専門医に聞く「ウイルス対策Q&A」この冬パパママが特に気をつけたいポイントとは?
2020/12/12
寒さや乾燥した空気で、インフルエンザやノロウイルスが気になる季節。それに加えて今年は、新型コロナウイルスへの対策も必要だ。コロナ禍での冬、どんな対策が必要になるのか? 気になる“この冬”のウイルス対策とスキンケアについて、小児科医に聞いた。
コロナ禍での冬、
知っておきたい3つのポイント
1 基本の感染対策に変わりはない
家庭で行うウイルス対策という点では、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスと、新型コロナウイルスでの違いはあまりありません。手洗い・うがいで清潔を保つ、感染リスクを低減させるための環境づくりを心がける。どれも基本的なことですが、習慣化することが重要です。
2 新型コロナウイルスを疑うべきタイミング
幼い子供は、頻繁に熱を出すものです。個人差もありますが、半月に一度発熱する子もいます。新型コロナウイルス感染の可能性を念頭に置いておくことは必要ですが、子供の発熱の度に、家族全員でPCR検査を受けるのは現実的ではありません。濃厚接触者が身近にいた、など明らかに疑わしい状況でなければ、まずはかかりつけ医に相談してみるのが良いでしょう。
3 新型コロナウイルス“だけ”を恐れない
新型コロナウイルスを恐れるあまり、症状そのものではなく、新型コロナウイルス感染かどうかだけにこだわってしまうことも懸念されます。
たとえば、咳がひどいためコロナウイルス感染を疑い、PCR検査をする。検査の結果は陰性で、風邪による喘息症状の悪化だと判明した。というケースの場合、「陰性でよかった」で終わってしまう可能性があるのです。風邪や喘息症状の悪化には変わりありませんから、そこからどう治療を行っていくべきか、医師とともに相談する必要があります。
何をすればいい?
ウイルス対策・スキンケアQ&A
日常の中で、子供のためにどんな対策ができるだろうか。疑問や不安に思うことを、杉田先生に答えていただいた。
Q 感染リスクを下げるためにはどんなことに注意が必要?
A 低温乾燥を避け、定期的な換気を心がけましょう
感染リスクが高まるのは、温度と湿度が低い環境です。まさに日本の冬の特徴と重なるため、この季節にインフルエンザやノロウイルスなどの感染症が流行る原因となります。ですから、感染リスクを低減させるためには、温かく、適度な湿度を保つことが重要です。
一方で、換気も必要です。寒い冬、換気を避けてしまいたくなりますが、室温や湿度の確認もしつつ、せめて1時間に1回程度の換気をおこなってください。
Q 効果的なウイルス対策は?
A 手洗いを習慣にするのが一番!
常に言われ続けていることではありますが、やはり一番の対策は、手洗いの徹底です。ウイルスは、ほぼ手によって媒介されますので、手洗いの習慣は続けてください。
赤ちゃんや子供は、とにかく色々なものに触ります。どれくらいの頻度で手を洗うべきか悩むパパママも多いと思いますが、基本的には、帰宅時など行動場所を変えたとき・新しい人と接触したとき・食事の前のタイミングでよいでしょう。
Q 子供もマスクをするべき?
A 無理に付ける必要はありません
ウイルスをシャットダウンするには、医療用のマスクを正しい方法で着用する必要があります。布マスクなどをとりあえず着用するだけでは、入ってくるウイルスを防ぐ効果はあまり期待できません。
特に子供は口周りを触ってしまうものですから、無理にマスクを付ける必要はありません。ですが、子供の口から飛沫が飛ぶのをある程度抑える効果と、鼻や口の粘膜の湿度を保つという効果は期待できます。
Q こまめな手洗いや消毒で、子供の肌荒れが心配……
A 肌は免疫をつかさどる重要な臓器。乾燥は大敵です
肌の免疫力を下げないことが非常に重要で、乾燥は大敵です。まず、きちんと汚れを落とすこと。そして、汚れと一緒に落ちてしまった脂質をケアするために、保湿をすること。この2つで肌の荒れや乾燥を防ぎましょう。
日中こまめにケアするのが難しければ、お風呂上がりや寝る前にケアしてあげるとよいでしょう。また、手肌に優しい成分が配合された石鹼や消毒アイテムを選ぶのも重要です。
監修
日本小児科学会認定 小児科専門医
すぎたファミリークリニック院長
杉田亮先生
FQ JAPAN VOL.57(2020-21年冬号)より転載