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漫画は最強の学習ツール?東大生の親がやっている『勉強の本質のインストール』とは

「漫画なんて読んでないで勉強しなさい!」と、叱られたことがあるパパ・ママも多いだろう。しかし、漫画は読み方によっては立派な勉強ツールになるそう。『ドラゴン桜2』の監修も務めた西岡壱成さんに東大脳を育てる漫画の活用法を伺った。

子供を東大に入れるなら?
おすすめの勉強法は漫画

僕のおすすめの勉強法は、親子で同じ漫画を読むこと。「漫画を読むより勉強しろ」なんて叱る前に、親も子供がハマっている漫画を読もうよ、というのが持論です。親子で1冊読んで、あーでもないこーでもないと感想を言い合う。こういうディスカッションで自分の考えを言語化するのは、非常に大切。漫画をコミュニケーションツールにして、親が子供から学ぶ姿勢があればいいですね。

かつて長女が東大、次女が芸大に現役合格したお父さんに「どんな子育てされているんですか?」と聞いたら、「一緒に漫画を読んでいるくらいだよ。娘の好きな漫画を読むと、新しい視点がインストールされるんだよね」って言うんです。娘さんたちも「今これ読んでおくといいよ」と、完全にお父さんの漫画コンセルジュ! 

人って同じ目線じゃないと対等に会話できないし、上から目線で「この本を読め」と押し付けてもゼッタイ読まない。「親の本棚」にいろんな本があれば、子供の興味・関心に任せて、強制することなく学びのきっかけを作れます


成績が上がる子供の特徴
漫画で学力が上がる相関関係!?

東大に入る子は、「繋がり」を意識して読みます。例えば、日露戦争は世界史上、日本史上、様々なことを大きく変えた出来事ですが、ロシアがアジアの小国に敗けたことで、民族独立運動の機運の高まりやロシア南下など、その後の歴史に繋がっていきます。東大入試も「その戦争は世界をどう変えたか?」といった繋がり問題です。

東大に通わせている親御さんには共通する特徴があって、「勉強」と「世の中の身近なもの」を繋げる作業を常に意識しています。散歩では「これはなんていう花かなあ?」と理科の勉強に繋げたり。いつでも世の中のことに興味・関心が持てる子は、必ず成績は上がっていくものです。

そもそもの勉強の本質とは、世の中のことがわかることです。「世の中の仕組み、生きることが全て勉強と繋がっている」という考えを、子供にインストールしてあげることが大切。これを伝えるわかりやすいツールが漫画です。漫画は、「勉強」と「世の中」の2つを繋げるコネクターの役割を果たします。

悩んだ時に読む漫画は
『毎日かあさん』

歴史の教科書って、読んでもつまらないけど、漫画も大河ドラマも面白いですよね。裏切りや戦略、悲しみなど、登場人物の感情の動きが物語になっているからです。物語を読む行為には、登場人物の感情を追体験できるメリットがあって、漫画を読めばその心理に触れて、体験もできる。そうすると現実世界でも、他者に対する想像力を養えます。勉強では、この想像力が大切な能力です。

「なぜこの王様は戦争を始めたの?」「なぜこの公式は作られた?」と、どんな学問でも、他者を想像すれば、学問をより深めることができる。これが「漫画の効用」です。受験生に勉強を教えている時も、物語が不足している生徒に勉強を教えるのは、ホント大変なんですよ。想像力を養うツールになるのが漫画なんです。

ちなみに僕が好きな漫画は西原恵理子の『毎日かあさん』で、これは社会学そのものです。社会学とは、世の中のあたりまえを疑ってかかる学問ですが、毎日かあさんでは、子育ての常識を疑う「脱子育て漫画」ですね。子育てはこうしたほうがいいとか、これしちゃダメとか、その価値観はどんな社会的要請によって作られたものなのかとか。『毎日かあさん』は子育てに正解はないんだよ、と教えてくれます。僕は子育ての経験はありませんが、きっと子育て中のパパやママも悩んだ時に頑張ろうという気になれると思います。


DATA

『東大×マンガ』
著:東大カルペディエム/監修:西岡壱誠

勉強がキライな子供たちに向けた現役東大生が選ぶ受験に役立つマンガ55。マンガだって立派な参考書。1,650円(税込)内外出版社より発売中。

PROFILE

西岡壱誠(にしおか・いっせい)
東大カルぺ・ディエム代表。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「思考法」「読書術」「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。著書『東大読書』『東大作文』(いずれも東洋経済新報社)は、シリーズ累計30万部のベストセラー。三田紀房『ドラゴン桜2』(講談社)の監修を担当。

東大カルペ・ディエム
代表の西岡壱誠が2020年に設立の(株)カルペ・ディエムに所属する現役東大生たち。カルペ・ディエムの主な事業内容は、全国6つの高校で生徒に思考法や勉強法を教えているほか、教師へは指導法のコンサルティングなど。またYouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営している。シリーズ累計30万部の東大シリーズの著者。



文・脇谷美佳子

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