子供の生きる力を育む旅とは?専門家が教える5つのプランとうまくいくコツ
2022/08/06
子供の成長はなかなか計算通りにはいかない。だから子育ては難しいし、面白い。でも思い通りにいかなくても、父親として伝えたいことはたくさんある。父子旅の本質は父親が伝えたいことを、言葉ではなく一緒に体感することなのだ。
旅で身につく生きる力
知恵を育む力
これまで見たことのない新しい世界を知り、それをさらに学んでいきたいという探求心や観察力。困難にぶつかった際に、臨機応変に対応するための判断力やひらめき、計画や役割を全うするための論理性などが育まれる。
コミュニケーション力
旅先で多様な人と触れ合うことで、自然に社会性や協調性が育まれる。さらに、その人を理解しようとしたり、共感する力も。また、自分が旅で経験したことを誰かに伝えようとする際に、表現力も磨かれる。
自己肯定力
与えられた目標や役割を達成したり、親以外の大人に褒められる経験から、自信や自立心が生まれる。さらに、新たなことに挑戦しようという積極性や責任感、困難を乗り越え、最後までやり遂げようという粘り強さや決断力も。
1 ワンマイル旅
家族旅行で大切なのは、行き先よりも「何をするか」。遠出しなくても、「何をするか」という視点で探せば近場で経験できることは多い。「世界で1つだけの作品を作ろう」など、計画を立てて挑戦してみよう。初めての公園に行くだけでも、子供にとっては刺激的な世界だ。
Point!
「何をするか?」は、父子で相談して決めると子供のやる気がUPします。お父さんが得意なことをテーマにするのもいいですが、事前にお子さんにプレゼンを。無理強いせず、子供の「やってみたい」を引き出せればOKです。
2 ドライブ
ドライブだけでも立派な旅。そして、家族が集まる貴重な機会だ。出発前に地図でルートを確認し、自宅と目的地の位置関係を確認しておけば、「富士山が見えるかも」など景色を想像して確認する楽しみも。車の色やナンバープレートの数を決め、探して遊ぶゲームもおすすめ。
Point!
ドライブでは、地図をみながら、事前にルートを親子で確認しておくのがおすすめ。時間と距離の関係も身につき、予定がわかれば安心するため愚図ることも防げます。今どのあたりか?を把握させてナビの役目をお願いするのもいいでしょう。
3 アウトドア
アウトドアは、五感を使って楽しむ旅の代表。キャンプや川遊び、農業体験など、身近な自然を感じる体験をすれば、刺激と学びがいっぱい。ギュッと土を踏みしめる感触も、アスファルトに慣れた子供たちには新鮮だ。何かを達成できたら、すぐに褒めてあげるのを忘れずに。
Point!
キャンプでは、子供にも役割をお願いしましょう。誉め言葉は「すごいね」に加えて「ありがとう」「助かるよ」のバリエーションを持たせて。誰かの役に立つのは子供もうれしく、責任感も芽生えます。
4 自然体験ツアー
エコツーリズム、フォレストプログラムなど、アウトドアから一歩踏み込んだ自然体験ツアーは、ダイナミックな風景や初めての動植物との出会いなど、旅ならではの本物に触れるチャンス。父子で協力して進まなければならない場面も多いため、絆も深まりやすい。
Point!
自然が身近にある環境は、SDGsや環境問題を考える最高の舞台。子供が疑問を持ったら、とことん付き合い一緒に調べることで、世の中の問題もぐっと身近なものに。親御さんから「なんで○○なんだろう」と声をかけるのも一案です。
5 海外旅行
代表的なビーチリゾートだけでなく、雄大な自然や、日本とは異なる風景の街を訪れる経験を。また、海外は3歳ごろから参加できるキッズクラブを併設するホテルも多く、外国の子供たちとも交流できる。海外旅行では、治安や衛生面の注意を子供にも伝え、自主的に考え行動する力を磨きたい。
Point!
言葉や外見の違い、文化や習慣の違いを体感し多様性を認める機会になります。「言葉が通じないから」とキッズクラブへの参加をためらう親御さんもいますが、柔軟性があるので本人が嫌がらなければぜひ参加を。
テーマを決めて旅をすれば、行き先はどこでも、いつもと違う刺激になる!
教えてくれた人
村田和子さん
旅行ジャーナリスト/「旅育メソッド®」提唱者
1969年生まれ。1児の母。All About旅行ガイド。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、精力的に活動している。年間100以上の媒体に、旅に関する情報提供や執筆・出演をする一方、講演やコンサルティングも実施。著書に「家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ〜旅育BOOK(日本実業出版社)」。
文:笹間聖子
FQ JAPAN VOL.63(2022年夏号)より転載