【レビュー】ファミリーにも最適なコンパクトSUV『ホンダ HR-V』の魅力とは
2023/05/18
ファミリーカーに国産車を選びたい人も多いのではないだろうか。2014年に復活し、再び脚光を浴びはじめているのは、『ホンダ HR-V』。ここでは、FQUKの編集者 ティム・バーンズ・クレイがいま気になるクルマのテスト走行を行い、その魅力をレビューする。
3代目の
クロスオーバーSUV
ホンダのHR-Vは、1998年に発売されたコンパクトサイズのクロスオーバーSUVだ。後継がなく歴史が途切れたため、非常に忘れ去られた存在だったが、2014年に復活し、再び脚光を浴びはじめている。2代目はヴェゼルをベースとしたサブコンパクト クロスオーバーSUVへと進化し、欧米や中国でも好評を博した。ヴェゼルは2021年4月に日本でフルモデルチェンジを行い、HR-Vはそれより1年4カ月遅れて2022年8月に3代目がベールを脱いだ。先代より伸びやかで躍動感あふれるフォルムに生まれ変わり、ボディと一体にデザインされたフロントグリルも個性を際立たせている。
選択できるパワープラントは1つだけだ。1496ccの直列4気筒DOHC直噴エンジンに2つの電気モーターを組み合わせたハイブリッド車で、日本では「e:HEV」と呼ばれている。1.5lエンジンは106ps(78kW)/6000〜6400rpmを発生する。モーターは131ps(96kW)/4000〜8000rpmの性能である。基本的にはモーターで走り、必要なエネルギーはエンジンで発電して確保する。モーターアシストによる気持ちいい加速に加え、実用燃費も優秀だ。
ほぼフル装備で
ファミリーカーとしては十分
ここでテストしたモデルは、最高級のAdvance Styleトリム。日本で発売されているe:HEV PLaYに準じた装備内容となっている。 その下のグレードの標準装備に、ワイヤレス電話充電器、LEDコーナリングライト、ツートーンルーフが追加され、ほぼフル装備といえるもの。18インチのアルミホイールを筆頭に、ヒーター付きシート、キーレスエントリー/スタート、リアビューカメラ、アダプティブクルーズコントロール、ヒーター付きステアリングホイール、自動テールゲートが装備されている。
動力性能も満足できるもの。加速タイムは驚くほどではないが、0-100km/h加速は10.7秒で走り切る。これはファミリーカーとしては十分な実力である。だが、EV感覚の滑らかな走りで快適性は高い。街中を中心とした走りだけでなく、高速道路でも全電動モードで走行できる。高速走行ではエンジンがかかるが、遮音も行き届いているので存在感は薄く感じられる。
オールラウンドが魅力の
実用的なクロスオーバーSUV
ハンドリングに関しては特別なことではないが、ホンダはスポーティな味わいにこだわっているメーカーだ。軽やかなステアリングの操舵フィールは十分魅力的であり、ストラットにトーションビームのサスペンションもしなやかに動く。狙ったラインに乗せやすく、コーナリング中のボディのロールも上手に制御されている。加えて、乗り心地もかなりよくなった。
最新のHR-Vのインテリアは心地よく、シンプルなレイアウトである。 センタータンクレイアウトの採用によりキャビンはクラスを超えた広さを実現。後席でも広く、ラゲッジルームも十分な容量を確保した。
新型HR-Vは車両感覚がつかみやすくて運転しやすく、同乗者も快適にドライブできるなど、実用的なクロスオーバーSUVだ。
また、実用燃費もいいなど、オールラウンドに使いこなせるトータル性能の高いクロスオーバーSUVだから、ファミリー派には最適な1台になってくれるだろう。日本では1.5l車も販売。
DATA
Honda HR-V e:HEV 1.5i-MMD Advance Style eCVT
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:10.7 秒
複合燃費:25.0km/l(WLTCモード)
エンジンレイアウト:排気量1496cc
直列4気筒DOHC直噴ガソリンエンジン+2電気モーター
最高出力:106ps(78kW)/6000〜6400rpm
モーター出力:131ps(96kW)/4000〜8000rpm
最大トルク:127N・m(13.0kg-m)/4500〜5000rpm
モータートルク:253N・m(25.8kg-m)/0〜3500rpm
CO2排出量:122g/km
価格:e:HEVプレイ 329万8900円
4WD e:HEV Z 311万8500円
監修:片岡英明(モーター・ジャーナリスト)
FQ JAPAN VOL.66(2023年春号)より転載