へ。
●洗浄剤・漂白剤の場合(強酸または強アルカリ):水または牛乳を飲ませ、吐かせてから医療機関へ。
●防虫剤の場合(ナフタリンなど):水を飲ませ、吐かせてから医療機関へ。
●芳香剤・消臭剤の場合:水または牛乳を飲ませ、吐かせてから医療機関へ。
●灯油・ベンジンの場合:何も飲ませず、吐かせず、医療機関へ。
●ボタン電池の場合:何も飲ませず、吐かせず、医療機関へ。
家具等からの転落
具体的な事例
●保護者がこどもを置いて目を離したすきに、0歳のこどもが家具から転落して頭を打った。
※本具体事例は、参照元の記載を元に編集部にて作成した
予防策・対応策
●乳幼児はできるだけベビーベッドに寝かせ、転落防止用の柵は常に上げる。
●転落の二次的な事故を防ぐために、ケガや窒息につながるものを周囲に置かない。
●乳幼児用製品は、取扱い説明書に従い、ベルトなどを適切に使用する。
●一時的であっても、テーブルなどの高さにあるところに寝かせない。
参照元:www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/
caution/caution_061
抱っこ、おんぶからの転落
具体的な事例
●0歳のこどもが抱っこの状態から転落して頭を打った。保護者は立っており、こどもの落下の高さは1メートル以上だった。
※本具体事例は、参照元の記載を元に編集部にて作成した
予防策・対応策
●おんぶや抱っこをする時、降ろす時は低い姿勢で行う。
●抱っこひもで前にかがむ際は、必ずこどもを手で支える。
●抱っこひものバックル類の留め具やベルトのゆるみを確認する。
参照元:www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/
caution/caution_061
階段からの転落
具体的な事例
●ハイハイから歩き始めた1歳のこどもが階段から転落し、全身を打撲した。
※本具体事例は、参照元の記載を元に編集部にて作成した
予防策・対応策
●ベビーゲートを正しく取り付け、常に閉めてロックをかける。
●設置したベビーゲートは定期的に確認する。
●ベビーゲートの対象年齢を超えたら使用を止める。
参照元:www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/
caution/caution_061
こどもの命を守るための「知識のアップデート」に欠かせない
CDR(Child Death Review)とは?
CDR(Child Death Review)とはこどもが不慮の事故などで死亡した際に、医療機関、警察、行政関係者など複数の専門家が、既往歴、家族背景、死に至る経緯などの情報を元に、協力して検証を行い効果的な予防策を導き出し予防可能なこどもの死亡を減らすことを目的とする取組だ。
多機関の専門家による検討が行われることで、いろいろな視点での検討が可能になり、より効果的な予防策を導き出し、類似の事故での死亡率を減らすための取組が推進されることが期待される。
また、ウェブサイトで事故原因や対策の情報を公開することで、誰でもこどもの命を守るための知識を身につけられるような啓発活動も実施している。CDRは現在、こども家庭庁の主導で、複数の都道府県でモデル事業として実施されており、体制整備に向けた検討が進められている。
問い合わせ
文:笹間聖子
協力:こども家庭庁
FQ JAPAN BABY&KIDS VOL.67(2023-24年冬号)より転載
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