子供に第二言語を習得させる「6つの原則」とは?ワシントン大学の研究所が論文を発表
2020/08/20
「我が子に早くから英語に慣れてほしい。でもどうすれば?」――。ワシントン大学の研究所が発表した論文によれば、0~3歳児の英語教育プログラムで、ある6つの原則を適用して第二言語の英語を学んだ子供が大きく能力を伸ばしたことが実証されている。その6つの原則とは?
第二言語を伸ばすための新手法とは
今年、新学習指導要領にもとづき小学校での英語の教科化が始まった。国際化する社会のなかで、学校教育も新しい時代の転換点にいる。そこでワシントン大学の研究所、I-LABSが発表した0~3歳の子供の第二言語習得の鍵として6つの原則を紹介。パパママ必見の内容だ。
スペインのマドリッドにある4つのプリスクール(乳幼児教育センター)で、以下の6つの原則を活用した英語の授業が行われた。当然第1言語はスペイン語で、英語学習がスペイン語の習得に与える影響を測ることが可能となる。
参加したのは生後9~33ヶ月の子供計240人。2校では18週間、残り2校では1年間(36週間)、実験用の英語プログラムを実施した。授業は週5日、45分ずつだ(原則1)。各クラスでは、子供たちがプログラムを最大限に享受できるように、第2言語指導のトレーニングプログラム「SparkLingTM」を受講した指導員3人以上が、乳幼児向けのことば(英語)で子供たちに話しかけた(原則2・5)。
生後9~21ヶ月のクラスは14人ずつ、生後21~33ヶ月のクラスは20人ずつのグループに分けられた。子供と指導員のやりとりを最大限に引き出すためだ(原則3)。各グループの子供たちは、指導員にリードされながら、前述の6つの原則を取り入れた遊びを体験した(原則4・6)。
母語形成しながら、英語を伸ばす
各プリスクールでは、もともと週2時間程度、絵本の読み聞かせや歌、童謡で英語に触れる活動を行なっていた。研究チームは、今回の6つの原則に立った英語プログラムに参加した子供たちの学習成果を、この既存の英語プログラムに参加した子供たちと比較した。
すると、6つの原則で英語にふれた子供たちは、スペイン語の語彙発達に遅れが生じることなく、英語力が大きく向上していたのだ。また、スペイン語の語彙テストの結果は、実験前も実験後も、グループ間の差はなかった。
早くから英語を学ばせる際、母語形成は重要な鍵となる。今回の結果からは母語の発達も見られ、母語が欠落する心配もないことが明らかとなった。
一方、研究には課題も残っている。6つの原則のどれが、どの程度影響したのかがわかっていないのだ。1つでも欠けたら学習効果が低くなるかもしれないし、いくつかの要素を除いたとしても同様の学習効果が出るかもしれない。
学習効果に影響する要素を絞り込むにはさらなる調査だと論文でも述べられている。とはいえこれらの6つの原則は、わが子の放課後学習、家庭学習においても留意すべきだろう。英語スクールを選ぶ際など、参考にしてほしい。
DATA
ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所(World Family’s Institute Of Bilingual Science)