オンライン診療や予防接種はどうしたらいい? 小児科医が解くコロナ禍の乳幼児医療
2021/01/17
我が子が体調を崩したら、まずは病院に連れて行くのが当たり前。そんな考えもコロナ禍によって変化し、病院での受診を控える人が増加。オンライン診療も少しずつ普及しつつある。
便利なオンライン診療も活用を
感染リスクを避けるため、病院での診察を控える人が増加。その一方で、ニーズが高まっているのが、オンライン診療だという。
「弊院では、以前からオンライン診療サービスを実施していましたが、利用者はそう多くありませんでした。しかし、コロナ後は利用者が増え、患者さんにも好評をいただいています」
そう話すのは、SNSで人気を集める「ぱぱしょー」こと、小児科医の加納友環先生。オンライン診療は、病院に行かずとも問診が受けられ、処方箋も出るとても便利なシステムだ。しかし、実際の診察、検査はできないため、急な発熱などには適さない。子供の様子をよく観察し、受診手段やタイミングを見極めることが重要だ。
「受診の目安は判断しづらいと思いますが、注意すべき状態を知識として頭に入れておくことも大切。例えば、生後3ヶ月未満の発熱や、赤ちゃんがミルクをまったく飲まないなどの症状は、緊急性が高いため受診するのが基本。かかりつけの病院に問い合わせたり、小児科学会が監修するサイト『子供の救急』なども参考にしながら、自分の中での目安を決めておくと安心です」
コロナ禍において、一部では病院に赤ちゃんを連れていくことを躊躇し、「予防接種を受けない」と判断する親たちも。そうした動きに、加納先生は警鐘を鳴らす。
「ワクチンを打たないと、コロナ同様に恐ろしい風疹や水疱瘡、おたふく風邪など本来予防できる病気にかかるリスクが高まります。一般診療と予防接種の時間帯を分けてくれる病院を選ぶなどして感染リスクを減らし、スケジュール通りに打つようにしましょう」
加納先生いわく、テレワークが普及したためか、子供の受診時に父親が付き添うケースも増えているそう。その反面、「問診にしっかり答えられるお父さんは少ない」とか。体調、食事、睡眠、アレルギー、予防接種など、子供にまつわる情報を日頃から夫婦で共有し、いざとなったら父親1人でも問診くらい対応できるよう準備しておきたいものだ。
※オンライン診療が可能かどうかは病状や場所などによって異なるため、まずは医療機関に確認を。
オンライン診療の流れ
加納先生が院長を務める「ゆめこどもクリニック伊賀」では、専用アプリを活用したオンライン診療を実施中。アプリを活用することで、来院せずに診療・薬の処方が可能になる。コロナ禍によって普及が進むオンライン診療の流れを、「ゆめこどもクリニック伊賀」の場合を例に紹介しよう。
1 電話で「オンライン診療希望」を伝え、予約する
2 オンライン診療アプリ「Yadoc」をインストールする
3 アプリ内で該当の病院を選択し、診察券番号を入力し、承認依頼をする
4 病院で承認がされ、予約が完了するとアプリに通知が来る
5 事前にデバイスのマイク設定をオンにしておく
6 予約時間になると、アプリを通して病院からコールが来る
7 コールに出て、診療開始
8 診療終了後、病院から薬局に処方箋が送付される
9 薬局からの連絡を待ち、受け取り方法を相談する
教えてくれた人
加納友環さん
小児科医。ゆめこどもクリニック伊賀院長。医師と2児の父親という立場から、「ぱぱしょー」の名前で子育て情報や医療情報を発信。Twitterは、@papa_syo222。Instagramは、@papa_syo。YouTubeにて「ぱぱしょーチャンネル」もスタート。シルバニアファミリー35周年公式アンバサダー。
文:曽田夕紀子(株式会社ミゲル)
FQ JAPAN VOL.57(2020-21年冬号)より転載