『男性育休』取得は夫婦関係を良好にする【パートナーシップの新常識】
2023/01/15
フェアな夫婦関係を目指すうえでまず知っておきたいのはママたちがどう思っているかだろう。真相を明らかにするべく、妊娠中から子育て中のママへアンケート調査を実施。リアルな回答と声をもとに夫婦関係の本音と実態を見ていこう。
約9割が夫婦仲は良好と回答
パパの育児参加がポイントに
まず初めに、「夫婦関係は良好と思いますか?」と質問したところ、85.6%のママが「はい」と回答。これは予想以上の結果であり、ほとんどのママたちが現状の夫婦関係に満足していることがわかった。
その理由としては、「パートナーの育児関与度が高い」が1位、「夫婦の会話が十分にある」が2位、「パートナーの家事関与度が高い」が3位という結果に。逆に、夫婦関係が良好ではないと回答した理由を見ていくと、「夫婦間の意思疎通ができていない」が1位、「パートナーの育児関与度が低い」が2位、「経済的に安定していない」が3位という結果に。共通しているのは、育児関与度の項目で、パパの育児へのコミット度合いが夫婦関係の良し悪しに関わっていることがわかる。
また、1位の意思疎通ができていないと回答した人の具体的な不満を見ると、「言わないと動いてくれない」「子供より仕事を優先する」といった内容が多く見られた。これは夫婦間の意識の差が問題として浮かび上がる。パパ自身は十分に育児・家事へ参加していると感じていても、ママの求めているハードルに達しておらず、すれ違いが生まれている可能性が考えられる。
ここで重要となってくるのは夫婦間の意識をすり合わせることだ。しっかりと会話を交わし、育児・家事の役割分担や個人の時間の取り方など最低限のルールを設けて、お互いがフェアと感じる関係性を作る必要があるだろう。
Q1 夫婦関係は良好だと思いますか?
(n=2234 、単一回答)
Q2 良好な理由を教えてください
(n=1913 、選択式単一回答)
Q3 良好ではない理由を教えてください
(n=321、選択式単一回答)
Q4 パートナーへの不満を教えてください
(Q3の回答者、自由回答)
●お風呂に入れてはくれるけど湯上がりの服やおむつの準備、スキンケアといった細々とした事は嫌がってやらない。嫌って何。1年も育休を取ってくれて良いパパだねって言葉を知人からかけられると心の中で顔が引きつってます。
(30~34歳/0歳/パートナーの育児関与度が低い)
●日頃から家事はしてくれる方だと思うけど100点中60点が毎日私の中に40の不満が積もっていく感じで4年経ちました! 作業は頼めるけど、頭を使ったり気を遣ったりする事は頼めない。
(40~44歳/4歳/出産を機にパートナーの態度が悪い意味で変わらなかった)
●子供ができてから私への気遣いや配慮がゼロになった。ありがとうやごめんねをちゃんと言ってくれていたのに。言い方や態度を指摘しても、取り合ってくれない。
(30~34歳/3歳/出産を機にパートナーの態度が悪い意味で変わった)
男性育休の取得は
夫婦関係にも影響あり?
パートナーの育休取得経験の有無についても調査したところ、興味深い結果が見つかった。
男性育休の取得率は夫婦関係が良好な家庭では22.2%、不仲な家庭では18.6%と、わずかながら良好な家庭の取得率が高いという結果となり、男性の育休取得が夫婦関係を良好にする要因となりえることがわかった。
しかし、不仲な家庭との開きがあまりないことをみると、育休中の過ごし方が関わっていると考えられる。例えば、「取るだけ育休」のケース。これはパパが育児・家事はママに任せて自身の休暇として過ごしてしまうことを指す。育児休業の目的とは、ママへ偏りがちな育児負担を支え、育児生活の基盤を作ることだ。
東京都では、「育業」と名称が変更されるなど意識改革を行っているが、まだまだ「男性育休」の意義は浸透していない。夫婦関係を良好に保ちたいのであれば、まずは男性育休の取得を前提に、育休中と復職後にどのように育児生活を過ごすかを話し合ってみてはいかがだろうか。きっとこの会話から夫婦の関係が好転していくに違いない。
「取るだけ育休」:育休を取得した男性の3人に1人が育休中の家事・育児時間が
1日2時間以下という、育休を取ったというある意味ポーズだけの実態。とるだけ育休の場合、家事・育児の分担納得度や生活満足度の低下に繋がることが問題視されている。(2019年、日本財団×「変えよう、ママリと」調べ)
「育業」:東京都では、2022年6月29日に開催された『育休取得応援サミット』にて、育児休業の愛称を「育業(いくぎょう)」と決定したことを発表した。「育休」は仕事を休むというイメージがあり取得しにくいという声があり応募総数8,825件から「育業」が選出された。
男性育休の取得率
(n=2234 、単一回答)
協力
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文/FQJAPAN編集部
調査概要:ママリによる妊娠中〜育児中のママを対象とした夫婦関係についてのアンケート調査。グラフはアンケートを元に編集部にて作成。(2022年8月実施・回答数2234名)
FQ JAPAN VOL.64(2022年秋号)より転載